「とりあえず病院へ」病院好きの日本人がクラスターをつくることも
新型コロナウイルスの流行はいまだ広がり続けている。7月7日、近畿大学奈良病院が、看護師を中心に院内感染が確認されたことを発表した。神奈川県でも、川崎協同病院や湘南泉病院で院内感染が発生し、死者が出ている。もはや「病院の待合室が感染源になることがある」というのは世界中の人々が心得ているが、「慢性疾患や急な体調不良などで足を運ばないわけにはいかない」という人も多いはずだ。でも、少し考え直してみてほしい。その治療や投薬は、いまのあなたにとって本当に必要なものだろうか──。
“病院好き”がクラスターをつくる
日本人がいかに“病院好き”かを示す、こんなデータがある。2018年のOECD(経済協力開発機構)の統計では、日本は入院・外来を行う病院の数が約8400と、世界で最も多い。約3倍の人口を抱えるアメリカですら約6200で2位というから、日本は世界で最も“病院に通いやすい”国だといえる。“病院好き”はもはや国民性ともいえそうだ。
新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが話す。
「日本には、“体調が悪ければすぐに病院に行って検査を受けよう”という風潮がある。これまであまり注目されてきませんでしたが、“病院内クラスター”は、毎年インフルエンザで起こっています。一方アメリカでは、“インフルエンザに感染しても、自宅で栄養と水分を摂って療養してください”と、公的医療機関が呼びかけています。自宅で5日間程度は様子を見て、それでも治らないときや悪化したときに、初めて医師にかかるように推奨されているのです」
前述のOECDの調査で国民1人当たりの年間通院回数が最も少なかった北欧諸国は、国をあげて予防医療のシステムを徹底することにより、少し体調が悪いくらいでは病院に行く人は少ないという。
アメリカや北欧諸国と比べ、日本の医療費が非常に安いことも、日本人の“病院好き”の一因だろう。
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。
「今回のコロナ禍で、オンライン診療を考える医師も増えてきました。慢性疾患の継続受診で処方箋の受け取りが必要なケースなどでは、いままで以上に積極的な活用を考えるべきです」
※女性セブン2020年7月30・8月6日号
https://josei7.com/
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