熱中症予防に心がけたい6つの生活習慣 入浴で『暑熱順化』を【医師監修】
梅雨が明け本格的な夏がやってくると、急な暑さに体が追いつかない人も多い。特に、高齢者の熱中症は命にかかわる危険があるので、注意しておきたい。そこで、熱中症にならない生活ポイントを、高齢者の在宅診療を行う「医療法人社団ときわ」理事長であり医師の小畑正孝さんが教えてくれました。毎日のさまざまなシーンで予防と対策をして、元気に暑さと付き合いましょう!
1.室内…エアコンをつける気温の目安は?
「熱中症は真夏にだけ起こるものではありません。梅雨入り、梅雨明けの蒸し暑い時期は、体が暑さにまだ慣れておらず、熱中症に陥ることも多々あります。
エアコンをつける目安としては気温が25℃を超えたら使用を検討し、28℃を超えたら必ずつけるようにしてください」(医師・小畑正孝さん・以下同)
2.食事…摂るべき食品は?
「食事は1日3食、栄養バランスのとれたものが望ましいですが、暑くなってくると食欲が減退します。麺類等、食べやすいものに偏りがちですが、たんぱく質不足になると体力も弱まります。卵や豆腐、納豆、肉や魚などを意識して食べましょう」
汗で失われるカリウムにはトマトやほうれん草が◯。
3.入浴…39度の風呂に10~15分
「コップ1杯の水を飲んでから、39℃程度のぬるめの風呂に約10~15分ほど肩までゆっくりつかるのがオススメ。現代人は汗をかく機能が落ちています。シャワーではなく湯船にしっかりとつかることで汗腺機能を整え、暑さに体を順応させていく『暑熱順化』を鍛えられ、熱中症対策になります」
4.外出時…水分補給をマメに
「不要不急の外出は避け、どうしても必要な用事の際は『暑さ指数』(WBGT値)をチェックし、涼しい時間帯を選んで短時間ですませる。帽子や日傘を忘れずに持参し、衣類は木綿や麻など通気性のよい自然素材や、スポーツウエアなどに使われる吸汗、速乾性に優れた素材のものを。水分補給もマメに」
5.運動…ウオーキングは早朝や夜間に
「適度な運動は健康維持のために大切ですが、夏場の屋外運動はとても危険です。気温が30℃でも湿度が高いと体調を崩しやすくなります。特に高齢者や肥満の人は注意。ウオーキングなら早朝や夜間に。できれば涼しい屋内でできるストレッチや筋トレ、ヨガなどを行うようにしましょう」
6.睡眠…7~8時間快適な睡眠を
「睡眠不足は大敵。寝苦しい夜はエアコンや除湿機能を活用して快適な睡眠をとれるように心がけて。風が直接当たるのを避けたければ、隣室のエアコンをつけ、扇風機で循環させるのも手。睡眠時間は個人差がありますが、7~8時間がベスト。日中に眠くならないかどうかが熟睡度の目安です」
教えてくれた人
医師 小畑正孝さん
「医療法人社団ときわ」理事長。専門は内科、総合診療科。2016年に「赤羽在宅クリニック」を開院。翌年、「医療法人社団ときわ」を立ち上げ、理事長就任。2021年「サルスクリニック」を開院。
取材・文/加藤みのり イラスト/ドナ
※女性セブン2021年7月1・8日号