《TBS安住紳一郎アナもプライベートでお見舞いに》林家ペー・パー子夫妻に向けられるエール 高齢者が起こした火災に多くの人が感じた”他人事じゃない”
自宅マンション火災から1か月半、林家ペー・パー子夫妻の元には多くの支援が寄せられている。TBSの安住紳一郎アナもプライベートでお見舞いに訪れていた。そのときの様子、そしてさまざまな人から寄せられる支援に感銘を受ける2人の近況について、元マネジャーのライター、オバ記者こと野原広子氏がレポートする。
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ありがたいだけではすまない気持ち
「あ、ぺーさんだ。頑張ってください」
「応援してるよ〜。気を落とさないでね」
「パー子さんにも元気出すように言ってね」
林家ペーさんといっしょに歩いていると必ずといっていいほど声をかけられる。ぺーさんも 「どうもどうも」とニコニコと対応するからてっきり知り合いかと思えば、「写真? どうぞどうぞ」と言って「はい、チーズ」。ぺーさん式に言えば「一期一会? 千載一遇?」で、早い話、通りすがりのファンだよね。
こうして直接、気持ちを伝えてくるのは60歳以上で、40代より下の世代はぺーさんだとわかっても声をかけるまではしない。その代わり「ちょっと、ぺーさんじゃない?」「うそ! マジ? キャーッ」とうちうちで盛り上がる。ぴょんぴょん飛び上がる女の子もいる。
長年、芸人をしているぺーさんはそのたびに有名人として振る舞っているけど、私から見るとどこかぎごちないんだよね。そのこころを聞くと 「もう、『なんで?』っていうのが正直なところよ。なんでうちごときにこんなに親切にしてくれるのって、ありがたい前に戸惑いですよ」と言うの。
「もちろん火事の火元になったなんて生まれて初めてのことよ。人に火事見舞いをあげたこともない。それだけにね、毎日が『なんで?』ってありがたいだけではすまない気持ちで、まぁ、なんて言ったらいいかしらね」
ぺーさんの戸惑いはそれだけではない。「マンションのみんなに迷惑かけちゃってねぇ」と、これも最近、口をついて出てくる言葉だ。
「もっと早く謝罪をしておけばよかったと、反省、後悔ですよ」
火事から1か月を過ぎて、バラバラだった感情や現実感が少しずつまとまってきたように、私には見える。
ペーさんの火事で高齢の両親が心配になった人も
「それにしても、なんで?」とぺーさんは周囲の親切にまだ首を傾げるから、私なりの解説をしてみた。
「他人事じゃない」。ひと言で言えばこれなんだよね。40代から50代はぺー、パー子宅の火事のニュースで、高齢の両親が心配になったというの。「火の元に気をつけろって電話した」、「火災保険、大丈夫なんだろうな。ちゃんと調べてと直接言った」という人が何人もいたよ。
「なるほどね」とぺーさんは納得してくれた。が、これは昔からなんだけど、ぺーさんはテンションが上がると早足、早口、早飲み込みになる。これがそばに付いている私は困るんだわ。「違う、違う。そうじゃなくて」と言うと「何が違うのよ」と高速で回る脳細胞で向かってくるから、「ちょーっと待ったあー」と私も声を張りあげることになる。
そりゃあ、あっち痛い、こっちがキツいと言って同情をひく80代も困るよ。けど、ぺーさんみたいに心身、頭脳共に高レベルの高齢者もどうよ。
プライベートでお見舞いに来た安住アナ
先日、TBSテレビの朝の情報番組『THE TIME,』から取材を受けた。そうしたらMCの安住紳一郎さんが「プライベートでぺーさんが寄席の出番の日にお待ちして、ご挨拶をしたい」と言ってくださっている、ということをぺーさんに伝えると、「いや〜、緊張するなぁ。本来ならこちらから挨拶をするべきですよ。わざわざ新宿末廣亭に来てもらうなんて、もう、これこそ青天のへきれき!」と言う。
言うだけではない。当日はよほどテンパっていたのね。待ち合わせ場所に現れたぺーさんは顔色をなくしている。歩く速さもいつも以上だったのね。なんといっしょに歩いていたはずのパー子さんを振り切ってしまった。
「ああ、パー子にこれから安住さんに会うとは言ったけど、末広亭の前でって言ったかな。言ってないな。どうしよう。パー子、迷子になって困っているだろうなぁ」とぺーさん。実は私、人がテンパっているのを見ると、重心がぐぐ〜っと下がるんだよね。
「じゃあ、私は末廣亭の前で安住さんを待つからその間にぺーさんはパー子さんを探して」なんて言っていたら、他局の人もい合わせたので彼にもパー子さん探しを手伝ってもらう。
パー子さんに向けたやさしい眼差し
パー子さんは携帯を持っていないのでこんな時に困るのだ。一方でふたりはプライベートでもピンクを着ているので探しやすい。ひとり歩きがむずかしい一般の高齢者もイメージカラーを作っておくといいかもね。
なんてことを末廣亭の前で考え始めていたら「遅くなりまして〜」と安住紳一郎さんがいきなり現れた。すかさず向こうからぺー・パー子夫妻がこちらに歩いてきて、「どうもどうも」。
もう今までの騒ぎはなんだったのよというタイミングの良さ! 持ってる人って、こういう時にピタッと帳尻を合わせるんだよね。その後は安住さんが新人だった頃の昔話に花が咲く。かと思えばパー子さんが火事の時のことを話すと、安住さんはそっと肩を抱いて、その眼差しのなんとやさしいこと!
へへへ。どさくさに紛れて私もちゃっかりツーショットを撮らせていただいちゃった。
聞けば安住さんは『THE TIME.』に出演するのに毎朝、午前2時半に局入りしているそうな。この日着たのは午後5時少し前。貴重なプライベートの時間を割いて新宿の雑踏をひとりで歩いていらしたんだよね。
もちろん火事は起こさないに越したことはない。当たり前だけど、こんな時だからこそ、人は信じるに足りるなと思うことが毎日のように起きている。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
