は?とすぐ聞き返す、思い出話を繰り返す…要注意!年寄りに見えるNG行動を専門家が解説
もう、いい年なのはわかっているけど、夫や子供の「老けたよね」の言葉がグサリ。でも、あなたが年齢より老けて見られてしまうのは、何気ない言動やファッション、ヘアメイクのせいかもしれない。自分では気づきにくいからこそ特に注意したいチェックポイントをまとめた。
老眼で目を細めるはNG。初期から老眼鏡をかけるのが〇
脳は死ぬまで成長し続けるといわれるが、体の老いに抗うのは難しい。腕を伸ばしてスマホを離して見たり、目を細めたりすれば“老眼”だとひと目でわかってしまう。
かといって、老眼鏡を避けているとかえって顔が老け込んでしまうと語るのは、『老化って言うな!』(PHP新書)などの著書を持つ、二本松眼科病院の医師・平松類さんだ。
「初期の老眼は、目を細めれば近くのものも見えます。でも、目を細めるとおでこや目尻にしわが刻まれてしまい、老人っぽい顔つきになってしまいます。老眼の進行も早めてしまうので、初期の段階から老眼鏡を買っておく方がいい」(平松さん・以下同)
もし、どうしても老眼鏡をかけたくないなら、コンタクトレンズにするのも手。最近は遠近両用のものがある。
年を取ると視力が落ちるだけでなく、実は白目の色も黄色くくすんでくる。
「目をこすらない、めがねなどで紫外線をカットするといった工夫をすれば、少しずつ白目の白さが取り戻せます」
は?と聞き返すのは、耳のせいではない
老眼だけでなく、“耳が遠そう”に見える行動も、老人っぽく見られてしまうことが多い。
「は?」「今、なんて言った?」
人から声を掛けられ、つい二度聞きしてしまうことはないだろうか。年を取って、耳が遠くなったのか―実はそうではない。聞き逃してしまうのは、耳ではなく脳の問題だと平松さんは言う。
「音を聞き分ける脳の働きが弱って、相手の声と雑音が判別しにくくなっているだけです」
雑音があると相手の言っていることに集中できなくなるのは、若い人にも起こる。特に中高年になると、「人の話を聞くよりも自分が話したい」「相手に何かアドバイスをしてあげたい」と、自分が次に何を言うべきか考えてしまうなど、高まった承認欲求の影響で、相手の話に集中できなくなるといった傾向も考えられる。
とはいっても、年々聴力が衰えるのも事実。聞く力を鍛える方法はあるのだろうか。
「人間は無意識に相手に合わせるので、自分がゆっくり話せば、相手もゆっくり話してくれるようになり、聞き取りやすくなります。また、テレビのボリュームを2段階分くらい下げるのも効果的です」
最初は聞き取りにくいが、それを1日5~10分、2週間続けると聴覚機能がアップしたという研究結果もある。
本当に聴力が低下していたら、マグネシウムが豊富なわかめなどの海藻類を食べると改善の一助になる。
その行動、まわりの人はこう見ている
同じ話を何度もするのは要注意
また、“年寄りっぽい”というレッテルを張られやすいのが、「同じ話を何度もする」こと。楽しい記憶は何度思い出してもいいものだが、聞かされる方は困る。なぜ同じ話ばかりしてしまうのだろうか。
「誰かに同じ話をしたことは覚えているのですが、誰に話したのかを思い出せなくなっているのです。話に夢中になっていると、聞き手の“また同じ話だ”と困惑した表情も目に入らないので、昨日と同じ話を繰り返してしまいます」
自分でも気づいていながら「またやってしまった」ということも多いだろう。これを避けるには、思い出話をする時は、いつもと違うことをするのがいい。
「たとえば、普段は緑茶派なら、思い出話をする時はドクダミ茶を飲むようにするなど。すると、いつもと違うお茶を飲んだことは記憶に残りやすいので、お嫁さんに思い出話をしようとした時、『このドクダミ茶、この前も飲んだわね。そういえば、その時も学生の頃の話をしたんだったわ』と、同じ話を繰り返す前に気づきやすくなるでしょう」
孫と話しながら折り紙をする、嫁と話す時は紅茶にミルクを入れるなどと、話す内容や相手によって使い分けてもいいかもしれない。
外見は“ツヤ”と“品”が鍵
ふくよかになった体を隠そうとゆとりのある服に手を伸ばしがちだが、それでは余計に野暮ったく見える。
50~60代女性向けのスタイリングを手掛ける「いとつなぐ」代表スタイリスト・野本しょうこさんはこう話す。
「お尻が隠れるチュニックはもはや流行遅れです。ロング丈のカーディガンやゆったりワンピースなど、旬のアイテムを取り入れたり、ストールを首に巻いて視線を集めて重心を上げれば、今っぽさを出しながら上手に体形をカバーできます」(野本さん・以下同)
それまで着ていたアイテムを残しつつ、それに合った体形カバーアイテムをプラスしていけば、買いすぎることもない。これからの季節ならストールや帽子など、小物からそろえてみるのがおすすめだ。
「困ったらショップスタッフに相談してください。ユニクロやGUならお手頃価格なので、トレンドアイテムも取り入れやすいでしょう。また、試着中に話し掛けられにくいので、納得いくまで吟味できるのもいい」
髪形やメイクにも気を使う必要はある。40〜50代向けの美容ユーチューブチャンネル「SHOKO美チャンネル」を運営するヘア&メイクアップアーティストの加藤聖子(しょうこ)さんは、髪にボリュームとツヤがなくなると、一気に年を取って見えると話す。
「見落としがちなのが頭皮です。というのも、日に当たる頭頂部がいちばん乾燥しやすいのです。いくら髪にトリートメントを塗っても、“土壌”である頭皮が乾いていたら意味がありません。頭皮が乾いていると毛根そのものがしっかり立ち上がらず、ペタンと髪が寝てしまいます。生えてくる髪がうねってチリチリしてしまい、セットしてもアホ毛が出てしまうのはそのせいです。普段から頭皮にも化粧水をつけたり、シャンプー前に椿油などのヘアオイルをつけてマッサージするなど、保湿を徹底して」(加藤さん・以下同)
「年寄りっぽく見える」ヘアメイク・ファッションの代表例
グレイヘアも年寄りくさく見せる危険が
昨今流行のグレイヘアも、実は年寄りくさく見せてしまう危険性が高いと加藤さんは言う。
「日本人の髪は、白髪になっても黄みがかった色になることが多いのです。すると髪全体がどうしてもくすんだ印象になってしまいます。きれいなグレイヘアにするには、それ専用のカラーリングをして、白髪に透明感を出す必要があります」
「カラーリングの手間が省ける」と思って流行のグレイヘアにしたものの、まさかきれいにキープするためのカラーリングが必要とは、思いもよらなかった。
流行を勘違いしやすいのは化粧も同じ。加藤さんは、若い頃とは似合うメイクがまったく違うと言う。
「若い頃は頰骨の高いところにチークを濃く、丸く塗っても似合いますが、年を取ってからの濃いチークは品がありません。“つけているかわからない”くらいの少量で、黒目の下くらいからこめかみにかけて持ち上げるように軽くつけて。それを数回繰り返して濃さを調節すると、つけすぎずにすみます」
薄づけを重ねると、くずれにくくなるというメリットもある。また鼻下から耳を結ぶラインより下にはつけないこと。
「チークのつけはじめの位置が低すぎると、顔が下がって見えて、老け顔になります」 正しいチークテクを身につければ、自然に顔色がよくなるだけでなく、リフトアップして見せる効果も期待できるのだ。
チークはつけ方が重要だが、口紅は色選びの段階から気をつけたい。バブル期に流行した青みの強いローズピンクをいつまでも使っていると、後ろ指をさされる人もいるが、一概にNGというわけでもないと、加藤さんは言う。
「その人の肌色によって似合う色はさまざま。自分に合う色がわからない場合は、手の中指をギュッと強く握ってみて。しばらくすると指先がうっ血してきますが、それがあなたが本来持っている血色です。それと同じ色合いの口紅を選べば失敗しません」
もしこれを読んでドキッとしたとしても大丈夫。見た目や行動に表れる“年寄りっぽさ”は、ちょっとの心がけで改善できる。
※女性セブン2019年10月31日号
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