自粛生活で増加!尿トラブルを改善・予防する膀胱&骨盤底筋トレーニング
年を重ねて排泄トラブルの悩みを抱える人は多いが、その上、長い自粛生活によるストレスや運動不足などで、膀胱炎や便秘、さらに尿モレや頻尿が悪化した人も増えている。
尿モレ・頻尿のセルチェック
まず、上のチェックリストを試してみてほしい。
尿トラブルは命にかかわるような病気ではないが、上のチェックリストで1つでも該当項目があれば尿モレと自覚して、早めに対処したい。日本大学医学部附属板橋病院泌尿器科教授の高橋(※)悟さんが語る。(※高は、はしごだか)
「尿モレや頻尿は、自宅にいれば安心とはいえ、トイレの回数を気にしすぎるのもよくありません」
頻尿は1日8回以上、排尿することだが、睡眠時に1回以上トイレに起きる人は、夜間頻尿だ。
一方、尿モレはお腹に負荷がかかると起こる「腹圧性」、尿意を催すとがまんできない「切迫性」、両者が交じった「混合型」の3タイプがあり、その比率は5:2:3。つまり、尿モレの人の8割は“力んだ拍子にモレる”腹圧性の症状を持つ。
女性ホルモン低下の影響も
「これは、妊娠・出産後の骨盤底筋の緩み、閉経後の女性ホルモンの低下、加齢による筋力低下などが原因です。女性ホルモンが低下すると尿路に菌が入って膀胱炎にかかりやすくなり、この炎症によって膀胱が過敏になって頻尿などの過活動膀胱に似た症状を引き起こすのです」(高橋さん・以下同)
冷え対策とともに膀胱&骨盤低筋トレーニングを日課に
過活動膀胱とは、がまんできない強い尿意切迫感があり、そのため頻尿で、場合によっては本当に漏れてしまう切迫性尿失禁のある状態を指す。
また、血尿の場合は膀胱炎や膀胱がんの疑いのほか、放置して腎臓に菌が入ると腎盂腎炎で発熱することもある。
自由が丘ウロケアクリニック(東京・目黒区)院長の佐藤亜耶さんは、「不安やストレスと女性の膀胱炎の関係性を自粛生活で実感した」と言う。
「通常、寒くなる冬場や忙しい年末年始などに膀胱炎が増えますが、自粛生活でも膀胱炎患者が増えました。膀胱炎は免疫力が落ちているときに尿道から菌が入って発症するため、尿モレによる蒸れを防ぎ、膀胱訓練や骨盤底筋の筋トレ、冷え対策などを講じるのが大切です」(佐藤さん)
膀胱炎を繰り返すとがんのリスクが高まるが、再発性の細菌性膀胱炎の予防には、クランベリーが効果的という報告がある。
しっかり予防し、悪化を防ぐ生活を心がけよう。
■女性の尿トラブルにクランベリーが注目
排尿トラブルを持つ女性が繰り返すのが膀胱炎。この予防に効果的なのがクランベリーだ。クランベリーに含まれるポリフェノールの一種・プロアントシアニジンに膀胱炎の原因菌の1つである大腸菌の働きを抑える作用や、膀胱炎の再発抑制作用があることが、多くの研究報告で確認され、欧州では古くから膀胱炎予防に活用されている。ヨーグルトと一緒に食べるなど、食生活に取り入れてみよう。
生活習慣での改善策
【1】冷えに備える
「冷えは尿トラブルの天敵。体を冷やすような食べ物や飲み物は控えましょう。また、寝る前にはお風呂に入って、しっかり体を温めてください。夏の冷房対策はもちろん、腹巻き付きショーツは一年中おすすめです」(佐藤さん)
【2】適度な体幹運動を
「適度な運動は効果的ですが、腹圧性尿失禁の人は、腹圧がかかって逆にモレてしまうので腹筋やスクワットはNG。ヨガやピラティスなど、ゆっくりとした動きの運動で、体幹を鍛えましょう」(佐藤さん)
【3】水や塩の摂取を改善
「水分や塩分、カフェインは控えるのが基本です。人は1日約2.5Lの水分が必要ですが、食事以外に、1~1.3Lを飲料水で摂れば充分」(高橋さん)。
冷え対策しながらの水分摂取には、夏でもしょうが湯がおすすめ。