「きょうだい間における実の親の介護・サポート」についての実態調査を実施!きょうだいの中では、女性の方が介護・サポートの役割を担う割合が高いと判明|介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン
実の親に介護・サポートが必要になったとき、きょうだいがいる子の場合、その多くはきょうだい間で相談し、「誰がどのような役割を担うのか」、「誰が介護費用を負担するか」等を決定していくことが想定される。本レポートでは、実の親の介護・サポートに関して、「きょうだいの男女間で違いが生じるのか」、「長子か長子でないかで違いが生じるのか」、また「介護費用はきょうだい間で誰が多く支払っているのか」などについての調査結果を報告する。
■アンケート概要
調査主体:介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査対象:『介護ポストセブン』会員組織『介護のなかま』登録者
調査期間:2024年7月12日~7月29日
有効回答者数:3,138名(内訳:男性 1,178名、女性1,938名)その他22
●「きょうだい間における実の親の介護・サポート」についての実態調査結果一部抜粋
実の親の介護・サポートで担っている役割
1.「話し相手」と回答した割合がもっとも高い
「現在、あなた自身が、実の親の介護・サポートで、おもに担っている役割は何ですか」という質問に対して、「話し相手」と回答した割合は37.64%でもっとも多く、次に「買い物のサポート」が30.05%、「通院の付き添い」が28.49%という結果になった(図1)。
2.きょうだいのなかでは、「女性」の方が「男性」よりも、介護・サポート項目を担う割合は高いが、「長子」か「長子でないか」による差はほとんどない
前問「現在、あなた自身が、実の親の介護・サポートで、おもに担っている役割は何ですか」という質問に対する、きょうだいのなかでの男女間における結果が以下の通りだ(図2、左)。
おもに担っている役割の各項目では、きょうだいのなかで男性(長男、次男等)が「話し相手」という役割を担っている割合は30.42%に対して、女性(長女、次女等)は43.48%だった。「買い物のサポート」についAても、きょうだいのなかで男性は24.95%に対して、女性は33.26%。同様に、ほぼすべての項目において、女性の方が男性より、関与することが多く、負担が大きいことが判明した。
一方、長子か長子でないかによっての各項目割合に、差はほとんど見られなかった(図2、右)。
きょうだいの男女、長子か長子でないかによって生じる違いが浮き彫りに
本調査では、このほかに、
・実の親の介護・サポートで、もっとも役割負担が大きい人
・実の親の介護・サポートにおける費用負担者(男女差、長子と長子でない場合で違いがあるか)
・介護・サポート費用をもっとも多く負担している人は、親と同居しているか
等の質問から、実の親の介護・サポートについて、きょうだいの男女で生じる違いや、長子か長子でないかによって生じる違いなどを浮き彫りにしている。
本調査の結果を通じて
介護・サポート費用は「長子」で「離れて暮らす人」の方が負担している傾向
「おもに担っている実の親の介護・サポート」項目については、長子か長子でないかによる違いはほぼなかったが、きょうだいのなかで女性の方が、男性よりも関与する役割が多く、負担が大きいことがわかった。
介護・サポート費用をもっとも負担している割合については、きょうだいの男女間による大きな差はなかったが、長子の方が、長子でない場合にくらべ高い傾向にあり、また、実の親と同居していない人の方が、費用をもっとも負担していることが判明した。
「実の親の介護・サポートに関して、きょうだいに対し思うこと」自由記述で寄せられた回答の一部
最後に、「実の親の介護・サポートに関して、きょうだいに対し思うこと」の自由記述で寄せられた回答の一部をお伝えする。
「私は遠方に住んでいるため金銭面でのサポートをしています。話し合いで決めたことですが、兄弟間でそこそこ仲が良いことが介護においては非常に大きいですね」 [45歳 男性]
「仕事が忙しくお金は出す兄。私は金銭的な負担をする余裕なく実際に色々と世話をする!ハッキリと分担できているのでこの関係性で良いと思います」 [51歳 女性]
「お互い忙しいのでできることをできる時に分担してやるのが良いと思います。積極的になりすぎても消極的になりすぎても良くないので、連絡を密にして十分に相談して負担にならないよう気をつけています」[50歳 男性]
自由記述回答からは、「きょうだい間での十分な話し合い」と「密な連絡」が実の親の介護・サポートを円滑に進めるうえで重要であることが窺い知れる。
しかし、家庭や個人の状況等により「きょうだいであってもなかなか考えがまとまらない」というケースも少なくないことは大いに想像できる。その際には、第三者である自治体や企業等によるサービスをうまく介入させることが解決策の一つになるだろう。
これから実の親の介護・サポートが必要になるかもしれないという人は、事前に親の意向を聞いたり、きょうだい間で共通認識をもっておいたりしておくなどの準備が重要と考える。
構成・文/介護マーケティング研究所
本記事において掲載しているデータは調査の一部です。掲載していないデータや自由記述設問に寄せられたコメント詳細については、以下までお問い合わせください。
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【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:【きょうだい間における実の親の介護・サポート調査】(介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン)
https://kaigo-postseven.com/180232
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