災害で公共交通機関がストップ!歩いて帰る場合、どの道を選ぶべき?
大地震など、災害はいつ発生するかわからない。もうすぐ東日本大震災からまる10年が経つが、改めて災害発生時に取るべき行動、いざというときに迷わないためのノウハウを専門家が伝授します!
災害で帰宅困難になってしまったら…
首都直下地震が発生した場合、1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)で最大約650万人の帰宅困難者が発生すると推計されている(※)。
※内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について」(ʼ13年12月公表)より
●発生直後に歩いて帰るのは危険!
「東日本大震災のときは、多くの人が徒歩での帰宅を試みましたが、それにより車道にまで人があふれて交通渋滞が発生しました。それだけでなく大勢の人が一斉に移動すると、群衆雪崩などの事故が起きたり、余震による家屋倒壊、延焼火災などの二次的な被害に巻き込まれる恐れもあるので、発災後すぐに歩いて帰ろうとするのは危険です」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
政府や自治体も、災害時はむやみに移動を開始しないよう呼び掛け、首都圏の企業に対して、社員がインフラ回復までの一定期間滞在できるような備蓄を求めている。
「公共交通機関が止まって帰宅が困難になった場合、公共交通機関が回復するまで、職場や地域ごとに指定されている帰宅困難者支援施設で待機することになります」(和田さん・以下同)
→地震で電車が止まり帰宅困難になったら…覚えておきたい「指定避難施設」って?
●帰宅支援対象道路を通って帰宅を
やむを得ず帰宅する場合は、道路の被災状況や混雑状況などの情報を収集して、安全面に充分配慮しなければならない。ではその際、どの道を歩くのが安全か?幹線道路などの主要交通機関沿いは混雑が予想されるので、人通りの少ない生活道路の方が歩きやすそうだが…。
「東京都の場合、主要な幹線道路16路線(第一京浜、甲州街道など)を“帰宅支援対象道路”と指定し、この幹線道路から半径2㎞以内に水やトイレ、休憩の場などを提供する災害時帰宅支援ステーションを配置するなど、徒歩で帰宅する人への対策をとっています。そのため、これら自治体の支援を受けやすい幹線道路を選んだ方がいいでしょう」
もし歩道が渋滞していても、救急活動の妨げになるので車道を歩くなどといったことはしてはいけない。
また幹線道路が利用できない可能性や、地域によっては地形的に幹線道路が危険な場合もある。そのためにも、災害時帰宅支援ステーションなどの施設から支援を受けやすい道路を優先した複数の帰宅ルートを事前に調べておいた方がよい。そして移動は、犯罪などに巻き込まれないよう昼間などの明るい時間帯を選ぼう。
まとめ
●災害発生直後に帰宅しない。
●公共交通機関が回復するまで、職場や地域ごとに指定されている帰宅困難者支援施設で待機する。
●やむを得ず帰宅する場合は、帰宅支援対象道路を通る。
●予め複数の帰宅ルートをチェックしておく。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年8月13日号
https://josei7.com/