頼れる「かかりつけ医」の見つけ方・作り方 選んではいけない医師5つの特徴
避けた方がいいポイントがわかったら、次はいよいよ、かかりつけ医を選ぶ際に重きを置くべき点について解説していく。
かかりつけ医の見つけ方…家から近い
岡田さんは「何よりもまず家から近いことが重要」と力説する。
「風邪をひいて高熱が出たり、下痢が止まらなかったりするときに、長時間電車に乗ったり車を運転したりして通うのは無理です。歩いて行ける、あるいはタクシーを呼べば数分で到着するような場所にあるのが理想です」
とはいえ、いまは「新しい生活様式」に伴い診療のリモート化も進んでいる。距離が遠くても相性がいい医師を選ぶ方がいいのでは、と考える人も多いだろう。しかし岡田さんは「リモート診療はあくまでもコロナ対策の緊急措置」と異を唱える。
「今後定着するかわからないため、長期的なつきあいが予想されるかかりつけ医は近所がいい」(岡田さん)
土山さんも「リモートでは実際に患部を触って診察する触診ができません。何かあればリアルで診ることになる」
最初は「内科」のかかりつけ医を
と声をそろえる。かかりつけ医が遠くにいるのは、現実的とはいえないようだ。しかし、近所だからといってどんな科目でもいいというわけではない。最初に見つけるべきは「内科」のかかりつけ医だ。
「腹痛や風邪、頭痛など日常の不調は内科に直結することが多い。普段はかかりつけの内科医に診てもらい、内科で対処できないような症状が出たら、それに合わせて皮膚科や眼科などを紹介してもらう。たとえば片頭痛の治療で脳神経外科に通っているからといって、脳神経外科医をかかりつけ医にしてしまえば、診療してもらえる範囲がかなり狭まってしまう」(岡田さん)
女性は内科+婦人科のかかりつけ医を
増田さんは、女性の場合、内科に加えて「かかりつけの婦人科医を持つこと」をすすめる。
「日本では若い頃から婦人科に通っているという人は少ないですが、海外では初潮があるとホームドクターのところに行き、生理中の注意や基礎体温のつけ方、避妊の方法などを学んでいくケースが多い」
つまり、婦人科のかかりつけ医は、女性の悩みや不調を一緒に乗り越えていくパートナーなのだ。
「生理痛や生理不順、PMSなど、何かしら不調やつらさを抱えている女性は多い。また、更年期になれば更年期障害にも悩まされるし、女性はホルモンの分泌量や生理周期に体調やメンタルが左右されやすくなります。妊娠・出産だけでなく、日頃から婦人科にかかっていれば、症状を軽くしたり体調を改善したりすることができるので、ぜひ婦人科のかかりつけ医を持ってほしい」(増田さん)
かかりつけ医はどうやって探す?
内科医も婦人科医も、“かかりつけ医候補”を探す際には、ホームページをチェックすることから始めたい。
「ホームページで医師の略歴を見れば、どの分野が専門なのか、どの病院で働いてきたのかがわかります。どの大病院と提携・協力関係にあるかは、紹介先にも影響してきます」(土山さん)
たとえば、胃に不安がある人なら、ホームページを通じて、同じ内科でも消化器系に強い医師を探すことが可能というわけだ。
増田さんは「婦人科医を探すときはホームページの治療内容の充実度を確認するといい」とアドバイスする。
「生理不順やPMS、更年期障害、ピル、ホルモン補充療法などの細かい項目があり、症状や治療法を詳しく解説しているホームページなら、女性ホルモンの知識をもって、女性特有の不調を丁寧に診てくれる婦人科医の可能性が高い。信頼できる度合いがぐっと高まります」
同じインターネットでも口コミの評判は参考程度に留めるのがいい。
「ネット上の口コミは主観が大きく、書き込んだ人と自分の感覚が一緒だとは限りません。まずは敷居をまたいでみることが大切です。“ドクターショッピング”はよくありませんが、3か所くらいは回ってみるといいでしょう。実際に医師と対面すると、いっそう違いがはっきりわかります」(増田さん)
いきなり病院を訪ねるのはハードルが高い場合は、受診前に直接電話してみるのも1つの方法だ。
「ワクチン接種や検診のことなどで問い合わせをしてみて、スタッフの応対を確かめてみるといい。しっかりした診療をしている医師は、スタッフとのコミュニケーションが取れていて、教育も行き届いているため、対応も丁寧かつ明瞭です。もし電話の段階で違和感を覚えたら、その病院とは相性がよくない可能性が高い。別の病院をあたった方がいいでしょう」(土山さん)
正しいかかりつけ医の作り方【まとめ】
■すぐに検査しない
診断の第一歩は患者の話を聞き、顔色などを見て調子を観察すること。すぐに検査をしたがる医師は自分本位であることが多い。
■患者の目を見て話す
カルテが電子化されたことにより、パソコンに向かったままの医師が増えたが、患者とのコミュニケーションを重要視する医師はしっかり目を見てくれる。
■ホームページが充実している
特に婦人科は、生理不順やホルモン補充療法ほか項目別の治療内容紹介などが充実している病院は熱意と知識が確かな可能性が。
■薬を出しすぎない
風邪だけで5種類以上の薬を出す医師には注意。長く通っていて出す薬がずっと同じ場合も疑った方がいい。
■掲げる科目が少ない
麻酔科以外は、いくら掲げても法律上は問題ないが、医師が1人なのに標榜科目が多すぎる病院は集客目的の可能性が高い。
■院内は土足でOK
スリッパは衛生上問題あり。トイレのハンドドライヤーも同様。
■ほかの病院の悪口を言わない
他院の悪口を言う医師は、患者のことも陰で悪く言う可能性が高い。
知恵を駆使して、体を預けられる「一生モノ」のかかりつけ医を見つけたい。
※初出:女性セブン
●親の担当医とうまくコミュニケーションできないときは…|700人以上看取った看護師がアドバイス