背中が痛い!注意すべき病気と対処法 死に至る痛みを見分ける5か条【医師監修】
コロナ禍による影響で急増中なのが、病院の診察控え。不調があっても、新型コロナウイルスの感染が不安で我慢しがちだ。なかでも、背中に感じる痛みは、死のサインとも言われている。手遅れにならないために、その痛みは病院に行くべきものなのかをチェックできる5か条を紹介します。病院に行ったときに伝わりやすくするポイントも現役医師がアドバイス。早期治療できるタイミングを見逃さないで。
判断基準の1つは発熱があるか
放置すれば命を危険にさらす可能性すらある背中の痛み。すぐに治療すべきかどうかはどう判断すべきなのだろうか。きくち総合診療クリニック院長の菊池大和さんは、1つの判断基準として「発熱を伴うかどうか」を挙げる。
「痛みに伴う発熱があるときは、内臓疾患である可能性が高い。すみやかに病院を受診してください」(菊池さん)
ソージュ山下町内科クリニック院長の中村蓉子さんは痛みがいつ、どのように始まったのかに注意を払ってほしいとアドバイスする。
「テレワークが続いて背中がこり固まってしまったり、重い物を持って腰に負担がかかったりなど、原因に思い当たるふしがあるときは、しばらく様子を見てもいいでしょう。ただし、あるとき突然痛みが出たような場合は、すぐに病院に行ってください。特に血管系の病気は、いつ痛み始めたかわからないというよりも、ある日突然明確に痛み始める時期があるケースがほとんどです」(中村さん)
新型コロナでも背中に痛みを伴う場合があるが、芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏さんは内臓からくるものとは異なると話す。
「発熱に伴う関節痛などが原因であり、痛みの種類としてはインフルエンザにかかったときと同様です。しかも背中は面積が広いため関節が痛むと“背中が痛い”と感じやすいですが、実際には背中以外にも痛みを感じているはずです」(今津さん)
自分の体の声を聞き、どこが痛むのかをしっかり確認することが大切なのだ。セルフチェックが終わったら、早めに病院へ足を運びたい。新型コロナの爆発的感染で医療機関が逼迫しているなか、「病院に迷惑がかかる」「外出すると感染のリスクが上がるのでは」といった理由で二の足を踏んでいる人も少なくないが、専門家の意見は正反対だ。
「コロナを気にしすぎてほかの病気を見逃すのは本末転倒です。遠慮せずに、違和感を覚えたらすぐに病院へ行ってほしい」(菊池さん)
痛みが出やすい5つの場所と病気の種類
主に痛みが出やすい5つの場所とかかりやすい病気を解説。痛みが出たら、チェックしてみて。
【1】急性すい炎・すい臓がん
すい臓は胃の裏側に位置するため、病気があると背中の真ん中からみぞおちにかけて痛みが。特にすい臓がんの場合、背中に痛みを感じるのはある程度大きくなってから。痛みを放置しないように気をつけたい。
【2】尿管結石・腎盂腎炎・腎梗塞
どれも病気をかかえた腎臓の左右どちらかに激しい痛みが走る。
【3】逆流性食道炎・食道がん
逆流性食道炎の場合、胃から喉にかけての痛みや食道に詰まったような違和感に加え、背中の上部が痛む場合が。食道がんも同様で喉の裏側や背中の上部にしみるような痛みがある。
【4】狭心症・心筋梗塞・大動脈瘤・大動脈解離
狭心症と心筋梗塞は上半身の真ん中を中心に肩から背中全体に広がるような痛みが伴い、大動脈の疾病の場合は血管に沿って痛みが移動していくことが特徴。
【5】子宮内膜症
子宮は腰の近くに位置しているため、異常や不調がある場合、腰に違和感が出ることが。特に子宮内膜症は多くの人が重い月経痛に加えて腰痛を感じることが多い。
死に至る痛みを見分ける5か条
背中の痛みが危険なサインかどうか、5つのポイントでチェック。1つでも当てはまったら、迷わず行動しましょう。
□ 痛みに伴い、発熱があるかどうかを確認するべし。
□ 突然生じた痛みかどうかを思い出すべし。
□ 最初はかかりつけ医に相談するべし。
□ 診療科に迷ったら内科へ。救急外来の経験があればなおよし。
□ 痛みの種類や期間など、医師に伝えるべきことをメモにまとめるべし。
救急外来を経験した内科医を選ぶ
では、どんな病院を受診すればしっかりと原因を特定してもらえるのだろうか。
「まずは、なじみがあり病歴も知っているかかりつけ医に診てもらうのがいちばん。かかりつけ医がいない場合は、内科を受診することをおすすめします。
もし整形外科に行った場合、原因が内臓にあっても特定できず、見落としてしまうことが多い。同様の状況になったとき、内科の医師であれば“これは内科の病気ではないので、整形外科へ行ってください”とアドバイスしやすい。
その医師に救急外来の経験があればなお安心です。さまざまな急病患者を診療してきた経験から、痛みがどのくらい緊急度が高いか、しっかり判断してもらえる可能性が高いのです」(今津さん)
医師の経歴は病院のホームページに掲載されているため、受診前に確認しておきたい。いざ医師を前にした際には、痛みの情報を過不足なく伝えることが大切だ。
「痛みには個人差があり、漠然としています。ただ“痛い”と言っても医師にはうまく伝わらないことが多い。だからこそ、どこがどのように痛むのか、いつ頃から痛みが始まったのかなど、事前に伝えるべきことをメモにまとめるなど、きちんと準備しておくといいでしょう」(今津さん)
病(やまい)は背中で語る―― 自分の体が発するSOSを聞き逃さず、対処したい。
教えてくれた人
きくち総合診療クリニック院長・菊池大和さん、芝大門いまづクリニック院長・今津嘉宏さん、ソージュ山下町内科クリニック院長・中村蓉子さん
※女性セブン2021年9月9日号
https://josei7.com/
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