がん再発予防 注目されるのは肥満防止とイソフラボン摂取
がんの再発予防、そして死亡リスクを下げるための生活習慣については、誰もが正解を知りたいと思うだろう。しかし、“確立した答えはない”というのが今の医療の答えなのだ。国立がん研究センターの溝田友里先生が言う(以下、「」内同)。
「もちろん、基本的なこととしてアルコールや喫煙が及ぼす悪影響、野菜や果物の摂取が不足しないよう食事はバランスよく、塩分は控えめに、というようながん予防方法が患者さんにも推奨されます。でも、とりわけ“○○を積極的に摂取すると再発・死亡リスクが低下する”という具体的なエビデンスは確立していません」
大腸がん、乳がんの死亡リスクを高める肥満
心がけたいのは、「肥満防止」、期待されているのが「大豆イソフラボン」だという。
「日本だけでなく世界的にもエビデンスは充分とはいえませんが、大腸がん、乳がん診断後の肥満は死亡リスクを高めると明らかになりつつあります。そのリスクを低下させるため、肥満を防ぐこと、そのために大切なのが身体活動なのです。また、食事による大豆イソフラボンの摂取は乳がんの死亡リスクを下げる可能性があると期待され、研究が進められています」
“運動をしなければならない”と思うと、気持ち的にもハードルが高くなってしまうが、“身体活動”は日常生活の活動量を増やすだけでよい。
「立ってテレビを見る、作業をする、など日常の活動量を増やすことで効果が出ます。大腸がんや乳がんの死亡リスク低下が期待されるほか、がん発症のリスクも低下させることがわかっています」
サプリや健康食品を安易に摂取しない
“○○を食べればがんが消える”“××すれば絶対治る”など、さまざまな書籍や健康食品が売り出されているが、「効果効能について充分なエビデンスはありません」と溝田先生は警鐘を鳴らす。
「効果不明どころか、思わぬ副作用が出る場合もあり、サプリメントや健康食品を安易に摂取することや、食生活の偏りには充分注意が必要です。とはいっても、再発への不安やストレスは治療で受ける痛みや不快感などのつらさ以上の場合もあります。担当医に治療から受けるストレスも含め、相談するようにしてください」
※女性セブン2018年2月15日号
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