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《自宅マンション火災その後》林家ペー・パー子夫妻を応援するチャリティーイベントで「まさかの出来事」 激怒していたマンション下の階の住人が会場を訪れ、ペーさんにかけた言葉とは…? 

 自宅マンションが火事になった林家ペー・パー子夫妻。ふたりを応援するチャリティーイベントが開催された。その会場に、誰もが予想だにしなかった人が姿を見せたという。火災後の2人を支える、元マネジャーでライターのオバ記者こと野原広子氏が綴る。 

* * * 

林家たい平さん「読み切りをやろう」 

「いやぁ、夢みてるみたいだよ。こんな大舞台、この年まで立ったことがないのに、うちがトリってどういうこと? どうも納得がいかないまんま舞台に出ていったらあまりの人の多さにあがっちゃった(笑)。それにしてもキッカケは火事だけど、人生、何があるかわかんないねー」 

 83歳のぺーさんは花束やら差し入れ、プレゼントを乗せた帰りのタクシーの中で話し続けた。 

 11月4日、大井町駅前の大ホール、きゅりあんでの『がんばれ!ぺーパー子 有志応援団の集い 大演芸大会』は、10月20日の浅草東洋館に続いて第二弾のチャリティーイベントで、主催はぺーさんの落語の師匠、林家たい平さんだ。 

 火事から1週間後、浅草演芸ホールの楽屋でぺーさんは憔悴しきっていた。この日は出番のないたい平さんが心配して楽屋にやってきて、ホテルを転々と泊まり歩いている、これからどうしていいかわからないと嘆くぺーさんの話を黙って聞いていた。そしておもむろに「読み切りをやろうと思います」と口を開いた。 

 読み切りとは、古くから落語界にある風習で、支援が必要な仲間のために、無償で会を開くことだそう。 

「たい平師匠はやられたことがあるんですか?」と聞くと「ない」とあっさり。ぺーさんに聞いても「知らない」と首を振る。それでも、火災保険に入っていない83歳と77歳の芸人夫婦のために「読み切りをする」と強く思ったと言う。 

「世の中捨てたもんじゃない」会場にはあの人の姿が… 

 ならば、私もできるだけのことをしようというのは自然の流れ。そうしたらたい平さんと長い付き合いのAちゃんが「私も」と言ったのかどうか。気がつくと60半ばと60後半の女2人が手分けしたり、共闘したりしながらの1か月半。やっと、この日を迎えられた。 

 目標は1000席の大ホールをいっぱいにすると同時に、この日、いちばん来てほしい人を迎えること。その人とは今回の火災の巻き添えをくってその日の朝、出て行ったきり、部屋に帰れなくなったマンションの住民Nさんだ。 

「世の中、捨てたもんじゃない」。林家ペー、パー子宅が全焼した9月19日から今まで何度そう思ったかわからない。もちろんぺーさんとはアカの他人の私が、なぜここまで怒られなければならない?と思い、トボトボと帰る日もあったけれど、それと同じくらい、いまとなってはその何十倍も「世の中、捨てたもんじゃない」と胸を熱くする出来事が起こった。 

「ぺーさんともふつうに話ができる日がきて、ほんとうに良かった」

 たとえば火災から10日経って、最大の被害者である下の階のNさんに謝罪に訪れた時。Nさんは怒りのあまり黙って私たちを睨んでいたけれど、しばらくしたら「ところでパー子さんは大丈夫なんですか?」とやさしい言葉をかけてくれた。 

 それだけではない。Nさんが火災保険に入っていてくれたおかげでぺーさんはリフォーム工事費の一部負担で済むことになり、それやこれやの話し合いが終わった時、なんとNさんは「イベントに家族みんなで行きます」と言ってくださった。そして「こうしてぺーさんともふつうに話ができる日がきて、ほんとうに良かったです」と言ってニコッと笑ってくれた。 

 聞けば火災直後、SNSでは、もちろんぺーさんへの批判が大半だったけれど、中にはNさんに対して「ぺーパー子をいじめるな!」と言った書き込みもあったのだそう。目に見てないところでずいぶん心を痛めることがあったのだと思う。 

 たい平さんは読み切りをすると決めた時から言っていたことがある。 

「今回の読み切りはぺー師匠、パー子姉さんを支援することだけが目的ではない。火災でご迷惑をおかけしたみなさんが元の生活に戻る一助になりたい」と。 

 もちろん、まだまだすべてがその言葉通りにいってはいないけれど、Nさんから「前を向いて行こうと思えるようになりました」という言葉をいただいた。その上、開演直前にNさんのご家族のお顔が見えた時はほんとうに嬉しかった。 

「紅白でトリを取ったよう!あくまで想像よ」

 舞台では岩崎宏美さんは『ロマンス』と『聖女たちのララバイ』を歌い、戸田恵子さんはアンパンマンの声で登場。テリー伊藤さんはぺー・パー子夫妻との長い付き合いを語り、松村邦洋さんはプロ野球界のレジェンドたちのモノマネで1000人の大会場を沸かせる。 

 お笑い界からはピンクのラメ入り着物で現れた林家木久扇さんほか、三遊亭好楽さん、桂米助さん、柳亭市馬さんなどなど、盛りだくさんなんてもんじゃない。私は68年生きてきてここまでの大演芸大会は見たことない。 

 で、最後の最後、大拍手で迎えられたのがペーさんで、いつもの漫談が始まる。舞台袖で私の隣りに立っていた岩崎宏美さんが大笑いしている。そしてさんざん観客を焦らしてパー子さんが登場する、そのタイミングを主催者の林家たい平さんが舞台そでではかっていた。  

「紅白でトリを取ったよう! いやいや、やったことないからあくまで想像よ。でもきっとこんな気持ちなのかなぁって、そんなことを思ったね」 

 タクシーの中、ペーさんの横でホッとしたのかパー子さんはうとうと。 

 火災から長い長い2か月はこうして幕を閉じた。そして私はひとりシメにひとり『幸楽苑』のラーメンをすすって心の中でしみじみとお祝いをしたのでした。

◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。

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