肌の乾燥や抜け毛…肌と髪の不調に隠れている別の病気とは?
家事に仕事にと忙しく、つい仕事や家族を優先しがちな40~50代。自分の体の異変に無頓着なケースが多く、ちょっとした不調は、更年期なんだから仕方がないと、がまんしてやり過ごしがちなのがこの世代の特徴だという。
でも、後回しにしていたら、そこに隠れていた別の病気に気づかないことにも。更年期を迎えるこの世代ならではの「肌と髪」の不調と、そこに隠れている病気の可能性について、皮膚科専門医・平田雅子さんが解説する。
更年期で肌トラブルは助長。保湿で予防を
毛穴から出る天然のオイル・皮脂と、汗の混ざり合ったものを皮脂膜という。この皮脂膜が“うるおいの膜”となって、肌を乾燥から守っている。肌がうるおった状態だと、雑菌の侵入や繁殖を防ぐため、肌疾患だけでなく、シミやしわも予防してくれる。
しかし、皮脂の分泌量は加齢とともに低下。さらに更年期で女性ホルモンが減ると、肌の乾燥は助長されるという。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンには、それぞれ、肌のハリやうるおいを保つコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す作用と、皮脂の分泌を活発にし、体内の水分量を保つ働きがあるからだ。
「40才を過ぎると、自力で保湿する力はどんどんなくなっていくため、若い頃と同じ保湿ケアをしていては、乾燥肌は悪化していくばかりです」と、皮膚科医の平田雅子さんは話す(「」内、以下同)。
肌には化粧水などで水分をたっぷり与え、それが蒸発しないよう、クリームなどの油分でふたをする必要があるが、その“量”がポイントになる。
「まず、洗顔は水で行いましょう。お湯やぬるま湯で顔を洗うと、せっかくの皮脂が流れ落ちてしまい、うるおい成分をキープし、バリアにもなる皮脂膜がつくれなくなるからです。洗顔後は化粧水をたっぷりつけ、最後にクリームをつけます。“パール粒大”などと決まった量を使う必要はなく、いまの自分に必要な量を使うことが大切。一度クリームを顔になじませ、足りないと感じたら、もう1回重ねてつけて、常にしっとりとうるおった状態にしておきましょう」
肌と髪の不調をチェック!隠れている病気は?
●乾燥
・サクッとセルフチェック
□肌にツヤがなくなった
□急に皮がむける
□基礎化粧品がずっと同じ
■診断
女性ホルモンには皮膚の水分量を保つ役割があるため、閉経でホルモンの分泌量が減少すると、肌は乾燥しやすくなる。ほかにも、空気の乾燥などの環境要因やストレス、なんらかの病気の可能性もあり、乾燥の原因を判断するのは難しい。
乾燥肌が悪化し、いつもの保湿ケアをしていても2週間以上治らずに、粉をふいたり切れたりしたらすぐに病院へ。突然皮膚にツヤがなくなって、皮がパサパサとむけてきたり、髪の毛が一気に抜けるなど、“急な異常”の場合も同様だ。膠原病(こうげんびよう)や甲状腺機能低下症などの病気の可能性がある。医療用の保湿剤や、炎症が起きている場合はステロイドが処方されることもある。
■隠れている病気
甲状腺機能低下症や膠原病など。
■おすすめの診療科
まずは皮膚科へ。内科や婦人科でも相談に乗ってくれる。
●抜け毛
・サクッとセルフチェック
□くしに毛が大量に絡む
□髪の毛が細くなってきた
□頭皮がかたくなってきた
■診断
抜け毛、薄毛は、遺伝などの影響もあるが、主に加齢や更年期症状が原因のことが多い。女性ホルモンの1つ、エストロゲンには髪の毛の発達をサポートする役割があるため、更年期で女性ホルモンが減ると、抜け毛が増えてしまうのだ。また、年とともに頭皮のハリが失われ、かたくなると、血流が悪くなる。毛の根元には、毛細血管が入り込んだ毛乳頭(もうにゅうとう)があり、そこから、毛を作る毛母(もうぼ)細胞に栄養が供給されるのだが、血流が悪いと栄養が行き届かなくなり、毛が育たなくなって、結果として毛が抜けてしまうのだ。
■隠れている病気
急に大量に抜けた場合は、膠原病やストレス性の円形脱毛症などが考えられる。
■おすすめの診療科
まずは皮膚科へ。女性頭髪専門外来のある病院もあるが、なければできるだけ、抜け毛や薄毛に力を入れている医師がいる病院を選ぼう。婦人科でも相談に乗ってもらえる。
教えてくれた人
平田雅子さん/ 私のクリニック目白院長医学博士。皮膚科認定専門医。皮膚トラブルをはじめとした女性のさまざまな不調に対応している。主な著書は、『水だけ洗顔で、一生美肌!』(小学館)など多数。
イラスト/小豆だるま
※女性セブン2020年4月16日号
https://josei7.com/
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