『ドクターX』3話「私は彼女を愛しています!」小室圭さん会見と奇跡的にシンクロ!
テレビ朝日の人気ドラマシリーズ、米倉涼子主演『ドクターX』第7シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)の第3話。第1話で大きく取り上げられていた新型コロナウイルス感染症や、大門未知子(米倉涼子)がかかったラッサ熱。どちらも、まったくなかったかのようにリセットされ、通常営業の『ドクターX』に。でもやっぱり“持ってる”ドラマは、世間を騒がす大ニュースを映す展開に……。シーズンすべてを観てきたライター&イラストレーターの北村ヂンも驚いています。
ストレスで発症する「たこつぼ心筋症」とは
今回の患者は東帝大の広報室長・三国蝶子(杉田かおる)。第1話から内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)の脇について、明らかにチョイ役ではない存在感を漂わせていたが、ここにきて患者としてスポットライトが当てられた。
『ドクターX』ファンにはお馴染みだが、各話に登場する患者は名前にその話数に対応した数字が含まれている。ということで、第3話で三国蝶子の身に何かが起こるというのは予想がついていたのだが。
病名は「たこつぼ心筋症」。通称「ストレス心筋症」とも呼ばれ、強いストレスが引き金となって発症することがあるんだとか。
アメリカでの調査では、コロナ禍でたこつぼ心筋症が急増しているという。おそらく、コロナ禍でストレスを感じる人が増えたことが影響しているのだろう。
蝶子は、マスコミ対応中にぶっ倒れている。
蝶子と厚生労働事務次官の神部八尋(宮川一朗太)が高級レストランで密会している写真がスクープされ、「科研費をめぐる違法接待ではないか?」という疑惑が持ち上がった。その騒動を収拾しようと取材に応じている最中だったのだ。
このあたりは、菅(すが)首相時代の内閣広報官が、菅首相の長男らから違法接待を受けて辞任した時事ネタを取り入れたものだろう。内閣広報官はその直後に体調不良で入院している。
蝶子の場合は本当に病気なのだが、「病院を隠れみのに事態の収拾を図ろうって魂胆か」と、大門以外の医師たちはみんな仮病だと考えていた。
まあ、官僚にしろ政治家にしろ芸能人にしろ、スキャンダル報道の直後に入院する人が本当に病気だと信じている人は限られるだろう。
杉田かおる VS 川上麻衣子のすごいバトル
今週はとにかく杉田かおるの演技力が爆発。主演である米倉涼子の影が薄くなるほど、杉田かおるの独壇場だった。
蝶子が本当に「たこつぼ心筋症」だと判明して以降、ストレスの原因は、蜂須賀内科部長から違法接待を強要されたことだろうと考えられていた。
しかし、神部の妻・久美子(川上麻衣子)が病室に乗り込んできたことで、神部との密会は単なる接待ではなく、不倫の逢瀬だったことが発覚する。
この杉田かおると川上麻衣子のバトルもすごかった。
「アナタが犯したのは倫理的な違法よ! アナタ、 大したことないくせに色仕掛けでウチの主人を誘惑したんでしょ!? ……この、泥棒ネコが!」
久美子は、持ってきた見舞いの花束で蝶子をバンバンぶったたく。対する蝶子も、不倫を責められて謝罪するどころか逆ギレ。
「愛もないのに夫婦でいる方が、よほど倫理に反する関係だと思いますけど!」
ほぼ昼ドラな修羅場展開! おそらく「泥棒ネコ」というワードも、昼ドラ……というか『牡丹と薔薇』のオマージュだろう。
ちなみに、杉田と川上といえば、それぞれ『3年B組金八先生』の第1シリーズ、第2シリーズのヒロイン役としてもおなじみ。3年B組のOG二人が、こんなところでドロドロの修羅場を演じるとは……。
もっとストーリーにガッツリ絡んでくるのかと思いきや、久美子の出番はここだけだったのが残念。チョイ役といってもいいくらいの役に、わざわざ川上麻衣子をキャスティングするあたり……やはり金八を意識してるんじゃないかな。
喜びに打ち震えながらぶっ倒れる圧巻の演技!
この修羅場に遭遇した内科副部長の鍬形忠(小籔千豊)は「すべらない話」として、蝶子の抱えるストレスの原因は「恋の病」だと披露した。
「たこつぼ心筋症」は別名「ブロークンハート症候群」とも呼ばれており、失恋のようなストレスによって悪化することもあるというのだ。
蝶子の病を外科手術ではなく、内科的な治療で対処すべきと主張する鍬形は、ストレスの原因である神部事務次官に接近し、蝶子を傷付けないよう、うまく別れるように進言。
結果、神部事務次官は記者たちの前で不倫をカミングアウトする。
「僕は彼女を愛しています!」
この言葉、どこかで聞いたぞ……と思ったら、放送の2日前に行われた小室圭さんの記者会見での例の発言だ。
時事ネタをいち早く取り入れる『ドクターX』とはいえ、さすがに撮影時期を考えるとこれは偶然。つくづく“持っている”ドラマだ。
さらに神部は、妻との離婚届を提出したと告白、「僕は三国蝶子さんと結婚します!」と宣言した。
ただ、「たこつぼ心筋症」は「ハッピーハート症候群」とも呼ばれ(色んな別名があるな……)、不幸な出来事やストレスだけではなく、幸せな瞬間に受ける衝撃によっても悪化することがあるのだ。
「結婚……ッ!」
喜びに打ち震えながらぶっ倒れる杉田かおるの鬼気迫る演技も見ものだった。すさまじい女優だ!
杉田かおる回はまだあるのか!?
ここから先は「私、100%失敗しないので!」と、いつもの『ドクターX』の展開だったが、完治してからも杉田かおる劇場は続く。
違法接待疑惑が報じられた直後には、蝶子を“トカゲの尻尾切り”しようとしていた蜂須賀内科部長だが、不倫を飛び越えて結婚することを知って手のひらを返す。
「これからは神部事務次官との結婚を有効に使ってください。東帝大と私のために!」
相変わらず腹黒い蜂須賀だが、蝶子の方も負けていない。
「そこまでおっしゃっていただけるのなら……そう主人に伝えます、フフフ」
わーっ、夫を自分の仕事に利用する気マンマンだ!
神部の会見を見て喜びに打ち震えていたのは、「結婚できる」というピュアな喜びではなく、厚労省のトップを手のひらに載せることができたという喜びからだったのだ。
本気の恋愛感情を抱いて妻と離婚までしちゃった神部事務次官が気の毒になってくる……。
「大門先生、おかげで何もかもうまくいったわ、ありがとう」
最後まで蝶子のペース!
名前に数字が含まれる患者はその話限りの登場というのがシリーズのお約束だが、大ボスと思われていた蜂須賀内科部長まで手玉に取る三国蝶子は今後もまだまだ暗躍してくれそうだ。
蝶子の夫となった神部は名前が「八尋」ということで、第8話あたりにまた何かありそうな予感がするが……果たして!?
文とイラスト/北村ヂン
1975年群馬県生まれ。各種おもしろ記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。……といいつつ最近は漫画ばかり描いています。