介護帰省でGo To トラベルを使ってみた実体験…いくらお得になった?
認知症の母を遠距離介護する作家でブロガーの工藤広伸さん。コロナ禍で東京から地方への移動がためらわれる中、岩手・盛岡に介護のために帰省したノウハウが新聞やテレビに取り上げられ、注目を集めている。
そんな工藤さんが今回、介護帰省で利用したという今話題の『Go To トラベル』についての話だ。
【目次】
介護帰省にGo To トラベルを使うには?
10月1日より、政府の観光支援事業「Go To トラベル」に東京発着分の旅行が加わり、全国の観光地が賑わっています。
それに伴い、新型コロナウイルスの影響で帰省を見送っていた介護者も、年末年始こそは久しぶりに親に会おうと考えている方もいると思います。
とはいえ、コロナワクチンが接種できない今は、これまでどおり感染対策を万全にして、帰省しなければなりません。
無症状の人が病院でPCR検査を受けると、1回2万~4万円台と高額になります。価格を抑えるため、市販のPCR検査キットの購入も可能ですが、その検査結果を介護施設や病院などが公式に認めてくれるかどうかは分かりません。
また、PCR検査で偽陽性・偽陰性と判定される可能性もあるため、ビジネスホテル等での2週間の健康観察は、しばらくは必要になるかもしれません。
前回帰省した7月は、ビジネスホテルに4泊5日滞在し、健康観察をしました。今回の帰省は2か月ぶり。前回との違いは、東京が新たにGo Toトラベルに加わったことです。
介護帰省のために、Go To トラベルを利用するにはどうしたらいいのでしょうか?
Go To トラベルキャンペーンとは?
Go To トラベルは、宿泊費や旅費などの代金の50%相当額を国が支援します。旅行代金全体の35%は割引となり、15%は旅行先での土産物店や飲食店、観光施設などで使える地域共通クーポン券を、旅行会社の窓口や宿泊先などでもらえます。
Go To トラベルという名称から、旅行以外の目的で国の助成を受けてはいけないと思ったので、念のため観光庁のGo To トラベル事務局コールセンター※に電話で確認してみたところ、介護による帰省であっても、問題なく利用していいとのことでした。
※国土交通省 Go To トラベル事務局コールセンター
https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics01_000250.html
新型コロナウイルスで大きなダメージを受けている旅行業、宿泊業、観光施設、交通機関の活性化が目的なので、ビジネス利用でも要件を満たしていればGo To トラベルは適用されます。必ずしも、旅行目的でなければならないというわけではないようです。
それでは、以下でわたしがGo To トラベルを利用して、岩手県盛岡市のビジネスホテルに宿泊した例をご紹介します。
Go To トラベルで宿泊費はいくら安くなったか公開!
わたしはGo To トラベル対象の宿泊施設を公式サイト※で調べ、旅行会社を使わずに自分で予約しました。
※Go To トラベル旅行者向け公式サイト https://goto.jata-net.or.jp/
宿泊期間は8泊9日。本来であれば、14日間の健康観察が必要かもしれません。しかし、出発前に行った抗体検査が不検出で感染履歴がなかったことや、WHOの新型コロナウイルスの潜伏期間の多くは5日から6日ということから、宿泊期間を短縮しました。
東京から岩手への移動ということもあり、念のため滞在中は清掃不要、シーツ交換不要で、自らタオル交換をする宿泊プランを選び、ホテルの方との接触機会をできるだけ減らす努力もしました。
Go To トラベル適用後のホテル宿泊費
Go To トラベルを使った8泊9日のホテル宿泊費は、以下のとおりです。
■通常の宿泊費:4万6800円
★Go To トラベル割引(35%割引)-1万6380円適用で今回の宿泊費:3万420円
★地域共通クーポン(通常の宿泊費の15%):8000円
ホテルのポイントが2000円分あったので、さらに安くなり、宿泊費は28,420円。1泊あたり、実質約3500円になりました。
地域共通クーポンは、チェックインした日からチェックアウトする日までしか使用できません。
朝食のみの宿泊プランでしたので、すべてコンビニで食料品の購入に使用しました。1枚1000円単位でクーポンは発行され、お釣りはもらえませんでした。
介護帰省には交通費も節約を…
次に交通費ですが、自分で飛行機や新幹線のチケットを手配したり、自家用車で高速道路を使ったりした場合は、Go To トラベルの対象にはなりません。
そのため、旅行会社が販売しているGo To トラベルが適用されるパッケージツアーを利用したほうが、交通機関を単体で予約するよりも安くなるかもしれません。
わたしは東北新幹線を利用して遠距離介護を続けていますが、JR東日本は7月から「お先にトクだ値スペシャル」※を実施していて、2021年3月末まで新幹線を半額で利用できます。そのため、今回の交通費は次のようになりました。
今回の介護帰省で割引になった交通費
通常の運賃(上野→盛岡・片道)、特急券+乗車券):1万4600円
★お先にトクだ値スペシャル適用:7300円
なお、運賃の割引を受けるためには、インターネットサイト「えきねっと」で予約する必要があります。
※えきねっと限定の割引きっぷ えきねっとお先にトクだ値
https://www.eki-net.com/top/tokudane/kakaku_osakini_sp.html?src=ekinettop
ビジネスホテルでの健康観察は後悔も…
このようにGo To トラベルやJRの割引制度のおかげで、介護帰省の旅費が節約できました。しかし、金銭面にこだわり過ぎてしまったため、ホテルでの生活はもうちょっと楽しむべきだったかなと後悔しています。
例えば、Go To トラベルで割引が適用されるのですから、広い部屋にアップグレードすることで、ホテル生活が快適になります。狭い部屋で健康観察をしていては、気持ちまでふさぎ込んでしまうので、こうした工夫を少し加えて、ホテル生活を楽しみましょう。
Go To トラベルは、2021年1月31日が期限になっていますが、予算が余れば期間延長の可能性もあるようです。年末年始の介護帰省の際は、Go To トラベルを利用してみてください。
介護帰省にGoToトラベル等を利用していくらお得になった?【まとめ】
■宿泊費:通常4万6800円 → 3万420円
■交通費:通常1万4600円 → 7300円
■地域共通クーポン:8000円
合計3万1680円(地域共通クーポン込)のお得、コロナ禍の介護帰省にかかる費用はかなり抑えることができました。
今回の帰省は、ものわすれ外来など通院の予定がありますが、スケジュールに余裕があるので、母とゆっくり過ごしたいと思います。
今日もしれっと、しれっと。
工藤広伸(くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/)
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