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健康

“ドライマウス”放置で老化が進む? 口臭、虫歯、免疫低下を防ぐ「唾液マッサージ」【専門家解説】

 加齢とともに気になる口の乾きは、唾液腺の老化による「ドライマウス」が原因。放置すると口臭や歯周病などの健康リスクも上昇してしまう。手軽にできるマッサージで唾液量を増やして口内環境を若返らせ、腸も脳もイキイキさせよう!

教えてくれた人

照山裕子さん/歯科医・BLOOM ORAL CARE Tokyo院長・歯学博士。著書に『“食べる力”を落とさない! 新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)など。

槻木(つきのき)恵一さん/神奈川歯科大学副学長。著書に『脳卒中・がん・肌の老化予防から、誤えん性肺炎まで 唾液サラネバ健康法』(主婦と生活社)がある。

唾液不足で「病気」のリスクが上がる!?

「私たちの体を守るために、唾液は重要な役割を果たしています」と、歯学博士の照山裕子さんは説明する。

「唾液には口の中の食べかすを洗い流す自浄作用があり、口腔内を清潔に保っています。虫歯や歯周病から歯を守るのも唾液の自浄作用によるものです」(照山さん)

 さらに「唾液にはさまざまな抗菌物質が含まれている」と神奈川歯科大学副学長の槻木恵一さんが続ける。

「唾液に含まれる抗菌物質のIgA(分泌型IgA抗体)やリゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなどは、細菌の増殖を抑えるだけでなく、虫歯や歯周病予防に加えて誤嚥性(ごえん)肺炎や風邪、インフルエンザなどの感染防御に関与しています。特に含有量が最も多いIgAは腸内環境とも深く関係しています」(槻木さん・以下同)

 つまり唾液の分泌量が減ると抗菌物質の働きが弱まり、虫歯や歯周病、感染症などのリスクが高まる。

「健康な成人の場合、1日1〜1.5Lの唾液が分泌されています。加齢やストレス、食生活の乱れなどで唾液量が減ると抗菌物質も減少し、さまざまな健康リスクが発生します。その中で最も怖いのが歯周病で、生活習慣病や一部の全身疾患との関連が指摘されています」

 さらに、唾液には脳の健康維持を保つのに必要不可欠な成分も含まれている。

「唾液に含まれるたんぱく質・BDNF(脳由来神経栄養因子)は脳機能に関与する因子ともいわれ、神経細胞をストレスなどから守り、再生を促す働きがあるため、低下するとうつ症状につながるという報告もあります」

 唾液が「正常」かつ「充分」に分泌されているのは、どのような状態か。

「唾液は水分量が多いサラサラしたものと、水分量が少ないネバネバしたものがありますが、状況に応じてこの2つを上手に使い分けられている状態こそ正常で、理想的な口内環境です。

 前述の通り唾液は脳と大きくかかわっており、脳がリラックスし副交感神経が優位になるとサラサラした唾液が分泌されます。サラサラの唾液は食べ物と混ざることで、のどの通りをよくします。一方、ネバネバの唾液は脳が緊張を感じ、交感神経が優位になると分泌されます。ネバネバになると抗菌成分であるIgAの濃度が高くなり、防御機能を支える働きが期待できます。いずれも必要なもので、うまく調節して分泌する必要があります」

 理想的な唾液を分泌するためには、何が必要か。

「食べ物をよく噛むことで唾液が出て、口を動かすことで脳への刺激につながります。健康な唾液を分泌するためには、唾液腺のマッサージがおすすめです」

唾液が減る6つの原因

【1】加齢

「唾液量は加齢とともに低下しますが、女性はさらに女性ホルモンの減少にも影響されます」(照山さん・以下同)

【2】口呼吸

「睡眠中は唾液の分泌が低下。口を開けて寝ると口内が乾燥し、唾液の量が激減してしまうのです」

【3】人と話さない

「口の周りの筋肉が動かないと、唾液腺が刺激されません。口を開けてボーッとするのはもってのほか」

【4】噛む力の低下

「唾液はよく噛むことで分泌されるため、噛む力が低下すると口まわりの筋肉が衰え、唾液が分泌されにくくなります」

【5】薬の副作用

「薬の副作用で口が乾くことがあります。長期服用の場合、唾液の分泌量が減り、慢性的に乾燥することも」

【6】ストレス

「強い緊張状態が長時間続くなどストレスを受けると、自律神経が乱れて唾液の分泌低下につながります」

唾液を増やすカギは「3つの唾液腺」

 唾液は主に、唾液腺(大唾液腺)と呼ばれる耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つから分泌される。

「耳下腺はサラサラの唾液、舌下腺はネバネバの唾液、顎下腺はネバネバとサラサラ唾液の両方を増やすのに効果的です。

 唾液腺のマッサージをするとすぐに唾液は分泌されますが、大事なのは慢性的な乾燥を防ぐこと。

 マッサージは1回1分程度を1日3回、4週間続けると唾液の分泌がスムーズに進みます。いつ行ってもいいのですが、食前に行うと唾液がよく出るため、消化もしやすくなります。マッサージをしながら舌を動かすと舌下腺の働きが活発になり、より唾液が出やすくなります」(槻木さん)

唾液の分泌を促す3つの「唾液マッサージ」

 唾液は唾液腺と呼ばれる組織によって分泌される。唾液腺の機能をアップさせるために効果的なのが「唾液マッサージ」だ。

【1】耳下腺(じかせん)

 耳下より少し手前に3本の指をあて、10回以上円を描くように回す。

【2】顎下腺(がくかせん)

 握った両手をあごの下にあて、手前に向かって10回以上動かす。

【3】舌下腺(ぜっかせん)

 親指をあごの下にあて、やさしく7〜10回押圧する。

取材・文/廉屋友美乃 イラスト/坂木浩子(ポルカ)

※女性セブン2026年5月7日・14日号

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