超高齢化社会で自治体消滅の未来も 香川県の商店街再生事例
平均寿命世界一を誇る日本の100才以上の人は、2017年12月現在で、およそ6万7000人。昨年スタートした「人生100年時代構想会議」の有識者議員である英国ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授の研究によると、2007年に日本で生まれた子供は、107才まで生きる確率が50%もあるという。
超長寿社会が確実にやってくる一方、長寿とともに急速に進むのが少子化だ。
2014年、日本創成会議は「全国で869市町村が消滅の危機にある」と推計。少子化や人口流出に歯止めがかからず、自治体が存続できなくなると予測している。
昨年6月の発売以来38万部を超えるベストセラーとなった『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社)の著者で、産経新聞論説委員の河合雅司さんは、こう語る。
「今後は加速度的に人口減少が進むため、空き家が増え、住んでいるのは高齢者ばかりという地区も広がります。病院や買い物に行きたくても、高齢で車の運転ができず、生活に支障をきたす人も増えることでしょう。若者が減れば手助けする人も少なくなり、自治体に頼りたくても自治体の税収も減るため、サポートが困難な状況に陥ります。
そんな中、自動車メーカーなどは自動運転カーの開発をはじめ技術革新を進めていますが、私は、歩いて行ける距離ですべての用事が済ませられるよう、医食住をコンパクトにまとめて暮らすことを、国も、高齢者自身も考えた方がいいと思っています」(河合さん)
商店街を住む町にしてシャッター街対策
自治体消滅につながる問題として、すでに全国的に広がっているのが、シャッター商店街。これにいち早く対応し、再生を果たしているのが、香川県高松市にある丸亀町商店街だ。
同商店街振興組合理事長の古川康造さんは、開発の経緯を以下のように話す。
「1988年のバブル絶頂期は商店街の最盛期で地価が高騰。月極めの駐車場代が5万5000円という時代もありました。
その結果、商店主が町に住み続けらず、八百屋、魚屋、町医者が消え、商店街には高級ブランドブティックばかりが並ぶようになりました。
そして郊外にはショッピングセンターができ、このままでは立地条件のいい駅前でも、商店街は衰退してしまうという危機感が生まれたのです」
1000人いた住民は、高齢者のみの75人にまで減少。日中は賑わうものの、夜はゴーストタウンになっていた。
そこで、地元住民を中心に『まちづくり会社』を立ち上げ、段階的に開発。飲食店や日用雑貨、生鮮市場、医療などの生活を支える機能を充実させ、建物上部を住居に替えて行った。
「商店街の活性化というと、買い物客を呼び込むことばかり考えがちですが、“人が住み、人が集うまち”を目指したのです。歩いて暮らせる町になったことで、高齢者と単身の学生を中心に居住者が増え、現在は商店街に面したエリアだけでも600人を超えました」(古川さん・以下同)
高齢者の人口割合は増える一方だが、同商店街ではその高齢者を中心に、今後10年で1500人が快適に暮らせる町にすることを目標にしている。
※女性セブン2018年2月1日号
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