介護もアウトソーシングで「ひとりで背負わず人の手を借りる方法」
「どうせ誰も手伝ってくれないから」と介護をひとりで背負っていないだろうか?「自分が犠牲になれば」という考えさえ捨てれば、人生はもっと楽しくなるはず。ひとりで何でもやろうとしないで、もっと他の手を借りる方法を考えたい。
介護・暮らしジャーナリスト・太田差惠子さんに介護のアウトソーシングについてアドバイスいただいた。
肝心なこと以外はアウトソーシングを
介護も育児同様、人の命を扱うため、他人に任せることに抵抗を感じる人は多い。しかし、介護疲れで殺人・・・なんてことになったら元も子もない。
「体の大きな大人の世話をする介護は体力的にも精神的にも本当に大変です。自分が倒れたら見る人がいなくなり、要介護者の命も危ない。
そう考えて、なるべく“自分じゃないと絶対にダメ”な部分以外はアウトソーシングすることをおすすめします」(介護・暮らしジャーナリスト・太田差惠子さん)
たとえば、食事を食べさせるのは自分じゃないといけなくても、食事自体は市販品を活用しても問題はないはずだ。ひとりでなんでもやろうとせず、ケアマネジャーに相談するなど、人を巻き込もう。
1.入院中の衣類はレンタル、 洗濯は業者へ
家族が入院すると、パジャマやタオル、下着などを持ち帰り、洗濯してまた持って行く―こういった作業もかなりの重労働だ。
「最近では、病院にパジャマやタオル、下着を有料で洗濯する業者が入っています。衣類のレンタルができる場合もあります。特に遠方に住む親が入院した場合、洗濯などの"自分じゃなくてもできる作業"はアウトソーシングし、手術の立ち会いや話し相手など、家族にしかできないことに力を注ぐのがおすすめです」(太田さん)
2.介護食こそ 「配食」サービスの活用を
介護食は手間がかかる。軟らかさや塩分量、カロリーコントロールなどに気を使わなければならないからだ。
ほかの家族と別に作らなければならず、難しければむしろ、栄養バランスや食べやすさなども考えられた食事の宅配サービスや介護食のレトルトを購入した方が、要介護者のためにもなる。
「介護食の宅配サービスは遠方に暮らす親御さんにもおすすめ。配達員が直接手渡しすることで独居老人の安否確認にもなります」(太田さん)
→イマドキ介護食を実食レポ|見た目も原型そのまま!話題の介護食の味は?
3.親の安否は見守りサービスを
ひとり暮らしの親の安否が気になるもののコロナ禍や仕事の都合で様子を見に行けないときは、民間企業や自治体、地域のボランティアによる見守りサービスの検討を。
「事前に登録し、玄関先にゴミを出しておくと持って行ってくれます。出ていない場合は、チャイムを押して安否確認をしてくれる自治体もあります」(太田さん)
電気ポットや冷蔵庫などの使用頻度をメールで通知してくれる家電もあるので、負担にならないものを活用しよう。
4.介護を休みたいときはショートステイを利用
「日中の数時間だけお願いしたい場合、自宅に来て介護をしてもらうホームヘルプサービスもありますが、自宅に他人を入れたくない場合は、朝から夕方まで施設で介護やリハビリをしてもらえる、送迎つきデイサービスを利用するのも手です。
こちらの方が、お友達ができて楽しいという要介護者も。自宅にこもっているより刺激が多いので、認知症予防にもなるようです。いずれも、利用する前に下見をして本人との相性を確認することが大切です」(太田さん)
→ショートステイを賢く利用するコツ<1>~プロが教える在宅介護のヒント~
イラスト/ユキミ
教えてくれた人
介護・暮らしジャーナリスト・太田差惠子さん