「自炊は認知症予防に」「飲酒・喫煙はたしなむ程度に」健康寿命をのばす習慣を介護福祉士&料理研究家がアドバイス
筋肉量が減ったり脂肪がつきやすくなるなど、加齢に伴い変化する私たちの体。噛む力や飲み込む力が低下すれば、栄養バランスが乱れるなど悩みの種は多い。“老後の選択”によって暮らしは幸せにも、不幸にもなる。自立した生活を手に入れるために健康面で気をつけるべき点を専門家に助言してもらった。
教えてくれた人
たっつんさん/介護福祉士。介護士歴20年。高齢者施設などでのエピソードをSNSや著書などで発信。49才。
堀江ひろ子さん/料理研究家。母の故・泰子さん、娘のさわこさんと親子3代で料理研究家として活躍。78才。
「いきいき老後」or「がっくり老後」。明暗を分ける<健康面での選択6>
人生を最後まで豊かに楽しく過ごすために間違ってはいけない選択がある。健康な体をつくる食事からサプリメント、運動まで2人の専門家が直言する。
【Q1】ひとりでも自炊すべき?
<A1>できる限り自炊を!
自炊には、認知症予防に効果的な行動が付随する。「買い物は運動になりますし、食材に関する情報などから社会の“いま”を知る機会にもなります」(介護福祉士のたっつんさん)。
「調理は火や包丁を使うので注意力が必要ですし、何を作るか考え、手を動かします。頭と体の両方使うので私は続けていますが、厳しいときは総菜を買ってきて、ご飯だけ炊くのでもいい。 “選んで買う”ことが大切です」(料理研究家・堀江ひろ子さん)
【Q2】塩分、脂質、糖分量は?
<A2>気にしすぎなくていい!
「私は現在78才で、夫は84才ですが、多少気にしつつもバランスよく、おいしく食べることを大切にしています。制限するとストレスになって食欲がなくなるのでいいこととは思いません。ただ、60才を過ぎたら筋肉と骨を保たないといけないので、たんぱく質とカルシウムは意識して摂った方がいいと思います。わが家では毎朝、無脂肪ヨーグルトと鉄分・カルシウム入りの牛乳、チーズを食べ、毎食、肉と魚を摂ります」(堀江さん)。
メニューのルールを決めて習慣化するといいようだ。
【Q3】禁酒・禁煙すべき?
<A3>たしなむ程度ならOK
たっつんさんも堀江さんも「たしなむ程度ならよいのでは」と回答。
「4人部屋など、集団生活タイプの老人ホームは、いまだ禁酒・禁煙が当たり前ですが、最近は個室タイプの老人ホームが増え、そうしたところでは飲酒・喫煙が許されているケースも。お酒もたばこも嗜好品ですから、がまんしすぎてストレスになるくらいなら、少しぐらいたしなんでもいいと思います」(たっつんさん)。
ただし、持病がある人は医師に相談を。
【Q4】運動はすべき?
<A4>無理せず長く続けられるものなら◎
「できるならやった方がいいが、無理せず継続できるものがいい」と、たっつんさんと堀江さんは同意見。
「106才で大往生した父はよく歩く人でした。いつも歩数計を持っていて、休みの日は1日2万歩。90才のときに地球を1周半分歩いたと言っており、亡くなる10日前まで歩数計を持って家の中を歩いていました。私もスマートウォッチ(歩数計付き)を持ってから、父を思い出しつつ意識して大股で歩くように。歯磨きするときはスクワットもしています」(堀江さん)。
【Q5】サプリメントは摂るべき?
<A5>摂らなくていい
「栄養は食事で摂りつつ、噛む力を鍛えるのが高齢者には重要」とたっつんさんが言えば、「栄養の摂り方を知っていれば必要ありません」と堀江さん。
「たとえば、カルシウムとたんぱく質、鉄分が不足しがちなら、小魚とナッツのおやつを食べる。卵、納豆、豆腐は毎日必ず食べる。野菜が足りなければ、ゆでたほうれん草やブロッコリー、レンジ調理したかぼちゃを冷蔵庫に常備していつでも食べられるようにする。それだけでもバランスよく栄養が摂れます」(堀江さん)。
【Q6】ダイエットをすべき?
<A6>できればした方がいい
「老人ホームでもやせていてよく食べる人ほど健康長寿です。太っているとひざや腰、内臓への負担が大きく、病気のリスクが高まりますし、のどまわりの脂肪で睡眠時無呼吸症候群になることも。過度にやせるというより、健康のための程よい体形を目指しては」(たっつんさん)
■こんな意見も「体重より幸福度が大切」
「太りすぎならともかく、太り“気味”ならダイエットはしません。おいしいものを食べて幸せでいた方が元気に過ごせます」(堀江さん)
取材・文/桜田容子 イラスト/こさかいずみ 写真/Getty Images
※女性セブン2025年10月9日号
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