ツイッターフォロワー21万人!精神科医Tomyさんが解き明かす「運」の正体
悩みに寄り添うアドバイスをツイッターでつぶやき、大人気の精神科医がいる。「アテクシね、こう思うの」とオネエ言葉で綴る主はTomyさんだ。優しい口調で叱咤激励するつぶやきは人間味がある。近著『精神科医Tomyが教える 運を良くするたったひとつの正しい方法』(日本文芸社)で伝えたかったことを聞いてみた。
そもそも、「運」とは行動の結果だと思ってるの
Tomyさんのツイートは温かさにあふれているが、現役医師らしく理論的だ。著書でも、“運とはやみくもな神頼みで得られるものではない”という趣旨の持論を展開している。
「運というテーマは、興味深いわよね。でも、運が良くなりますように! とただ本を買うだけでは、運は良くならないってみんなわかってるでしょ。身もふたもないことを言っちゃったけど、自分がどう動けば幸せに近づくのかを知りたいのよね。だからアテクシ、精神科医として“認知行動療法”に注目しました。悩みがあったり生きづらいと感じる時、自分の考え方のクセに気づき、望ましい行動に変えていくのが“認知行動療法”です」
―ー具体的にはどうすれば? それができれば苦労しない、という気もするのですが…?
「なんとなく不安・不満を感じる心のモヤモヤを、書き出して眺めたことはありますか? 文字にすると輪郭がハッキリして、具体的に何をする必要があるか見えてきます。Tomy流でいうと、目的に合わせた正しい考え方と行動こそが運の正体。正しい行動がわかり、実践できている人が“運のいい人”なのよ」
いつのまにか自分の運を悪くする行動をとっていないか、気づくきっかけにもなりそうだ。
自粛生活に、引き続きのリモート。意識的にストレスを逃して対応しましょ。
Tomyさんのクリニックやツイッターへの反応には、コロナ禍の影響が色濃く出ているという。
「新患が増えた印象はあります。コロナ禍で環境が変わり、自分を心地よくする時間を作りづらくて悶々としてしまうのかもしれません。気分を変えるには行動を変えることですが、散歩で気分転換するのがおすすめです。適度に疲れてよく眠れるようになり、生活のリズムが整う手助けになります。シャワーで済ませず、湯船に浸かるだけでもいいでしょう。心地よいことをしながらマイナスなことは考えられないので、意外と馬鹿にできない方法よ」
―ーTomyさんは精神科医だから、何かすごい気分転換のワザがあるんですか?
「アテクシは昨年電子ピアノを買いました。最近はお安いキーボードもあるわね。上手でなくても心地よい音を聞くと心が穏やかになりますよ。『色々あるけど、まいっか』ってなると思うから、楽器を弾くのもおすすめね」
いつも全集中はムリ。“エネルギー出し惜しみの法則”よ
「アテクシね、60%の力で日常を回せたら理想だと思ってるの。実はこれ、自分が過去に恋人を亡くした辛い経験が元になってるんだけど。寂しさを埋めるために、診療のほかに執筆の仕事をたくさん入れたら疲れ果てて、体調を崩してしまったんです」
ーー大変なことがあったのですね。でも、力を抜くって難しい。意識して力を温存するにはどうしたら?
「アテクシの場合ですが、常に自分の疲れ具合をモニタリングしています。何時間働いたかではなく、体感で決めることが大切。診療の帰り道に、『今日の診察は50人で少なめだったけど、初診を多く診たから疲れたわ』とか、『今日は80人診たけど、回復してきた人が多くてエネルギーもらっちゃった!』という感じです。今のエネルギー量に合わせて『今日やらないこと』を決めて、疲れが明日に持ち越しそうだったら、明日やらないことも決めてしまいます。体調が悪い日も同様です。真面目な人によくあるのが、疲れてる日も毎日ジョギングを欠かさない、といった習慣です。無理しなくていいんじゃないかしら」
ーー余力を残して、大事なことに全集中するということですね?
「そう、ハプニングがあった時に余力が使えるわよね。あとは、自分を甘やかすことに使いましょ。そういう時間がないと、何のために生きてるのかわからないじゃないですか。アテクシはすごく忙しい時も、映画を2日で1本見るなどの息抜きをして、自分のバランスをとるようにしているわ」
確かに、仕事・家事・家族の用事などの日常は完璧を目指さず、ゆるみをもたせる方が穏やかに暮らせそうだ。
忙しく、不安の多い時代。心がラクになる考え方って?
「やること全部を足し算してひとりで抱えると、自分が潰れてしまいます。日常の生活でも、今まさに介護をしている人も同じ。状況もあると思いますが、できないことはやらないと決めて、ゆるみをもたせる方法を検討してみてください。完璧主義にならないでね」
“運”が自分で選んだ行動の結果だとするなら、マラソンのようにペースを守って走りたい。60%の速度を目指すことこそ、長く幸せに走るコツなのだ。
【プロフィール】
精神科医Tomyさん/1978年生まれ。国立大学医学部卒業後、精神科クリニックに勤務。2020年から2021年春までに10冊もの著書を発表、作家・エッセイストとしても活躍。ツイッター:『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』 @PdoctorTomy
『精神科医Tomyが教える 運を良くするたったひとつの正しい方法』(日本文芸社)では、運の良い人の行動パターンを解説。おのずとハッピーが舞い込む、人生のバイブルだ。
取材・文/永田玲香