本当は怖い低栄養<2>早期発見・予防のコツ~プロが教える在宅介護のヒント
専門家に在宅介護のヒントを教えてもらうシリーズ、今回のテーマは「低栄養」。一見、元気な高齢者にも起こると言われる低栄養は、本人はもちろん、まわりの人にも気づかれないことが多いため、対応が遅れると健康に問題を起こしてしまうという。。第1回に引き続き、2回目では、どうしたら早めにその兆しを見つけられるか、予防のコツや献立のヒントなどを管理栄養士の安田淑子さんに聞いた。
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低栄養の“兆し”を家庭で見つけるチェック項目
最新の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省、平成27年)によれば、元気そうに見える高齢者でも、その約2割に低栄養の疑いがあるといいます。しかし、第1回の記事でも述べた通り、栄養不足を自覚している人や、周囲の誰かが気づいているケースは少なく、対応が遅れることによって健康上の問題につながる場合が少なくありません。
骨折や肺炎など健康に問題が起こると、さらに栄養状態が悪くなり、別の健康被害につがなることも多いです。そのような負の連鎖を招かないために、低栄養は早期発見・対応が大切なのです。
病院などでは、低栄養は血液生化学検査による血清アルブミン値(3.5未満)や肥満度指数であるBMI(18.5未満)などいくつかのデータから判断しますが、家庭で兆しを見つけるなら、次の点をチェックしましょう。
2つ以上当てはまる場合、かかりつけ医に栄養状態を診てもらい、原因を突き止め、栄養を補いましょう。訪問看護や介護を利用している人なら、訪問看護士やケアマネジャーに必要なケアの相談をすることもできます。
□ 肥満度指数であるBMIが18.5未満(基準値は18.5~24.9)
【BMIの計算式】
体重(kg)÷(身長【m】×身長【m】)=BMI
□ 半年より短い期間に2~3kg以上の体重減があったか
・ 歩行速度の低下
外出が少なくなっていないか。青信号の間に横断歩道を渡りきれるか。
□ ふくらはぎの筋肉量の低下(ふくらはぎが細くなる)
□ 握力の低下
ビンやペットボトルのふたが開けられるか。握手で力を入れられるか。家事ができているか。
指輪っかテストをしてみよう
両手の親指と人さし指で輪っかをつくり、ふくらはぎの最も太い部分を囲んでみましょう。ふくらはぎの筋肉量は、低栄養と関係の大きいサルコペニア(進行性の筋肉量の減少や筋肉低下)の可能性が高くなりますので、次のテストで、チェックしてみましょう