「紅茶」が健康にいい5つの理由|驚きの成分”テアフラビン”とは?
コロナ自粛の影響で、自宅で本格的な紅茶を楽しむ人が増えている。仕事の合間にほっとひと息つきながリラックスするだけでなく、紅茶にはさまざまな健康効果があるんです。どうせ飲むなら健康効果を上げる飲み方、しませんか?
紅茶のもつ健康パワーに注目!
昨年11月、こんなニュースが飛び込んできた。
「奈良県立医科大学微生物感染症学講座教授の矢野寿一さんの研究チームが、お茶による新型コロナウイルスの不活化を確認した」というのだ。
奈良県立医科大学の担当者は次のように説明する。
「市販されているペットボトルの緑茶や、ティーバッグで販売されている紅茶など約10種類の試験を行いました。その中で、茶葉でいれた紅茶と緑茶には新型コロナウイルスの不活化がみられました。具体的な解明はまだですが、おそらくポリフェノールの一種、カテキンが影響していると推測されます」
カテキンといえば、紅茶や緑茶に含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用があることはよく知られている。
「紅茶には、カテキン以外にも特有のポリフェノールがあり、それがさまざまな病気の予防に役に立つと考えられています。なかでも、インフルエンザ予防や生活習慣病の改善の面で、より高い効果がみられることもわかってきています」
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構研究院助教の高見澤菜穂子さんは、そう話をしてくれた。
紅茶の特有の成分「テアフラビン」がすごい!
紅茶や緑茶、烏龍茶は、同じ種類の葉っぱから作られる。
「ツバキ科の常緑樹の葉っぱです。紅茶はこの茶葉を発酵させて作るのですが、酸化酵素により発酵させることで、赤茶色になります」(高見澤さん・以下同)
茶葉にはそもそもカテキンが含まれているが、これが発酵することでテアフラビンに変化する。
「ポリフェノールには、まだ名前がついていない成分も多いのですが、代表的なものにテアフラビンがあります。これは、紅茶特有のポリフェノールです。近年の研究では血糖値の上昇や脂肪吸収を抑える効果があると考えられています。消化酵素が働く際、テアフラビンが存在すると、より効果が発揮されることがわかっているため、紅茶は何も入れずに1日3食の食事とともに飲むのが理想的です」
血糖値上昇や脂肪吸収の抑制効果を期待するなら、茶葉でいれた紅茶を。インフルエンザ予防には、ペットボトル入りのものでも充分だ。
「喉に付着させておくことが目的なので、テアフラビン配合の“紅茶のど飴”をなめるのもいいですね」
紅茶のすごい健康パワー【5】
【1】食後の血糖値上昇の抑制
「パンやご飯に含まれるでんぷんが、唾液に含まれるアミラーゼによってマルトースという糖になり、小腸に入ると消化酵素によってブドウ糖に消化・吸収されることで血糖値は上がります。紅茶のポリフェノールやテアフラビンという成分には、酵素による糖の消化を抑制する効果があることがわかっています。朝昼晩、食事と一緒に1杯の紅茶を飲むことで血糖値上昇の抑制が期待できます」(高見澤さん・以下同)
【2】脂肪吸収の抑制
茶葉を発酵させるとできるテアフラビンには、脂肪の消化・吸収を抑える力もある。
「脂肪を消化する酵素であるリパーゼの働きを阻害し、体内への吸収を抑える効果があります。緑茶や烏龍茶と比べても、紅茶はいちばん豊富で、吸収しにくいという結果もあります。1日3回の食事のときに紅茶を1杯飲むことでメタボ予防が期待できます」。
【3】インフルエンザ予防
インフルエンザウイルスには、外側にギザギザした突起物があり、それが喉の粘膜にくっついて感染する。
「テアフラビンがこの突起物に付着すると、ウイルスが喉に付着しづらくなる効果があると報告されています。ウイルスは口から入る場合、喉にくっついて感染しますから、外出先では喉が渇く前に紅茶を飲む、帰宅したら紅茶でうがいをすると予防効果が期待できます」。
【4】リラックス効果
紅茶に含まれる香りには、リラックス効果がある。
「ある実験で、紅茶の香りがするアロマを眠る前に被験者に嗅いでもらったところ、入眠しやすく、目覚めがいいという結果が出ました。紅茶には香りを嗅ぐだけでリラックスできる効果があるようです。寝る前に飲む場合はカフェインレスのものを」。
【5】お肌のアンチエイジング
血糖値の上昇を抑えることは、肌の老化予防にもつながる。
「肌の老化原因の1つに糖化があります。体内に糖が増えると、たんぱく質と結びついて老化物質に変わり、肌のコラーゲンを破壊。皮膚の張りや弾力が失われます。朝昼晩、食事のたびに紅茶を1杯飲むことで、体内の糖の増加が抑えられ、お肌のアンチエンジングにもつながります」。
健康効果がアップする飲み方は?
■ミルクやレモンを加えるのは?
ミルクティーはたんぱく質やカルシウムを補うのには効果的。
「ただ、牛乳が入るとインフルエンザウイルスを不活化する効能は下がるといわれています。また、牛乳には脂肪分が含まれるので、脂肪吸収を抑えたい場合は、食事と一緒に摂るならストレートがベスト。レモンティーは多少ですが、ビタミンCの補給になりますし、リラックスしたいときにいいでしょう」(高見澤さん・以下同)。
■紅茶はウバかティンブラがベスト
紅茶は産地によって健康効果が違う。
「紫外線や寒暖差など過酷な環境に耐えた茶葉は、ポリフェノールが豊富です。特に、スリランカ産のウバやティンブラにはポリフェノールが多く含まれており、色も濃い赤茶色です。試験管での実験では、ほかの産地のものに比べ、この2つはとりわけ血糖値の上昇を抑制する効果がみられました」
■紅茶は沸かしたてを
健康面で大事なのは温度。
『相棒』(テレビ朝日系)では、水谷豊扮する杉下右京が、高いところから紅茶を注ぐシーンがあるが、健康効果はあるのだろうか?
「茶葉を入れたポットにお湯を注ぐ際は、高いところからだとおいしくなるといいますが、健康面で大事なのは温度。沸騰したての熱々のお湯を注ぐことで、ポリフェノールがよく抽出されます。蒸らす時間は3~4分で充分です」。
さらにパワーアップ! “健康系”紅茶
「食事のおともに食物繊維入り紅茶(機能性表示食品) 210g(7g×30本)」2268円/日清オイリオ
糖と脂肪の吸収を穏やかに。難消化性デキストリンが食事から摂取した糖や脂肪の吸収を抑える。
「紅茶博士のテアフラビンのど飴 80g 216円」/榮太樓總本鋪
季節の変わり目に。紅茶うがいをヒントに開発。ポリフェノール・テアフラビンを配合。
教えてくれた人
高見澤菜穂子さん/早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構研究院助教
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/横山寛多、高山テンキ
※女性セブン2021年3月25日号
https://josei7.com/
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