オバ記者がリポート!旬の秋野菜、極上品の見分け方と簡単満腹レシピ
道の駅や直売所にズラリと並ぶ、採れたて野菜。「どうせなら、いつもよりおいしく食べたい!」そんな食いしん坊の声にオバ記者(62才)がお応え!
なす、白菜、大根、さつまいも…。秋のやわらかい日差しを受けてどど~んと、誇らしげに山積みにされた野菜が並ぶ道の駅や野菜直売所。天下一品の野菜が手に入ったら、さあ、さあ、さあ! 誰でも簡単にできる絶品レシピで、秋を食べつくそうではないの。
Part 1【選ぶ】 駅長さん!畑から摂れたばかりの“極上野菜”を見分ける方法を教えて
実りの秋。なにせ、わが郷里・茨城県は、ピーマン、白菜、きくらげ、カリフラワーなど、出荷量が全国1位に輝く野菜が9品目もある農業県。
でも、その高い鼻をへし折られるのも、この季節なのよね。毎年、都道府県魅力度ランキングが発表されるけど(今年は10月17日)、過去6年「連続最下位」と決別できるかどうか。(編集部註:今年も茨城県は最下位でした)
「悔しいじゃないですか。おいしい野菜の力で汚名返上したいんです」
そう言って泣きついてきたのが7月にオープンしたばかりの『道の駅 グランテラス筑西(ちくせい)』の駅長で、野菜ソムリエの資格を持つ鈴木一志さん(58才)だ。
「私は魅力度44位の栃木県民ですけど」
と、やや自虐気味に、道の駅の上手な利用法を鈴木さんが語ってくれた。
「開店時間と同時に来店することですね。多くの農家さんが収穫したばかりの野菜を持ってくる朝が最も新鮮な野菜が手に入ります。さらにいえば平日より休日の方が、お客さんが多い分、量も種類も豊富です」
白菜、キャベツ、レタスは、特に秋からおいしくなる“三葉がらす”だが、
「ほうれん草と長ねぎも、寒暖差が激しくなる秋は甘みが増すので、お見逃しなく。もちろん買ったら時間を置かず調理してくださいね」(鈴木さん)。
おいしい野菜の具体的な見分け方は次のポイントを参考に!
おいしい野菜を選ぶポイント
(1)かぶ
肌のきめが細かくつやつやして葉は小ぶりが◎
(2)ごぼう
太すぎず、適度に湿り気があり真っすぐがいい。
(3)ルッコラ
青菜類は、緑の色濃く葉先がピンと伸びたものを。
(4)なす
ヘタの切り口が緑色で、トゲは痛いくらいが◎。
(5)しょうが
根はふっくらとし、肉質は丸くいきいき。
(6)玉ねぎ
触った時に玉は硬く、皮は乾いているもの。
(7)大根
根のあとが真っすぐ縦に並んでいると◎
(8)さつまいも
皮の色が均一で、ほどよい太さのものを。
(9)しめじ
カサの肉づきがよく、石づきもふっくらなもの。
(10)むかご
表面にしわの少ないものが、新鮮な証拠。
Part 2【作る!】 オバ記者も唸(うな)った 野菜力を最大限引き出す最強レシピ
料理上手とは、新鮮な素材を知り、手早くできる野菜料理のレパートリーがどれだけあるかによる。これに尽きるのではないか。秋野菜の美味しさを引き出す料理を教えてくれたのは、料理研究家の宇野実兎子(みつこ)さん。プロの道を断念して、夫の介護のために主婦に徹した調理人・宇野さんのさり気ない秋野菜料理に、スタッフ一同、大感動!
私が教えます:料理研究家・宇野実兎子(みつこ)さん
「榊叔子クッキングスタジオ」に18年在籍。料理教室講師、朝のワイドショーや女性誌の料理コーナーでも活躍。15年前に夫が難病に侵され、自宅介護のため表舞台から遠ざかるも、家族のために手早くできる野菜料理を作り続ける中、多くのレパートリーに磨きがかかる。
※レシピはすべて4人分です。
●かぶとごぼうの本格スープ
<材料>
かぶ4~6、ごぼう1/2本、鶏肉(骨付きのぶつ切り)8個、きくらげ4個、あさつき・塩・しょうゆ各少々
<作り方>
【1】鶏肉に熱湯をかけてから鍋に入れ、鶏肉がかぶる程度の水を加え、塩少々を入れて煮る。
【2】鶏肉が軟らかくなったら、大きさにより2~4個に切り分けたかぶと、ささがきをして水につけておいたごぼうを入れる。
【3】2~3カップのだしを加え、石づきを取ったきくらげ4個を加える。
【4】かぶが軟らかくなったら、塩、しょうゆで味を調える。
【5】器に盛り、あさつきの小口切りをのせる。
●青菜のサラダくるみ風味
<材料>
水菜1/4束、三つ葉1/3束、ルッコラ1/2束、ほうれん草(生食用)1/4束、春菊少々、くるみ少々、だし大さじ2、しょうゆ大さじ1、柚子またはレモンの搾り汁各少々
<作り方>
【1】水菜、三つ葉は3㎝くらいに切る。ルッコラ、ほうれん草も同じくらいの大きさに切る。春菊は葉先の軟らかいところをちぎっておく。
【2】だしとしょうゆに、柚子またはレモンの搾り汁を入れて合わせる。
【3】【1】を【2】で和える。
【4】軽くローストしたくるみの薄切りを混ぜて、器に盛りつける。
●カラフルな卵焼き
<材料>
玉ねぎ1/4個、ズッキーニ1/4本、トマト1/2個、本しめじ1/3株、卵3個、パセリ少々、牛乳大さじ3、塩小さじ1/2、こしょう少々、チーズ大さじ3~4
<作り方>
【1】玉ねぎ、ズッキーニ、トマトは1cm角、本しめじも同じくらいの大きさに合わせて切る。
【2】卵3個を溶きほぐし、牛乳、塩、こしょうで味をつけ、切った野菜(卵の半分くらいの分量)とチーズを入れる。
【3】ふたのできるフライパンにクッキングシートを敷き、卵と野菜とチーズを一度に入れて、弱火で10分ほど焼く。
【4】器に盛り、パセリのみじん切りをふる。
●4種のごちそう焼きなす
<材料>
なす4本、かつおぶし、だし、しょうゆ、大根おろし、しょうが、ポン酢、あさつき、みそ、砂糖、みりん、酒、いりごま(分量は下(A)~(D)参照)
<作り方>
【1】なすのへたの部分に軽く切り目を入れ、熱した網にのせて焼く。【2】【1】を塩水に入れ、素早く手で皮をむき水気をよくきる。【3】お好みで、(A)~(D) のたれでいただく。
<たれの作り方>
(A)かつおしょうゆだれ
かつおぶし大さじ2~3、だしとしょうゆを各大さじ2。
(B)しょうがだれ
だしとしょうゆを各大さじ2、おろししょうが大さじ2。
(C)大根おろしだれ
ポン酢、だし、しょうゆを各大さじ2、大根おろし大さじ4、あさつきの小口切り大さじ2。
(D)合わせみそだれ
みそ大さじ2~3、砂糖大さじ2、みりんと酒を各小さじ1、だし大さじ1、いりごま少々。
(A)~(D)は、それぞれの分量を混ぜておく。
●豚と大根のあっさり炒め
<材料>
大根1/4本、豚薄切り肉100g、しょうゆ大さじ2、サラダ油・こしょう各少々、あさつき2本
<作り方>
【1】大根を短冊に切る。サラダ油で豚肉を炒め、大根を加える。
【2】大根に火が通ったらしょうゆで味を付け、火を止め、こしょう少々を加える。
【3】器に盛り、あさつきの小口切りをたっぷりのせる。
●さつまいものびっくりサラダ
<材料>
さつまいも中サイズ1本、塩少々、レモンの搾り汁小さじ1、レーズン大さじ1~2、マシュマロ大さじ2、マヨネーズ大さじ1~2、スライスアーモンド少々
<作り方>
【1】皮をむき、1cm角に切ったさつまいも1本をゆでる。熱いうちに、塩少々、レモンの搾り汁をふる。
【2】冷めたら、レーズン大さじ1~2、小さなマシュマロ大さじ2を加えマヨネーズ大さじ1~2で和える。
【3】器に盛り、きつね色にローストしたスライスアーモンドをふる。
●吹き寄せ風きのこご飯
<材料>
米2カップ(だし2カップ、塩小さじ1)、きのこ(しめじ、まいたけ、生しいたけなど)1カップ半、生帆立貝半カップ(つけ汁は、酒大さじ2、しょうゆ大さじ1)、むかご大さじ3、春菊は葉先ひとつまみ
<作り方>
【1】きのこは小さく切り、酒、しょうゆにつけておく。
【2】洗って水気を切っておいた米に同量のだし、塩小さじ1、【1】、むかご、帆立貝をつけ汁ごと加えて炊飯器で炊く。
【3】春菊は葉先だけ細かく叩いて、炊き上がったご飯に混ぜる。
調理師の免許をもつ グランテラス筑西の販売員 小泉真由臣さんイチオシ料理!
●瑠璃色なすの塩もみ
<材料>
なす2本、しょうが少々、みょうが1個、塩小さじ1、(お好みでしょうゆ少々)、いりごま・花がつお各少々。
<作り方>
【1】なすはへたを取ってたて半分に切り、薄く斜め切りにする。みょうがは頭と下部の硬いところを切り落とし、たて半分に切って斜め切りにする。しょうがは千切り。
【2】なすに塩をふって1~2分放置したのち、軽く押して水気を取る。
【3】【2】としょうが、みょうがを和える。味が足りなければしょうゆを少々加える。いりごま、花がつおをふりかけていただく。
「売り場に立って、料理法を教えています」という小泉さんがよく作るなす料理がコレ。
「もいだばかりのなすで作ると、ほんとうにきれい。ですが、すぐに色が変わってしまう、はかない料理でもあります」(小泉さん)。
茨城は今日ものどかだった…
「今週末、茨城においしいものを買い出しに行きませんか? 車出して案内しますよ」
そう言う男友達のU氏(46才)は神奈川県出身。
「えっ、私を茨城に?」
と首を傾げたものの、彼が推奨した茨城の蕎麦店や直売店は、親きょうだい以外に教えるのをためらうほどの高いレベルの店ばかりだった。
「ぼくから言わせたら魅力度ランキングなんか低くていいんです。見てくださいよ、こののどかな風景を。東京から1時間半で、ありえません」
しかし、“半茨城人”の私にすれば、人口減少が下げ止まらず、廃墟になった建物が年々増えるのを見るのは忍びない。
「何とかなんねぇがよ」
地元の同級生に言うと、「なんねぇべな」と即答だもんな。
「農作物が豊富だから、茨城県民はあくせく働かねぇんだよ」だって。
しかしそんな茨城も“令和”の風は吹いているんだね。国道50号線沿いに北関東最大級の道の駅が7月にオープンしたの。屋外コンサート会場になる芝生広場を中心に、直売所にコンビニ店、ドッグラン、バーベキュー場、農場。買った素材を格安で調理できる最新式の調理室(予約制)まである。
ここなら、“茨城の野菜力”の発信基地になるかもね。頑張れ、最下位、茨城!
グランテラス筑西(ちくせい)
茨城県筑西市川澄1850番地
(電話)0296・45・5055
https://granterrace-chikusei.com/
オバ記者(野原広子)
1957年茨城県出身。空中ブランコ、富士登山、電動アシスト自転車で11時間、93km走破など体験取材を得意とする。女性セブンの連載エッセイ「いつも心にさざ波を!」で、波風をたてることも。
撮影/菅井淳子 調理/宇野実兎子 調理アシスタント/山崎なおみ 協力/グランテラス筑西
※女性セブン2019年10月31日号