舌と口の筋力低下が招く「低位舌」に要注意!誤嚥性肺炎のリスクも|チェックリストつき
長引く外出の自粛や在宅ワークに、運動不足や筋力低下を感じる人も少なくない。実は、筋力が低下するのは「口の中」も同じ。マスクで口元を見せず、人との会話が減り、外出も控える日々が続くことで、舌や口まわりの筋力まで衰えやすくなっているのだ。
「舌が下がる」と食べられなくなる
まず、自分の「舌と口」が衰えていないか、下のチェックリストで確かめてみてほしい。1つでも当てはまれば、口まわりの筋力が衰えている可能性が高い。3つ以上当てはまれば、筋力の衰えが進み、噛んだり、飲んだり、しゃべったりすることが難しくなる「オーラルフレイル」(※)に陥る危険性がある。
※「オーラルフレイル」は、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つ(日本歯科医師会より)
口の中の筋力が低下すると、何が起こるのか。最も大きな問題は「舌の位置が下がること」だ。
■「舌と口」の衰えチェックリスト
□口が開きにくい、開こうとすると痛みがある。※
□硬いものが食べにくい。※
□歯並びが悪くなってきた。
□口臭が気になる。
□いびきをかく。
□食事に時間がかかるようになった。
□ものを食べるとむせることが増えた。
□食べこぼしをすることが増えた。
□舌や頰の内側をよく噛んでしまう。
□口の中が乾くようになった。
上のチェックで、3つ以上当てはまると、舌を含む口の中の筋力が衰える「オーラルフレイル」の危険が高まっている。特に※に当てはまる人は顎関節症の可能性がある。
「舌全体が上あごにくっついている」のが正常な状態
小島歯科医院副院長の小島理恵さんによれば、本来、安静にしているときは「舌全体が上あごにくっついている」のが正常な状態。しかし、加齢や運動不足で筋力が低下すると、舌の位置が下がる「低位舌(ていいぜつ)」になる。
「会話や食事をしておらず、口を閉じているとき、力を入れなくても舌全体が上あごにぴったりついているのが正しい状態です。無意識でもこの状態になっていなければ、舌が下がっています」(小島さん・以下同)
低位舌のチェックポイント
【ポイント1】舌全体が上あごにぴったりとくっついている。
【ポイント2】唇は閉じていても、歯と歯は触れ合わない。 安静時に、意識しなくても舌が上あごにぴったりついているのが正常。
長時間の猫背姿勢も悪影響 舌の筋力低下で誤嚥性肺炎も
姿勢が悪いことも、低位舌の原因になる。長時間猫背の状態でいると、舌の根元を支える舌骨(ぜつこつ)が下がることで、舌全体の位置も下がり、舌の筋力が衰えるというのだ。
「コロナ禍のいま、外出できないからといって、自宅のソファに座ってスマホをいじってばかりいると、30~40代でもどんどん口まわりの筋力が衰え、低位舌になっていきます」
低位舌の症状が進むと、健康にさまざまな悪影響が出るようになる。まず、舌の重要な働きの1つである、唾液や食べたものをうまく飲み込むことができなくなり、口呼吸になる。
「人間は、舌が噛み砕いたものをうまくまとめて、舌先から上あごの後ろの方へと吸い上げることで、食べ物を正しく飲み込むことができます。
ところが、舌の筋力が衰えることで、食事のたびにむせるようになり、誤嚥性肺炎のリスクが上がります。舌の動きは健康寿命とも関係していることがわかっており、“舌圧が下がると死期が近づく”ともいわれるほど。また、低位舌は歯並びの悪さや虫歯にも影響します」
教えてくれた人
小島歯科医院副院長・小島理恵さん
※女性セブン2021年2月4日号
https://josei7.com/
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