孫が見た《老々介護の歯がゆさ》通院を拒み続ける祖父が今度は風呂キャンセル!?浴槽で困った問題が発生
ヤングケアラーとしての経験を発信する、たろべえさんこと高橋唯さん。母が施設で暮らし始め、ケアラー生活も一段落と思いきや、今度は祖父母の「老々介護」が気がかりだ。要介護2の祖父は身体の痛みを訴えるも通院を拒否。そんな中、新たに入浴の問題が浮上し――。
執筆/たろべえ(高橋唯)さん
「たろべえ」の名で、ケアラーとしての体験をもとにブログやSNSなどで情報を発信。本名は高橋唯(高ははしごだか)。1997年、障害のある両親のもとに生まれ、家族3人暮らし。ヤングケアラーに関する講演や活動も積極的に行うほか、『ヤングケアラーってなんだろう』(ちくまプリマー新書)、『ヤングケアラー わたしの語り――子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(生活書院)などで執筆。 https://ameblo.jp/tarobee1515/
身体の痛みを訴える祖父は「通院拒否」
近所で暮らす祖父母の「老々介護」が始まり、90代の祖父(要介護2)を80代の祖母がケアしている。最近の祖父は身体の強い痛みを訴えるようになり、ケアマネさんの采配で介護タクシーを手配したのだが、それでも祖父は病院にはどうしても行きたくないと拒み続けている。
→孫が見た《老々介護の課題》祖父は痛みを訴えるも通院は拒否、祖母は困惑…「誰のためのケアなのか?」
祖父は「身体を温めると痛みが和らぐ」と言って、1日に何度も風呂に入ろうとするようになった。足取りがおぼつかず、浴槽への出入りや着替えにも介助が必要なため、祖母は毎回付き添う必要がある。
朝晩関係なく、夜中でも祖父が自分で風呂にお湯を溜めようとしている音が聞こえると、祖母は起きて様子を見に行かなくてはならない。
時折、息子である父や筆者が祖父母の様子を見に行っているのだが、あるとき祖母がつけている介護日記を読んでいたら、気になる記述があった。祖母に話を聞いてみると、驚きの事態が発覚した。
じいちゃんが風呂場で…
「朝6時30分くらいで、私はまだ寝ていたんだけど、お風呂から声が聞こえてきたから慌てて起きて見に行ったの。そしたら、じいちゃんが浴槽に頭を突っ込んでいて、びっくりして。あと少しでお湯に顔が浸かっちゃう、ってとこだったのよ! 自分でお風呂に入って、出ようとして転んだんだろうね…」
祖母はなんとか祖父の身体を起こし、寝室まで連れていくのに一苦労だったそうだ。
今度は風呂キャンセル…
一歩間違えば溺れて命の危険もあるし、祖母の負担が大きすぎるので、まずは父にも様子を見に行ってもらうことにした。
祖父母宅に行った父から話を聞いてみると、このところの祖父は逆にお風呂に入らなくなってしまったという。祖母はせめて身体を拭こうと思ったそうだが、痛がって抵抗されてしまい難しい。どうしたらいいかわからずケアマネさんに電話をしたが出なかった、とのことだった。
筆者としては、祖母が自分からケアマネさんに連絡できると思っていなかったので、正直驚いた。
後日、筆者が祖父母宅に行ってみると、祖母がまだケアマネさんと話せていないというので、もう一度目の前で電話をかけてもらった。
きっと1日に何軒も訪問があってご移動中だったのか、やはり出なかったので、祖母に留守電を残すように言った。ところが祖母は「何を言えばいいの?」と固まってしまったので、筆者が代わった。
祖母は身内や友人にはいろいろとよく喋るのだが、慣れない相手だと頭が真っ白になってしまうらしい。
いつ折り返しの電話があるかわからないので待っているわけにもいかず、なにを伝えればいいか台本をつくり、祖母に話す練習をしてもらっていたところ、意外にもすぐに電話がかかってきて、ケアマネさんと話すことができ、「翌日訪問する」と時間をつくってくださった。
ケアマネさんから「デイサービス利用」の提案
ケアマネさんの訪問には筆者も立ち会った。祖母の話を聞くなり、ケアマネさんはデイサービスの利用を提案してくれた。
「訪問入浴という手もありますが、ご自宅の構造上、利用は難しいと思います。足がむくんでいるのも気になるので、まずはデイサービスに行って、看護師さんに確認してもらいましょう。
周りに人がたくさんいることが刺激になって、夜も起き出してくることが少なくなってくれるとよいのですが…」
デイサービスは週3日利用することになった。同じ週の内にはデイサービスの職員さんを招いた担当者会議を開き、その翌日には利用開始と、迅速に手配してくださった。
用意する物も教えていただいたので、筆者は祖父の衣類やタオルに名前を書いて一式準備してから帰宅した。
デイサービスの初日を迎えたが…
担当者会議には祖母だけが出席し、いよいよデイサービスの利用開始当日となった。病院に限らず、とにかく家の外に出ることを嫌がる祖父が順調に出かけて行ったのか気になっていたのだが、祖母からは何の連絡もない。
不思議に思い、祖母に電話をかけてみたところ、「ああ、今日ね、行かなくなったの」とあっさり言われた。担当者会議の日(前日)、祖父にデイサービスの説明を試みたものの、うまく理解してもらえなかったそうだ。
「まずはご本人によくわかってもらってからのほうがいいので、来週からにしましょうか」と、利用日を改めることになったらしい。
丁寧に進めていただき非常にありがたいが、1日でも早く祖母の負担を減らしたいと思っていただけに、正直なところちょっとだけ残念だった(祖父には悪いが)。
祖父は今後はどうなるのだろうか?
祖母は最後に「ケアマネさんが、お孫さんからもなんとかおじいちゃんに(デイサービスに行ってもらえるように)頼んでみてと言っていたよ」と言って、電話を切った。
そう言われても、あいにく祖父は「かわいい孫の頼みとあらば聞いてくれる」というようなタイプではない。来週からは、なんとか祖父がデイサービスに行ってくれると、大変ありがたいのだが…。
