医療法人が運営するクリニック併設の介護付有料老人ホーム<後編>
ようせいメディカルヴィラ
介護付有料老人ホーム「ようせいメディカルヴィラ」は医療法人容生会が運営している。2007年の医療法改正で医療法人運営による有料老人ホームが設置可能になったのだ。
容生会はクリニック、在宅医療、居宅介護支援、医療と介護の相談窓口などを運営し、地域で医療と介護の包括的支援を目的とした活動を行ってきた。それが2008年の「ようせいメディカルヴィラ」、2012年のデイサービス・ヘルパーステーション併設のサービス付き高齢者向け住宅「ようせいメディカルコート」の開設へと実を結んでいっている。一貫しているのは「医療と介護は切り離すことができない」「医療・介護と福祉の街づくり」という信念だ。
副施設長の三浦淳さんと総務課課長の田頭ひとみさんに話を聞きながら、施設内を案内してもらった。
「法人の開設時から外来とともに往診を行っていました。そこからスタートして、介護サービスを始めました。入院設備を持つことで在宅でも緊急時の対応ができるようにというのが念頭にあります」(田頭さん)
いつも往診で診ている医師が引き続き対応できるのは安心だ。さらに施設に入居することになっても、同じ医師が診ることができる。
「病床があって、24時間いつでも医療対応ができます。医師、看護師が常にいるので安心していただけますね」(三浦さん)
施設には入居者のために喫煙室も用意しているが、それも哲学が元になっている。
「病院とは異なり生活の場でもあるので、医療ケアをする中で気持ち良く過ごしてほしい。そのためにお酒も良いでしょう、タバコが吸いたければそれも良いでしょう、ということであえて喫煙室を作っています」(三浦さん)
心電図モニターも備えた手厚い医療設備
2階は、ナースコールを押すことも難しいような医療依存度が高い人が多い。そのためスタッフは入居者の様子を常にチェックする必要があり、気が抜けない。
ナースステーションには心電図モニターもあり、病院さながらの設備が整えてある。2階はまさに病院の延長といった雰囲気であり、そのための機能を持っている。医療依存度の高い人も十分な治療を受けることができ、夜間であっても何かあれば、1階から医師、看護師が駆け付けてくれる。スタッフが意識しているのは、変化を見逃さないことだという。
他の施設から受け入れる場合には、施設長や副施設長である三浦さん、看護師が本人に会いに行き、状況を確認するという。基本的に断ることはないので、受け入れを判断するのではなく、受け入れるための情報収集のために足を運ぶそうだ。医師が書く診療情報提供書だけではなく、介護の面で必要なことも確認するのが目的とのこと。さらに入居者本人はもちろん、その家族の心のケアにも気配りをしている。