災害時の電話、一番つながりやすいのは公衆電話 家族間で連絡ルールを決めて
地震の揺れが収まり、身の安全が確認できた後、気になるのは家族や知人の安否。そんな災害時の連絡手段として頼りになるのは、固定電話、携帯電話(スマホ)、どちらだろうか?いざというといに役立つノウハウを専門家に教えてもらった。
公衆電話は通信制限の対象外
「災害時、いちばんつながりやすいのは公衆電話です」
と話すのは、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんだ。
「東日本大震災では、固定電話の約190万回線が被災、携帯電話も約2万9000局の基地局が被害を受け、利用停止となりました。
さらに大地震などの緊急時は、音声通話が集中し、往々にして回線が込み合う輻輳(ふくそう)状態となります。この状態が続くとシステムがパンクしてしまうため、通信制限がかかり、電話がつながりにくくなるのですが、公衆電話はこういった通信制限の対象外。警察・消防への緊急通報と同じ“災害時優先電話”となり、平時と同様に利用ができます」(高荷さん・以下同)
実際、東日本大震災が発生した当日の公衆電話の利用者は、前日の約10倍を記録している。ただし停電時はテレホンカードが使えないので、公衆電話用に小銭を携帯しておくと安心だ。
音声通話機能のあるスマホアプリのインストールを
とはいえ、最近は公衆電話の設置台数も減っており、近くにあるとは限らない。あったとしても利用者が殺到して、すぐに使えない可能性も。その場合、固定電話や携帯電話を利用することになるが、どちらがつながりやすいのか?
「通信制限がかかり電話回線を利用した音声通話が使えない場合は、LINEやSkype、Messengerなど、スマホアプリの音声通話機能を使えばいいんです。
アプリは、電話回線を用いないため、通信制限とは関係なく、端末と基地局が生きていれば接続が可能です」
あらかじめ、スマホに音声通話機能のあるアプリをインストールしておこう。
家族間で災害時の連絡ルールを決めておくことが大切
ちなみに固定電話は停電時でも使えると思われがちだが、停電時もそのまま使えるのは、電話機に電話線のみが接続されている電話だけ。電源のいる電話機や最近増えているインターネット回線を利用したIP電話やひかり電話は、停電したら使えない。
緊急時はなるべく電話連絡に頼らないでも済むよう、家族間で災害時の連絡ルールを定めておくことも大切だ。災害用伝言ダイヤル『171』(※)の利用方法も確認しておこう。
※災害用伝言ダイヤルとは?
地震、噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板。
詳しくはNTTのHPを参照→https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/
まとめ
●災害時、つながりやすいのは公衆電話
●停電時はテレホンカードは使えないので小銭は携帯すると◎
●LINE、Messengerなど音声機能のあるスマホアプリのインストールを
●固定電話は停電すると使えない可能性もあるので要注意
●災害伝言ダイヤルの利用法の確認を
教えてくれた人
備え・防災アドバイザーの高荷智也さん
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃