「親が子育てに口を出して困る…」毒蝮三太夫がズバリ!アドバイス|新連載 マムちゃんの毒入り相談室【第1回】
毒蝮三太夫さんの大好評連載が、読者の切実な要望に応えるべく、大胆にリニューアル! ジジイとババアの心を誰よりも知る我らがマムちゃんが、親子の関係や高齢者とのコミュニケーションにまつわる悩みにズバリ答えます。今回は「親が子育てにやたら口を出してくる」と「親が孫かわいさに、甘いお菓子をしょっちゅうあげて困る」の2本立て!(聞き手・石原壮一郎)
今回のお悩み1:「親が子育てにやたら口を出してくる」
「相談待ってるよ!」って呼びかけたら、さっそくたくさんの人が送ってくれた。ありがたいけど、心配にもなるよね。そんなにみんな悩んでるのかって。だったらいっそのこと、ここで悩み相談に答えていこうじゃないか。俺はただ好き勝手に言わせてもらうから、「なるほどな」って納得したり「それはどうかな」って考えたりして、自分なりに役に立ててくれ。
まずは40歳、男性の相談から。
「7歳の男の子と4歳の女の子がいます。近所に住む私の両親が、しょっちゅう家に来ては、子育てに口を出してきます。もっと外で遊ばせないとダメだとか、こういうオモチャで遊ばせるのは教育上よくないとか。上の子は小学校1年生で、入学前は『どうして受験させないんだ』とうるさく言ってきました。結局は自分たちの考えを貫きましたが、ものすごく疲れました。妻もホトホトまいってます」
なるほどね。自分の親が孫の育て方について、うるさく口を出してくるわけか。子どもの側にしてみたら、さぞうっとうしいだろうな。でもな、それは口を出させてやれ。「口を出さないでほしい」なんて言ったところで、おとなしくなりゃしないよ。親の側は「孫のためには自分たちが言わないと」って張り切ってるわけで、しかもヒマなんだから。
年寄りっていうのは、たまにはいいことも言うんだよ。100言ったら、そのうちひとつぐらいは役に立つことだったりする。だから、言わせるだけ言わせて、どうでもいい話は聞き流せばいい。「どうせ向こうのほうが先が短いんだから」ぐらいに思っておけば、腹も立たないんじゃないか。
親の言うことを全部まともに受け止めてたら、そりゃ疲れるよ。子どもの側が生真面目に「親の意見も尊重したほうがいいかなあ」って思ったところで、実際は尊重のしようがない意見がほとんどだ。実の子である旦那が中途半端にちゃんと受け止めようとするから、奥さんも板挟みになったみたいになってまいっちゃうんじゃないか。
言ってくることをいちいち否定するのもよくない。「父さん、それは違うよ」「母さん、そうは言うけど今の時代は」なんて反論したところで、親は聞く耳を持ったりしないし、意見を変えることもないだろうね。聞いたフリだけでもいいから「フンフン」って聞いてやれば、そのうち向こうだってくたびれて言わなくなってくるよ。
親を黙らせるのは難しいけど、自分が受け止め方を変えるのはすぐにだってできる。まともに相手しなきゃいけないっていう気持ちを捨てて、奥さんとも「聞き流せばいいよ」って話にすれば、こっち側のストレスはずいぶん減るんじゃないかな。
今回のお悩み2:「孫に甘いお菓子をしょっちゅうあげて困る」
親に困っているっていう相談が、こっちにもあるな。
35歳、女性からで「親が孫かわいさに、甘いお菓子をしょっちゅうあげて困る」っていう悩みだ。
そういう年寄り、いそうだよな。これはね、こんなふうに言ってやればいいんだよ。
「おじいちゃん、おばあちゃん、この子にそんなにたくさんお菓子をやるのは、かわいくない孫だからよね。将来生活習慣病にでもなって、早く死んでほしいのね」
そう言われたら、ジジババだってギクッとする。「そんなわけないだろ!」って怒りだすかもしれない。で、こう続ける。
「欲しがるからってどんどんお菓子をあげてると、虫歯になるのはもちろんだけど、大げさじゃなくて命にかかわるわよ。本当にかわいいんだったら、少ししかあげないとか、あげるのを止めるとかってしないとね。かわいくないんだったら、もっとあげればいいけど」
自分の親ならまだしも、旦那の親の場合は言いづらいかもしれない。旦那に言わせてもいいかもな。どっちにしろ「やめてほしい」って祈ってるだけじゃ、相手には絶対に通じない。子どもの虫歯がどんどん増えていくばかりだ。たまには旦那の親にもバシッと言って、「ウチの嫁は怒ると怖い」と思わせるのもいいんじゃないか。
こんな調子で答えていくから、親や年寄りとの関係で悩んでること、困っていることをどんどん送ってくれ。案ずるよりマムシに聞くが易し、なんてことわざもあるからな。
毒蝮さんに、あなたの悩みや困ったこと、相談したいことをお寄せください。
※今後の記事中で、毒蝮さんがご相談にズバリ!アドバイスします。なお、ご相談内容、すべてにお答えすることはできませんことを、予めご了承ください。
毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)
1936年東京生まれ(品川生まれ浅草育ち)。俳優・タレント。聖徳大学客員教授。日大芸術学部映画学科卒。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役など、本名の「石井伊吉」で俳優としてテレビや映画で活躍。「笑点」で座布団運びをしていた1968年に、司会の立川談志の助言で現在の芸名に改名した。1969年10月からパーソナリティを務めているTBSラジオの「ミュージックプレゼント」は、現在『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』内で毎月最終土曜日の10時台に放送中。84歳の現在も、ラジオ、テレビ、講演、大学での講義など精力的に活躍中。最新刊『たぬきババアとゴリおやじ 俺とおやじとおふくろの昭和物語』(学研プラス)は幅広い年代に大好評!取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
いしはら・そういちろう 1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。この連載では蝮さんの言葉を通じて、高齢者に対する大人力とは何かを探求している。
撮影/政川慎治