60歳過ぎたら気にした方がいい「足」 68歳オバ記者が階段で感じた「敗北感」と「介護を受けないために」始めた対策
年を重ねると衰えてくるのが「足腰」だ。68歳の現役ライター、オバ記者こと野原広子氏もそのことを実感している一人だ。日常で感じた「足腰の衰え」と対策について綴る。
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階段で感じる敗北感
60過ぎたら足がすべて!
ここのところ、人の足元ばかり見ている。といってもひと様の弱みを握りたいとかそういうことではなくて、文字通りの足元だ。どこかの駅で乗り換えをする日が週に4日はある生活をしていると、いやおうなく60代、70代の人の足元が気になるんだよね。
もちろん見ただけでは人の年齢はわからないけれど、でも発車間際の電車に飛び乗ってきた人の顔を見たら私より年上?だったりすると、なんかもうすごい敗北感よ。「危ないですから駆け込み乗車はおやめください」とアナウンスにはそうだそうだと思うけど、それにも増して「この人、ここの階段、駆け上がったんだ!」という現実が胸に迫るんだわ。
さらにどう見ても80過ぎている人が、何のためらいもなく長い階段を登り出すと、エスカレーターに乗った私は目をそらしちゃう。ふだんは「勝ち負けにこだわるのははしたないこと」と言っている人も、この勝ち負けだけはぐうの音も出ないと思うよ。
脚の痛みをこれ以上放っておけない
というのも、1、2年前から私の脚の調子が良くないから。足ではなくてわざわざ脚と書いたのは、不快感があるのは脚の付け根でね。動くたびにキシキシと痛んだかと思うと、鉛の玉が埋め込まれたみたいに重だるい。最近では尻っぺたが筋肉痛になり出した。座る時、エレガントにすっと腰を落としたつもりが、途中で力尽きてドスン。要は腰から下が油切れを起こしている感じ。
そんなことを整体院で話したら、尻から足首まで「ここはどうですか? 痛い? じゃ、ここは?」と指で押されたんだけど、どこもここも痛いなんてもんじゃない。場所によって強弱はあるけれど、これは治療じゃなくて虐待でしょ! と若い整体師さんに言いそうになったわよ。
それでも整体院に通って指圧やマッサージを受けているのは、これ以上放っておけないという思いがあるからよ。というのも70代の友だちを見ると全身に力がみなぎっている人は、必ず足が動いているんだよね。顔はシワが多くてもシミがあっても、そんなの関係ない。足が動く人が若くて健康なのよ。
侮れない「足首回し」
最近、私は本当に小さい石ころに足を取られて斜め前にステンと転んだ。それを若い整体師さんに言うと、ちょっと考えてから「それって朝、歩き出してすぐじゃなかったですか?」って言うんだわ。「何でわかるの?」と聞いたら、「野原さんは足首が固いから歩き出しは要注意なんですよ。もっといえばお尻の筋肉痛も脚の付け根の痛みも足首の硬さが関係しています」 。
そういって朝、家を出る前にすべきエクササイズを教えてくれたの。それは片足をもう片足に90度に曲げて乗せて足首を手前に10回、向こうに10回回すこと。
「どうですか。これだけでも足さばきが良くなりませんか?」って。さらに足を動かしやすくするエクササイズをいくつか教わったんだけど、まずは足首回し! これを始めてから階段を降りるのが楽になったんだから侮れない。
介護というと“親の”が頭につくと思い込んでいたけど、それを終えた私は今度は自分が介護される側? ああ、やだやだ! できれば人から介護を受けることなく生を全うしたいわよ。
それには足! 初老からは足! 長い階段をさささと何食わぬ顔で登るオバに私はなりたい!
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
