安心して行きたい!【バリアフリー温泉】ガイド<2>旅のサポーター
「トラベルヘルパー」をご存じでしょうか。その名の通り、旅の介助をしてくれる人のことです。
「日本トラベルヘルパー協会」に連絡をしてくる動機で多いのは、「墓に入る前に、墓参りがしたい」だそう。旅はもう無理だと思い込んでいたが、一度、トラベルヘルパーと共に旅をしたら自信がつき、次は都心への買い物、最終的には温泉に入ることが目標になったという人もいるといいます。
そんなニーズに応えるべく現在、「東伊豆トラベルヘルパー協会」など、温泉入浴介助をする「温泉トラベルヘルパー」の育成にも力を注ぐところも増えてきました。
「あ・える倶楽部」では、介護や看護の専門知識と経験のあるプロフェッショナルスタッフが旅のプランニングや、観光地、宿泊先の選定まで行い、旅先ではトラベルヘルパーが付きそうシステムです。事務所にある利用者のアルバムでは、トラベルヘルパーと旅を重ねることで、表情が明るくなった利用者や、そのご家族の笑顔の写真をたくさん見ることができました。こうしたトラベルヘルパーのサポートを受けて、旅をするというのも一つの方法だと思います。
あ・える倶楽部 http://www.aelclub.com/
バリアフリー温泉は世代を超えて、みんなで楽しめる
介助される側も、介助する側も、共に楽しめるのがバリアフリー温泉の良さです。
「僕を介護する妻の顔がどんどん険しくなって。その妻が、温泉に来ると徐々に笑顔に戻るんだよ。温泉、もちろん僕も気持ちよかったけど、僕は妻が喜んだことが一番うれしかった」
こう語るお客さんに会ったことがあります。
「介護」とは、時に行きづまり、共に苦しむことも多いのではないでしょうか。そんな時に、息抜きに、家族を労わるためにも、機会を設け、バリアフリー温泉で家族旅行を計画してほしいのです。
『バリアフリー温泉で家族旅行』を出版して、「温泉を諦めていた私たちに、喜びの光です」といったうれしい反響と同時に、「もう少し早く、この本に出合っていたら、今は亡き母を温泉に連れて行ってあげられた」、そんな感想もいただきました。
連れて行ってあげたい大切な人がいるのなら、ぜひ行ってください。温泉は、必ず人を癒し、体も整えてくれるはずです。
【バリア温泉シリーズを読む
●【バリアフリー温泉】最新ガイド<3>山形県 かみのやま温泉
●山崎まゆみさんオススメ!【バリアフリー温泉】最新ガイド<5>~神奈川県 箱根
山崎まゆみ
温泉エッセイスト、ノンフィクションライター。新潟県長岡市出身。日本全国のみならず、世界31か国以上の温泉を巡り、その魅力をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などで紹介している。著書に、『だから温泉はやめられない』『ラバウル温泉遊撃隊』(ともに新潮社)、『白菊-shiragiku-』(小学館)などがある。
公式HP http://ingsnet.com/mayumi/