しつこい肩・首こりは揉むよりつまむ!話題の「1分肌つまみ」のやり方を専門家解説
運動も食事制限も道具も不要で、ただ「つまんで離す」だけで体のすみずみまで不調が改善するという。つまみたいときに気になる場所をやさしくつまむだけでも効果アリ。東洋医学の教えから生まれた「整膚」と呼ばれる健康法をマスターしよう!
東洋医学「整膚」から生まれた”肌つまみ”って?
仕事や家事の疲労が蓄積されたとき、マッサージで全身をほぐしてもらうこともあるだろう。ところが、肩こりのような体の不調は、強く押すとかえって患部が悪化して逆効果になると整膚(せいふ)学園学長の徐堅(じょけん)さんは指摘する。
「東洋医学では、“皮膚にはすべての病が表れる”という考えがあります。そのため、古来より中国では、鍼灸や指圧といった皮膚に刺激を与えることで痛みやこりを治療する方法が実践されてきました。しかし皮膚には『陽圧(ようあつ)』といって、押すと硬くなり、弾力を失って垂れ下がる特性があります。つまり、刺激を与えて揉みほぐしているようでも、結果的には余計にこり固まってしまうのです」(徐さん・以下同)
指圧や鍼治療で強い刺激を与えるとこりがほぐれたように感じるが、それは一時的なこと。皮膚の下には小さな毛細血管がたくさん通っているため、過度な圧を加えると血管が収縮したり、痛めてしまうのだと徐さんは話す。
「肘(ひじ)や膝(ひざ)を見ると、ほかのところに比べて皮膚がやや黒ずみ、硬くなっていますよね。これは、肘や膝は床や机の上につく機会が多く、皮膚が知らぬうちに強く押されているからです。足にできるウオノメやタコ、かかとが硬くなるのも同様です。きつい靴によって圧迫され、皮膚そのものが固まってしまうのです」
皮膚をつまむと血流がよくなる理由
こりをほぐしたいのであれば、押すのではなく、皮膚を引っ張るのが正解だと徐さんは言う。
「皮膚を引っ張って『陰圧(いんあつ)』の状態にすると、皮膚組織が広がり、その下の毛細血管が開いて血液の流れがよくなり皮膚もやわらかく、きれいになります。このように、皮膚を引っ張って体の調子を整える手技を『整膚』といい、『肌つまみ』とも呼ばれています」
【皮膚をつまむと血流がよくなる】
・皮膚をつまんで引っ張ると、血管や皮膚の内部が広がり、ポンプで吸い上げるように、毛細血管のすみずみまで血液が流れやすくなる。
・つまんでいた指を離し広がっていた血管が元の狭さに戻ることで、血液がポンプで押し出されるように流れて血流がよくなる。
整膚は徐さんが約30年前に発見した健康法であり、現在は内科や整形外科、精神科など幅広い医療分野で治療法の1つとして取り入れられている。肌つまみのやり方には大きく2種類あり、つまむ部分によってやり方が異なってくる。
「1つは『気相の肌つまみ』。皮膚の表皮と真皮をつまんで引っ張る方法です。つまむ幅は狭く、弱めの力でほんの少し引っ張れば充分。ぶどうの皮をむくくらいのやさしい力で行ってください。
もう1つは『機能の肌つまみ』。これは皮下組織までつまんで引っ張る方法。つまむ幅は広く、力もやや強めにし、気相の肌つまみより高めに引っ張ります。主に、お腹や太もも、お尻など脂肪の多い場所で行います。いずれの肌つまみも痛みを感じるほど強くつまんだり、引っ張るのはNG。刺激が強すぎると逆効果になります。“やさしくつまんで、ゆっくりていねいに戻す”が基本です」
脂肪の多い部分や、こり固まっている部分は皮膚が硬く、つまみにくいこともある。そういった場合は、人差し指と親指で皮膚をつまむように指を当て、軽く揺らすだけでも充分。決して、無理に引っ張り上げようとしてはいけない。
基本的な肌つまみのやり方
皮膚の表面を親指と人差し指でやさしくつまみ、少しだけ引っ張る。その後、親指と人差し指は皮膚から離さず、引っ張った皮膚を元の場所に「置く」ような感覚で戻す。爪を立てたり、パッと指を開いて離すのはNG。
【肌つまみ1】こりをほぐす
『「つまむ」だけで劇的に改善! 自律神経“1分間”リセット』(大和出版)を参考に作成。
【肩こり解消】
【1】脇の前側をつまむ
脇を締め、腕のつけ根から1cmほど上の部分を1分間つまむ。重要なリンパ節がある脇をつまむと、筋肉の緊張やむくみがほぐれる。
【2】脇の下の中央をつまむ
脇の下の中央部分を1分間つまむ。痛みを感じるほど引っ張らないように注意。つまんだ皮膚を離すときは、必ず皮膚を置くようにゆっくり戻すこと。
【首の痛み、張りを解消】
【1】首の横側を3か所つまむ
耳の下から首のつけ根へ向かって、首の横側をまっすぐ上から3か所つまむ。3か所で合計1分程度が目安。
【2】首の中央を3か所つまむ
あごの下から首のつけ根へ向かって、まっすぐ上から3か所つまむ。3か所で合計1分程度が目安だが、こりがひどい場合は1か所につき1分つまんでもOK。