初めての補聴器選びに必要な5つのこと|補聴器の値段は? 難聴って?
日本補聴器工業会によると、昨年は61万3000台の補聴器が出荷された。約30万台だった1990年と比べると約2倍の伸びだ。最近の補聴器は驚くほど進化を遂げている。「最近聞こえづらい」と感じているなら補聴器の検討を。
今回は補聴器を買う前に知っておくべき5つの基本をお伝えする。
65才以上の難聴者数は全国で1024万人。そのうちの16.8%にあたる172万人が補聴器を使っているという。「見た目が気になる」「聞こえているから大丈夫」と抵抗感を示す高齢者も少なくないが、まずは自覚症状や「聞こえ」の仕組みを理解し、補聴器選びの第一歩を踏み出して。
1 補聴器購入の前に…自覚症状をcheck
□聞き返しが多くなった
□相手の声は聞こえていても、実は何を言っているのかわかりにくい
□呼ばれても気づかないことがある
□声が大きい、と指摘された
□雑踏の中での会話が億劫
□ついテレビの音量を上げてしまう
□電話の呼び出しが聞こえにくい
2 補聴器選びの基本「聞こえ」の仕組みを理解
耳は外耳・中耳・内耳から成り立ち、外耳から入った音が鼓膜に達すると、中耳のツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨によって内耳に伝わる。
そして蝸牛(かぎゆう)内部にある有毛細胞によって電気信号に変換され、脳に送られる。各器官がそれぞれの役割を果たしているからこそ、音がきちんと聞き取れるのだ。
3 補聴器が必要になる難聴の種類とは
難聴の原因は、加齢・病気・音の環境・薬の副作用などさまざまで、原因となる耳の部位によって種類や程度が異なる。
●伝音難聴
外耳や中耳の損傷や炎症などが原因となる。
●感音難聴
内耳から蝸牛神経を経て、脳に至るまでの経路の障害によって起こる。慢性的なものは加齢や騒音が原因。ほかに先天性、突発性もある。聞こえにかかわる細胞は再生しないため、慢性的な症状は、補聴器の使用が一般的。
●混合性難聴
伝音難聴・感音難聴の両方の症状が現れる。年を取ると耳も老化するため、感音難聴だけでなく伝音難聴を併発する人も多い。
4 年齢と難聴の度合い 70代は鳥のさえずりが聞こえない!?
縦軸が聞こえのレベルで、横軸は音の周波数(音の高さ)を表す。30~34才であれば、ほぼすべての音を聞き取れるが、加齢によって徐々に聞こえが悪くなっていくことがわかる。個人差はあるが、加齢による聴力低下の多くは、高い音から聞こえにくくなり、70代頃から会話の聞き取りが困難になる人も。
また、「K」や「S」などの高い音が聞こえづらくなるため、「か」「さ」といった無声子音を含む音の聞き分けが難しくなる。鳥のさえずりや電子レンジの音などに気づきにくくなる。
5 補聴器はいくらくらいの物を買っている?
日本補聴器工業会による補聴器の価格帯別出荷調査によると、10万円~20万円未満が38.9%と最も多い。約6割が20万円未満(片耳のみ)の補聴器を購入している。
「加齢とともにテレビの音が聞こえづらくなったり、家族との会話で聞き返しが増えたりするのは仕方ないこと」と決めつけている人は案外多い。でも、そうしたがまんやあきらめにとどまらず、補聴器を試してみると…世界が変わるかもしれない。補聴器の選び方や最新の補聴器などについて順次お届けしていく。
教えてくれた人
大場俊彦さん/耳鼻咽喉科・内科『慶友銀座クリニック』医師
※女性セブン2020年3月19日号
https://josei7.com/
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