遠距離介護の実態「4割が片道1時間以上、金銭面の不安を抱える人が多数」<調査レポート>
日本の長寿高齢化にともない、仕事をしながら親などの介護者のケアをしているビジネスパーソンも多い。働きながら離れて暮らす介護を必要とする人をケアする現役世代への負担の実態が、調査で明らかになった。
片道1時間以上かかる遠距離介護の人が約4割
高齢者の見守りスマートホームサービス「MANOMA」を提供するライフエレメンツは、介護者と離れて暮らす遠距離介護の経験者370人を対象にした「ビジネスケアラーの遠距離介護に関する実態調査」を実施。その内容をレポートする。
調査の結果、親など介護を必要とする介護対象者のところまで行くためには、片道1時間以上かかる人が約4割に上った。
また、以下図のように、約3割の人が、介護対象者のところまでの費用が往復1万円以上かかると回答。
介護先まで1時間以上かかるひとの交通費などの負担は、最多が「1,000円〜3,000円未満」だが、43.5%の人が往復5,000円以上、うち30.3%の方が1万円以上かかると回答している。時間だけでなく金銭面でも大きな負担がかかっていることがわかる。
6割以上が介護先へ「月に1回以上」訪問
どれくらいの頻度で介護先に訪問しているかは、全体的に回答がばらける結果となったが、合計すると6割以上の人が、月に1回以上の頻度で介護対象先に訪問していることがわかった。
前述の交通費に関する回答とクロス集計をすると、発生費用が高い人ほど訪問する頻度が少なくなる傾向が見て取れる。また、遠距離介護の場合、帰省や介護先への訪問が時間的にも金銭的にも大きな負担となる場合が多く、なかなか頻繁には訪問できない実情が伺える。
介護について不安や悩みを抱える人が約8割
介護について、「不安がある」「やや不安がある」と回答した人が77%。さらに、「不安や悩み」の具体的な内容を聞いたところ、7割近くの人が「お金・発生する費用」と回答し、3人中2人以上が経済面での不安を感じているようだ。
「介護対象者の状況が分からない・緊急時にすぐに対応できないこと」「病院付き添いなどの定期的な訪問」など、遠距離介護ならではの不安や負担を抱えている人も4割を超えていた。
遠距離介護に悩めるケアラーたちの声
この調査結果では、ビジネスケアラーたちの生の声も報告されている。いくつかピックアップしてみよう。
「介護当時、小学生の子供2人がおり、介護される家族は飛行機の距離に住んでいたので、小学校の長期休みにしか手伝いにいけなかった。また、1週間ほどの滞在に子供も連れて行かないといけないので往復の飛行機代など交通費だけでも出費が大きかった」
「私自身も更年期で体調が不安定。自宅に車が無いため深夜に救急から連絡があった際に対応が出来ず、救急隊員に怒鳴られたことがある。 罪悪感もあり、どのようにしたら良いか分からない」
「遠距離実家が老老介護。往復約6時間半。移動と新幹線代が大変。妹も実家から往復約2時間で旦那さんは単身赴任中、1人で仕事しながら3人の子育て中のため頻繁に帰省できない。今後主人の両親も介護が必要になったら私は仕事を続けられるのか不安でしかない」
「片道450kmあり車での往復なので、月最大3回が限界。仕事をしているが、手続きは平日しかできない事が多く、仕事が終わって夜に出発し、次の日の夜に帰る、の繰り返しになる。体力的にきつい」
金銭的負担や、時間的・物理的な負担、介護や育児、仕事との両立に悩む人が多い。
7割近くが仕事や家族に介護の影響
介護を始めたことによる仕事や家族への影響は、「あった」「ややあった」と回答した人が67%、3人中2人は介護負担が仕事や家族に影響していることがわかる。
また、遠距離介護に関する情報を得たり相談する先は、「ケアマネジャー」が53.8%と最多。「家族・親族」「地域包括支援センター」が並び、それぞれ20%を超える回答となった。
一方で、「相談先がない」と回答した方が9.2%と約10人に1人。初めての介護、複雑な制度、金銭面や時間的負担の中、相談先がないことは非常に強い不安といえるだろう。
見守りサービスを活用したい人が約7割
介護対象者の見守りサービスを「利用したい(現在利用している)」「どちらかといえば利用したい」と回答した人の合計は、68.1%。3人に2人が見守りサービスへの利用意向を示している。
利用してみたいサービスの内訳は、「スタッフや担当者の定期訪問による安否確認」が最多で5割に近い。「見守りカメラ」や「センサーによる自動通知」のほか、「サービス事業者駆けつけサービス」も利用したい意向が多かった。
従来の人による見守りサービスだけでなく、カメラやセンサーなどを活用した見守りが上位に入り、遠距離介護をされている方の選択肢となっていることがわかる。
今回の調査からわかるのは、遠距離介護をしているビジネスケアラーは仕事や自分の家庭の育児や生活との両立と、遠距離に通う体力・金銭的負担を感じている人が多いことだ。便利なアイテムを取り入れながら、遠距離介護の負担を減らせるとよいだろう。
【データ】
「ライフエレメンツ」 https://life-el.com/
「MANOMA」https://manoma.jp/lp/parent_care/
【アンケート調査概要】
・ 実施時期: 2025年12月11日(木)~12月17日(水)
・ 調査手法: インターネット調査
・ 調査対象: 遠距離介護経験(片道1時間以上)のある、ビジネスケアラーの40才以上64才未満の男女370人
・ 調査機関: ライフエレメンツ調べ 【実務委託先:Freeasy (2025年12月)】
※ライフエレメンツの発表したプレスリリース(2026年1月15日)をもとに記事を作成。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000123098.html
図表/ライフエレメンツ提供 取材・文/本上夕貴
