18年ぶりにセックスレスが解消した60代夫婦の話|きっかけはある映画と…
山中英恵さん(仮名・60歳・医療事務)は、夫(61歳・会社員)とコロナ禍に18年ぶりの性交渉をした。
「下の息子(25歳)が地方勤務になって1人暮らしを始めたので、我が家は夫と2人きりになりました。夫がリモートワーク期間中に『終活でもするか』という話になり、一緒に荷物を片付けていたんです。そうしたら、2人で映っている若い頃の写真がたくさん出てきたんです」
20代の英恵さんは、宮崎美子に似たチャーミングな美人だった。
英恵さんが「我ながらかわいいわね」と思わずつぶやくと、夫が「今でもかわいいよ」とかぶせるようにつぶやいた。
「いつもならそんなこと絶対に言わない夫が、真顔でそんなことを言ったのは、コロナ禍でもあったし、『終活』ということで死を意識したのかもしれませんね。
言葉って不思議なもので、一度口にしてしまうと言い慣れてくるみたい。その後もやけに私に対して、『好きだ』とか『かわいい』とか言うようになったんです。
最初はなんだか気持ち悪いと思いながらも、『ありがとう、あなたもカッコいいわよ』なんて返したりしてね」
この言葉の応酬によって、夫婦の仲はグッと縮まった。
夫婦で観ていた映画とは…
そこからもう一歩、夫が踏み込んできたのは、一緒にソファに座って映画を観ていたときだった。
「自粛生活で時間もあるし、ネットの動画配信サービスに加入して、毎晩、晩酌をしながら映画を観ていました。
だいたいいつもはコメディー映画なのですが、ちょっと飽きてきて、シリアスな映画『リトル・チルドレン』を選んだんです」
この映画は、アメリカ・ボストン郊外に住む子持ちの主婦(ケイト・ウィンスレット)が、妻子ある男性(パトリック・ウィルソン)と出会い、最初は遊びのつもりだったが、やがて本気になっていくという物語。
「何の気もなしに選んだ映画だったのですが、2人のラブシーンがなんだかすごくセクシーで…。ケイト・ウィンスレッドがやけに普通のおばさんぽい感じだったのがリアルだったんですよね」
激しい濡れ場のある映画は、息子がいたときには観られなかったというが、今は家に夫と2人きりだ。
「そのまま映画を観ていたら、夫が肩に手を回してきたんです。思わず笑いそうになったんですが、優しく体をなでてきて、なんだか妙な気分になってしまたんです。
でも私たち夫婦は60代ですし、しかも18年ぶりで、うまくできなかったんですよ。でも、それならそれでもいいかなって。お互いに触れ合うだけですごく満足して。その日はぐっすり眠れました。
そして、翌日もまた映画を観ていたらまたそんな雰囲気になって…。だんだん夫も感覚を取り戻してきたのか、私もなんだか嬉しくて、達成感があったというか(笑い)」
それ以来、週に2、3度はベッドでお互いの体の触れ合うようになったという。
「手をつないでデートするだけでも楽しくなったんです。どうして欲しいか、何を食べたいか、何がしたいか、予算感もわかるから、夫婦ってすごく楽。大きな公園を2周して、中華料理屋でビールを飲みながら餃子をつつくとか。1人ではできないこともできますしね」