猫が母になつきません 第277話「とおくなる」
立ち上がる時に「よっこいしょ」と手をついている自分に気づきます。立ったり座ったりするだけのことがしんどいなんて、歳をとるってこういうことなんだなぁと実感する今日このごろ。シニア期に入ったさびも最近はもっぱら寝て過ごすことが多く、そんなに寝ていて大丈夫?と心配になるくらい。ブラッシング好きで「ブラシしようか」と声をかけると起きてきます。さびはよくブラシの途中で急に立ち上がって伸びをします。そしてくるんと一回りしながら私にお尻を向けて座り「はい、つづきどうぞ」という体勢をとるのですが、毎回最初の位置よりも少し遠くに座ります。本人は元の場所に戻ったつもりらしいのですが、必ず私から遠いのです。お尻を向けているので遠くなっていることには気づいていない? しかたないので私がさびに近づいて行き、ブラッシング中私たちは最初の位置から少しずつ前進していくことに…(苦笑)。猫って気持ち良さそうにしていても、急に噛んだりすることが。「もういい、しつこい」ということらしいのですが、豹変するので最初はびっくりしていました。今はそろそろ終わってほしそうだな、というのが雰囲気でわかります。付き合いが長くなり、密になれば行動パターンが読めて、気持ちも察することができるようになる。そんなコミュニケーションのあたりまえが、今、母には通用しなくなっています。予想外、想定外の行動の連続。とおくなるスピードが速すぎておいていかれそうです(汗)。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。