東京都世田谷区にある介護付有料老人ホームとサ高住【注目施設まとめ】
オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
65歳以上の人口の割合が20%を超えている東京都世田谷区。全国平均の28%よりは低いものの、年々の高齢者の人数も率も増え続けている。ニーズに合わせて高齢者向けの施設も増えてきているため、選択肢が多くなり、選ぶのが難しいとの声も聞く。そこで今回は東京・世田谷区にある介護付有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を紹介する。
森ビルとセコムが手を組んだ最高級介護付有料老人ホーム「サクラビア成城」
都心近郊の閑静な住宅地として不動の人気を誇る成城に、3000坪にも及ぶ敷地を有する豪華な介護付き有料老人ホームがある。森ビルとセコムが共同出資する会社「プライムステージ」が運営する「サクラビア成城」は、四季を感じさせる樹木と共に静かに時を重ねてきた。成城の地にふさわしい圧倒的な高級感は、生活に関わる全てに“おもてなしのこころ”が行き届いている。
「フィレステーキ」「野菜の天婦羅盛り合わせ」「お刺身盛り合わせ」。リゾートホテルのメニューと見紛うような料理は、サクラビア成城で毎日味わうことのできるものだ。30種類以上のメニューが用意され、和食、洋食、中華を自由に選択できる。飽きがこないように日替わり・週替わりのメニューがあり、さらに季節に合わせた特選メニューを選ぶこともできるそうだ。1週間後に食べたいものを予約するのではなく、その日その時に食べたいものを食べられるという。
お粥や雑炊など体調が優れないときのメニューの用意もあり、好みによって具材やご飯の固さ、お茶の温度を調整することも可能だ。体調が思わしくない時、病気などで食事制限がある場合は、医師や栄養士、調理師が協力して栄養バランスや味付けに配慮した食事を用意してくれるという。また、毎週木曜日の夕食時には寿司の『美登利』の出張サービスがあり、出かけることなく本格的な寿司を楽しむことができるそうだ。
サクラビア成城の圧倒的な高級感は、その充実した共用施設にも表れている。高級ホテルのようなエントランスロビー、個室の用意もあるサロン、レストラン、スカイラウンジ、日用品を販売するショップ、絵画を鑑賞できるギャラリー、遠藤波津子美容室、理容室、茶会も開ける和室、グランドピアノが設置されたホール、図書室、ビリヤードルーム、陶芸工作室、創作に没頭できるアトリエ、シアタールーム、囲碁室、麻雀室…などなど、紹介しきれないほどだ。
ホールではクラシックのコンサート、お正月には年始の食事会が開かれ、獅子舞も披露されるという。また庭園や池の錦鯉が目を楽しませてくれ、10階のスカイラウンジからは富士山を望める。
毎日の生活を充実させる食事と建物6700坪の半分を占める共用施設。何不自由なく過ごすための設備だけではなく、健康のサポートも充実している環境にただただ圧倒された。
→森ビルとセコムが手を組んだ最高級介護付有料老人ホーム<前編>
→森ビルとセコムが手を組んだ最高級介護付有料老人ホーム<後編>
自立から要介護5まで自分らしく生活できるサ高住「グレイプス用賀」
120戸を有するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の「グレイプス用賀」。東急田園都市線の用賀駅から徒歩7分と利便性も高く、砧公園や馬事公苑が近くにあり緑も楽しめる。桜新町駅も近く、スーパーなど日常生活に役立つ店も多い。
グレイプス用賀では、コンシェルジュがサービス提供に重要な役割を果たしているという。365日、日々の生活のちょっとした相談・要望に応えてくれるほか、近隣の医療機関やお勧めの飲食店、外出の際のタクシーを呼ぶなど様々なことに対応してくれるそうだ。取材に訪れた日はヤクルトが販売に来ており、外出せずに買い物を楽しめるようになっていた。
こちらには医療コンシェルジュもいて、入居者の健康をサポートしているという。グレイプス用賀支配人の中川美紀さんはその役割を次のように語る。
「看護師資格を持った者が医療コンシェルジュをしています。熱っぽいとか腰が痛いといったような、ちょっとした相談もお受けしています。必要な際に医療につなげる役割を担っていて、訪問診療にも立ち会い、今のお体の状態やお薬の状況などを把握し緊急時にも備えてもらっています。ただし、施設ではなく在宅方式を採っているので、医療行為は行いません。ほかに月に1回、医療コンシェルジュの健康相談会を実施しています」(中川さん。以下、「」は同)
グレイプス用賀は充実したアクティビティを用意しているという。午前中は体操アクティビティを行い午後にはカラオケ大会、その他、季節のイベントやアロママッサージなど種類は豊富だ。
自分の興味があるものを選ぶことができ、もちろん自由参加。このような充実したアクティビティを計画・立案しているのもコンシェルジュだ。例えばシアタールームでの映画鑑賞会、ラウンジのグランドピアノを使ったクラシック演奏会、そして日比谷花壇の協力のもと行っている園芸活動などもある。
サ高住は、基本的には元気な高齢者のための住まい。そう聞くと、介護が必要になった時にどうなるのか不安に思うが、ここでは心配する必要はないそうだ。なぜなら、介護の必要な人のためのケアフロアに移り住めるので、グレイプス用賀は要介護5の状態になっても住み続けることが可能だという。つまり、医療ニーズがあったとしても生活できる環境が十分整えられており、終の棲家として考えることができるのだ。
「フロア分けをしていて、2階だけは24時間、専門のスタッフがフロアに常駐しています。手厚いケアが必要になった方も同じ建物で移り住むことができます。同じ建物内なので、顔なじみのスタッフがそのままサポートできるので安心していただけますよ」
→自立から要介護5まで自分らしく生活できるサ高住<前編>
→自立から要介護5まで自分らしく生活できるサ高住<後編>
個別の機能訓練に対応した介護付有料老人ホーム「ツクイ・サンシャイン成城」
世田谷区の静かな住宅街にある「ツクイ・サンシャイン成城」。周囲に高い建物はなく、屋上からは見晴らしのよい風景が広がる。東京タワーやスカイツリー、都庁も望むことができ、夏は近隣の花火大会も楽しことができるほどだ。静かな生活を好むのであれば抜群の住み心地といえよう。京王線の千歳烏山駅と小田急線の成城学園前駅から定期無料シャトルバスが運行しているので、移動も不自由なさそうだ。
ツクイ・サンシャイン成城は、機能訓練に力を入れていて、理学療法士、言語聴覚士、マッサージ指圧師を含む9名で構成される機能訓練チームが編成されているという。理学療法士が、一人ひとりに合わせた個別機能訓練の計画を作成しているそうだ。
世田谷区という恵まれた場所にも関わらず広い敷地を確保しているため、施設内で機能回復、維持のための運動ができる。部屋は125室あるが建物は3階建て。つまり各階が広く、日常生活での移動がいい運動になっているという。さらに個別機能訓練に加えて、歩行訓練を兼ねたガーデニングや体操、散歩など、毎日の暮らしの中にも訓練を取り入れているそうだ。
「コグニバイク」を導入するなど、トレーニングに使うマシンも充実させているという。コグニバイクは国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ(C)」のバリエーションのひとつ。コグニサイズ(C)はコグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせた造語で、運動をしながら脳を使い、認知症を予防するための取り組みのこと。画面でクイズなどを行いながら、足でこぐ作業を同時にすることができるそうだ。
言語聴覚士は言葉や聞こえ、認知、嚥下などに問題がある入居者に評価・訓練・指導・助言などを行っており、状況を定期的に確認しながら、必要な訓練をするという。また、定期的な訪問歯科診療で、高齢者に多い口腔内のトラブルの発見・対応もしている。口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防だけではなく、食事をいつまでも楽しむためにも重要なことだ。自分の口から食事ができるかどうかで、栄養面、精神面に大きな差が出てくるという。
「理学療法士とマッサージ指圧師が常勤でいます。これに加えて、各施設を巡回している言語聴覚士、機能訓練補助員を含む9名で機能訓練チームを作っています。敷地が広いので日常生活を送るだけでも、かなりの運動量になりますよ。すぐに介護の必要がない方が将来のために見学することは大歓迎です。見学をすることによって、高齢者施設に対する見方も変わってくると思います」(施設長・吉村大輝さん)
→個別の機能訓練に対応した介護付有料老人ホーム<前編>
→個別の機能訓練に対応した介護付有料老人ホーム<後編>
いかがだっただろうか。同じ世田谷区内であっても立地やコンセプト、料金などによって施設の性質は大きく違ってくる。理想とする老後の暮らしを実現するために、まずは近くの施設を見学してみるのも良さそうだ。
撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。