タワーマンションの中にある都市型サービス付き高齢者向け住宅
オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
今回紹介するのは、サービス付き高齢者向け住宅「ココファン勝どき」だ。
ココファン勝どき
勝どき駅から徒歩6分の「ココファン勝どき」。東京・中央区の公募事業で選定された株式会社学研ココファンが手がける都心型のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だ。学研ココファンはサ高住を全国で展開してきた実績がある。コンビニや飲食店などの商業施設が併設されているので、都心の利便性を十二分に享受できる。
「サ高住」とは、2011年10月に国土交通省と厚生労働省の共同所管によって制度化された高齢者住宅で、様々な要件が定められている。ハード面は、原則25平米以上であること、台所・水洗トイレ・収納設備・洗面設備・浴室を設置すること、バリアフリー化することなどが必要だ。サービス面での要件としては、少なくとも状況把握(安否確認)、生活相談を提供することが求められる。ほかにも入居者が入院したことや心身の状況が変化したことを理由に、入居者の同意を得ずに居住部分の変更や契約解除を行わないなどのルールがある。
また、通所(デイサービス)と宿泊(ショートステイ)、訪問介護の3つの機能を持つ小規模多機能型居宅介護事業所(小規模多機能)が併設されている。小規模多機能は主に近隣の在宅高齢者世帯を対象としており、ココファン勝どき全体で、地域の高齢者に住まいと介護サービスを提供しているのだ。
高齢者の様々なニーズに対応する都市型サ高住
ココファン勝どきは様々なニーズを想定して作られている。「もしもの時が心配だが介護施設はまだ早い」「夫婦で住み替え先を探している」「退院後の住まいを探している」「特養ホームの入所待機をしている」…など、自立している人から、介護が必要な場合まで対応可能だ。
自宅での高齢者の介護で悩んでいる家族にとっても、安心できる要素がある。24時間365日ケアスタッフが常駐しているので、夜中に具合が悪くなった場合や転んでケガをしてしまった場合にも一次対応をしてくれるほか、提携医療機関が昼夜を問わない緊急時のオンコールに対応((別途契約が必要)してくれるのだ。
気になる費用面を見てみよう。入居一時金が0円で、敷金のみの賃貸借契約。つまり月々の支払いのみで住むことができ、金額も近隣のマンション相場が考慮されている。ココファン勝どきは終身建物賃貸借契約なので、心身の状態が変化しても住み続けることができ、追い出される心配もない。
学研ココファンの代表取締役社長・五郎丸徹さんは「多世代交流による豊かな暮らしを実現したい」と語る。学研ココファンは高齢者施設における多世代交流に以前から取り組んでおり、早稲田大学と共同研究を行った実績もある。ココファン勝どきでもその取り組みを行っていくという。
また、ココファン勝どきの所長・井上和彦さんは「スタッフの質を個人差なく高いレベルで保ち、理念に基づいたケアを提供すること」を重視していると語ってくれた。
あくまでも住宅なので、外出はもちろん、家族や友人の出入りも自由だ。共用の食堂での食事サービスを利用することもできる。もちろん、部屋のキッチンで自炊をすることも、買ってきたものを食べることもできる。そうした、自由度の高い暮らしができるのもサ高住の魅力だ。
2010年から2025年でみると、東京都の75歳以上の人口増加数は76.2万人と推計され全国1位。増加率でみても62.6%と全国8位。都心ではなかなか実現しなかったココファン勝どきのようなサ高住は今後ますますニーズが高まることが予想される。本人や家族が都心に住んでいる場合は、老後の住まいの選択肢に入れてみてもいいかもしれない。
【データ】
施設名:ココファン勝どき
公式WEBサイト:http://www.cocofump.co.jp/facilities/detail/kachidoki/
所在地:東京都中央区勝どき5-3-2
最寄駅:都営大江戸線「勝どき駅」徒歩6分
類型:サービス付き高齢者向け住宅
運営主体:株式会社学研ココファン
敷地面積:10878.09平方メートル
延床面積:2519.75平方メートル
室数:34室
入居要件:
・満60歳以上または要介護・要支援認定を受けている60歳未満
・月額所得が487,000円以下
・入居者本人が中央区民、または中央区内に二親等内の親族が居住している東京都民
構造:鉄筋コンクリート造 地上53階建(うち1階~4階の一部分)
開設年月日:2017年3月
料金:
Aタイプ(1人用)月額14万3700円/内訳=賃料9万5700円、管理費1万5600円、サービス費3万2400円
Bタイプ(2人用)月額20万2240円/内訳=賃料14万1900円、管理費1万9300円、サービス費4万1040円
※入居に際しては別途敷金(賃料2カ月分)がかかる
※水道光熱費は、戸別メーターにて別途支払い
※月額所得214,000円以下の入居者は家賃減額(戸当たり40,000円/月を限度)あり
※総合保険2年一括1万6390円~(家財保険・個人賠償保険含む)に加入
※介護保険の自己負担分、食費は別途利用分を負担
撮影/津野貴生
【このシリーズのバックナンバー】
●コミュニケーションを重視し個別ケアに取り組む介護付有料老人ホーム<前編>
●コミュニケーションを重視し個別ケアに取り組む介護付有料老人ホーム<後編>
●手厚い「個別ケア」を実現した介護付有料老人ホーム<前編>
●手厚い「個別ケア」を実現した介護付有料老人ホーム<後編>
●自立支援介護に実績のある介護付有料老人ホーム<前編>
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●元イタリアンの料理人が腕をふるう介護付有料老人ホーム<前編>
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