“ひと口目”を変えて「糖質」の摂り過ぎを防ぐ|納豆はご飯より先に食べるべし
ご飯やパン、パスタなどついつい食べ過ぎてしまいがちな炭水化物。その中に含まれている「糖質」は摂取しすぎると様々な問題を引き起こすと言われている。とはいえ、大事な栄養素でもあるので全く摂らないのも問題だ。今回、ご飯を食べる前にあるものを食べると良いということが医師の取材で分かった。それはどんな食材なのか? ランキング形式でご紹介する。
多くの人が摂りすぎている「糖質」
炭水化物に含まれる「糖質」はエネルギー源となる重要な栄養素だが、多くの現代人が「摂りすぎ」だとAGE牧田クリニック院長の牧田善二さんは指摘する。
「人間の体は、糖質を摂ると脳からドーパミンという快楽ホルモンが出て、幸せな気持ちになるようにできています。そのため、つい摂りすぎてしまい、『糖質中毒』に陥りやすい。体重が70kgをオーバーしている女性は、ほぼ糖質中毒といっても大げさではありません」(牧田さん・以下同)
ご飯を筆頭に、パン、パスタ、スイーツ、いも類など、女性が好きな食べ物はいずれも糖質量が多い。空腹時にこれらを食べると、血糖値の急上昇を招き糖尿病の原因となる。
■老化を早める危険も!
「糖質をたくさん摂取すると、老化の元凶であるAGE(終末糖化産物)という物質が一気に増えます。見た目が老けるだけでなく、動脈硬化を進め、寿命を縮めます」
ご飯の前にたんぱく質を食べる
最も手っ取り早い対処法は炭水化物を控えることだが、大好きな食べ物をがまんすることは想像以上に難しい。一方で、肉や野菜はいくら食べても血糖値を上げることはない。つまり、先にたんぱく質や食物繊維を摂取することが、血糖値の急上昇を防いでくれるのだ。
「いずれも炭水化物と一緒に食べると血糖値が上がりにくくなるという研究結果があります。最も効果的とされるのが肉や魚、豆類などに含まれる『たんぱく質』です。肉とご飯を一緒に食べても効果がありますが、胃は空腹時に食べたものほど積極的に消化、吸収する性質がある。先にたんぱく質や食物繊維が豊富な食品を食べた方がより高い効果を期待できます」
納豆を食べるときは、ご飯にかけるのではなく、先に納豆を食べてから。定食を食べるときも、まずは肉や魚などの主菜から手をつけよう。
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■食べ方もひと工夫すればさらに効果が高まる
食物繊維だけでなく、ビタミン、ミネラルなどの栄養素も豊富に含まれる野菜は、食べ方をひと工夫すれば、より効率よく摂取できる。管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「大根に含まれるでんぷんの消化酵素『ジアスターゼ』は、酸素に触れると活性化しやすいので、大根はすりおろしてください。消化酵素は熱に弱いため、生食が基本です。また、キャベツは千切りにするよりも、一口大にちぎった方が噛む回数が増えます。よく噛むことは満腹中枢を刺激するだけでなく、血糖値が急激に上がることを抑えるともいわれています」
血糖値は、朝より夜の方が上がりやすい。好きな食事を満喫したいなら、早寝早起きを心がけ、一日の最初の食事を充実させよう。
ご飯を食べる前に食べるべき食品【ベスト10】
「糖質」のスペシャリストである牧田さんが提言する、ご飯を食べる前に食べるといい食品をランキング形式で紹介。
★10位 ほうれん草
食物繊維が豊富なだけでなく、赤血球をつくる鉄分や葉酸を摂取できる。貧血気味の人は、積極的に食べるべき食品。
★9位 チンゲンサイ
βカロテンやビタミンCなど抗酸化作用の強い物質を多く含み、糖化反応による体内の老化を抑えるとされる。アメリカでは、クレソンに次いで栄養素密度が高い野菜に選ばれている。
★8位 大根
「ジアスターゼ」、たんぱく質分解酵素の「プロテアーゼ」、脂肪分解酵素の「リパーゼ」などの消化酵素が豊富で、肥満予防に効果的。大根おろしにすることで、酵素の働きがより活性化する。
★7位 キャベツ
糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑える食物繊維を多く含有。糖質の一種であるでんぷんの分解酵素「ジアスターゼ」が含まれ、糖質を効率よく代謝できる。
★6位 ブロッコリー
ブロッコリーに含まれる「スルフォラファン」は血糖値を下げる効果がある。スルフォラファンはブロッコリーの新芽(スプラウト)に特に豊富に含まれており、その健康効果は3日間持続するといわれるため、新芽を2~3日に1パック食べるとより効果的だ。
★5位 豚肉
鶏肉同様、動物性たんぱく質が豊富。また、豚肉はビタミンB1の含有量が食品の中でトップクラス。ビタミンB1には、摂取した糖質の代謝をサポートする働きがあり、「AGE」の害を防ぐ働きがある。
★4位 鶏肉
鶏肉はたんぱく質の代表格。発がんリスクがなく、長寿を導く食べ物。疲労緩和、脳機能改善に効果があるとされる成分「イミダゾールジペプチド」という成分は、認知症予防への効果も期待される。
★3位 青魚全般
たんぱく質が豊富な魚の中でも、いわし、さば、さんま、あじなどの青魚には、中性脂肪を減らし、動脈硬化を抑える体にいい脂肪酸「EPA」が含まれる。
★2位 豆腐
納豆と同じく、大豆由来のたんぱく質が豊富。また、大豆イソフラボンは悪玉物質「AGE(終末糖化産物)」の数値を下げる効果も。満腹感を得やすいため、先に食べることでご飯の食べすぎ予防にも◎。
★1位 納豆
たんぱく質は、血糖値の上昇を最も抑える効果がある。大豆の発酵食品である納豆は植物性たんぱく質を豊富に含む上、血栓を予防する。脳血栓や心筋梗塞のリスクを下げてくれる。
教えてくれた人
牧田善二さん/AGE牧田クリニック・院長、望月理恵子さん/管理栄養士※女性セブン2021年6月3日号
https://josei7.com/
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