日本一わかりやすい補聴器Q&A|医療費控除が使えるってホント?
補聴器の市場は飛躍的に拡大し、性能やデザインも進化中。補聴器を使ってみたいけど高いから…とあきらめるのは早計。医療費控除から耐久性まで、初めて購入する人が気になる補聴器の基本について専門家に聞いた。
Q:年を取るとみんな耳が遠くなるの?
A:遠くなる。年齢を重ねれば聴力は必ず落ちていく。
「原因は蝸牛の中にある有毛細胞。これが加齢により劣化して抜け落ちるなどすると、その部分の細胞は再生しないため、音を感じにくくなります。加齢性難聴は急に聞こえが悪くなるのではなく、徐々に耳が遠くなるため、自覚しにくいのも難点です」(慶友銀座クリニック院長・大場俊彦さん)
Q:補聴器の寿命はどれぐらい?
A:約5年。
「就寝前に布で拭き、乾燥ケースに入れるなど、日々のメンテナンスで寿命は延びます。しかし、加齢による聴力の低下を考えると、5年が目安です」(一般社団法人 日本補聴器工業会事務局長・八嶋隆さん)
昨今はデジタル補聴器が増えており、聞こえの調整の幅は広がっている。
Q:補聴器は1日の使用時間に制限はある?
A:ない。
「できるだけ長時間使ってほしいですね。1日の平均使用時間は2012年は5.7時間、2015年は6.8時間でしたが、2018年は7.6時間と着実に延びています。機能だけでなく、つけ心地も進化しています」」(八嶋さん)
補聴器所有者に満足度をたずねたところ、2018年の調査では、66%が「期待通り」、あるいは「期待以上」だと回答している。
Q:補聴器は電池式しかないの?
A:充電式もある。
写真の「リサウンド・リンクス クアトロTM」(充電器のみで5万5000円 ※補聴器は22万円〜/GNヒアリングジャパン)は就寝前などに1日1回充電器にセットするだけ。電池残量は充電ケースのLEDライトや電子音、アプリ画面でも確認できる。
Q:補聴器は高そう…医療費控除は受けられる?
A:受けられる。難聴に対する補聴器の購入は医療費控除の対象となる。
「日本耳鼻咽喉科学会認定の補聴器相談医が診断し、補聴器が診療等のために必要であると証明されている場合には、購入費用が医療費控除の対象になります(一般的な水準を著しく超えない金額に限る)」(大場さん)
なお、確定申告の際には補聴器代金の領収書のほか、疾病名や症状が記載された処方箋が必要となる。
Q:補聴器には消費税がかからない?
A:かからない。補聴器の購入や修理にかかる費用は非課税の対象となっているため、消費税はかからない。
「しかし、性能によっては課税対象になるものもあり、フックタイプのフックを交換する際には課税されるなど細分化されています。電池や乾燥ケースなど消耗品やアクセサリーなどは課税対象です」(八嶋さん)
ちなみに充電式補聴器の充電器は課税対象となる。
Q:補聴器があれば昔のように聞こえるの?
A:以前と同じようには聞こえない。
「補聴器はかつての聞こえを取り戻す器械ではなく、補うもの。いちばんの目的は、声を聞き取りやすくし、会話を楽しめるようになること」(八嶋さん)
快適な聞こえのためには専門家による調整やトレーニングが不可欠。
Q:補聴器の価格と性能は比例する?
A:する。高価なものほど、雑音やハウリングを抑制できたり、聴力に合わせて音質をきめ細かく調整できたりと、多くの機能が搭載されている。
「必要以上の機能は不要なので使わないというかたもいます。価格よりもご自身の聞こえの程度と目的に合った機種を選びましょう」(八嶋さん)
また、耳あな型はオーダーメードで製造されるため、耳かけ型に比べて高価になる。
教えてくれた人
大場俊彦さん/『慶友銀座クリニック』院長。日本耳鼻咽喉科学会認定の専門医で、補聴器相談医。診察だけでなく、認定補聴器技能者と連携し、補聴器のアドバイスを行っている。
八嶋隆さん/『一般社団法人 日本補聴器工業会』事務局長。
イラスト/スヤマミヅホ
※女性セブン2020年3月19日号
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