《視力低下の原因を問診チャートでセルフチェック》悪習慣や老眼以外に「太陽光不足」、「視力矯正」が原因の場合も
色々な方法を試したけれど、思うように視力が改善しない…。そんな悩みを抱えてはいないだろうか。目をよくするためには自分に合った方法を選ぶことが大切だと話すのは、『最新の視力研究で導き出した 何歳からでも目がよくなる方法』(アスコム)を上梓し、自身も裸眼視力2.0を持つ、ブライトアイ代表の平賀広貴さん。独自に探求を続ける平賀さんが考案した「セルフ問診チャート」で、自分の視力低下の原因や目の状態を把握しよう。
教えてくれた人
ブライトアイ代表・平賀広貴さん
ひらが・ひろき。ブライトアイ代表。東北大学理学研究科化学専攻博士課程修了。東芝研究開発センターを経て2023年に独立。特許76件、論文15件、第25回井上研究奨励賞や東芝イノベーションアワードなどの受賞13件、ほか新聞報道等多数。本業の傍ら、人間の視覚や「見る」とは何かを独自に探求し、アップデート。研究所勤務時代に1.0まで下がった視力も回復し、裸眼視力2.0をキープしている。著書に、『最新の視力研究で導き出した 何歳からでも目がよくなる方法』(アスコム)など。
監修
眼科専門医・松岡俊行さん
まつおか・としゆき。医学博士。眼科専門医。1992年、京都大学医学部医学科卒。眼科研修の後、1996年、京都大学大学院医学研究科。2001年、ロンドン大学客員研究員。京都大学大学院在学中に「Science」、ロンドン留学中に「Nature」に論文掲載。2008年、京都大学大学院医学研究科准教授。2019年、江坂まつおか眼科開業。2021年、医療法人アメミヲヤ設立。著書に『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』(アスコム)、『スマホアイ 眼科専門医が教える目と脳をと体を守る方法』(同)など。
目をよくするためには自分に合った方法を選ぶことが大切
世の中にはさまざまな「目をよくする方法」があふれているが、あまり改善しなかったり、すぐに元に戻ってしまったりした人も多いのではないだろうか。その理由は、目が悪いといっても原因はさまざまであり、視力を改善させられる方法も人それぞれ異なるためだ。
「視力を改善していくためには、まず自身の症状を理解し、その上で自分に合った方法で行っていくことがとても大切です」(平賀さん・以下同)
目にいい活動は年齢によっても異なる
目の状態は人それぞれだが、年齢によっても目の状態は変わる。目にいい活動は年齢によって異なり、年齢の変化とともに体の機能も衰えていくため、年齢と全身の状態に合わせて視力対策をすることが大切だ。
「目は体の一部であり、臓器と同じように定期的なメンテナンスと、年齢に合ったケアをするべきなのです」
遺伝を気にする必要はない
両親の目が子どもの頃から悪い場合、自分の目が悪いのも遺伝だと諦めてしまっている人もいるだろう。しかし、平賀さんによると、遺伝を気にする必要はないことが複数の研究でわかっているという。親と子どもの近視率とライフスタイルの相関関係を調査した論文によると、近視の親の子どもでも屋外活動が多ければ近視になる確率は低いというデータが得られているそうだ。
「ちなみに私の場合も、同じ親から生まれた兄と妹は近視です。さらに、遺伝子検査キットで試してみたところ、眼圧や眼の機能(近視か遠視か)、角膜の曲率、角膜の厚さのデータはいずれも、多くの日本人と同じでした。つまり、私は目に関して『遺伝的にきわめて普通の日本人』だということです」
セルフ問診チャートで視力低下の原因を知る
自分に合った最適な視力改善方法を知るには、まず自身の症状を知ることから。平賀さんが考案した「セルフ問診チャート」を使えば、スタートから順に、質問に対してイエス、ノーで答えていくことで、自分の目が今どのような状態なのか、視力低下の根本原因が何なのかを知ることができるという。
【セルフ問診チャート】
【質問1(スタート)】裸眼視力が1.0以上である:Yesの人は【質問2】、Noの人は【質問3】
【質問2】近くのものもよく見える:Yesの人は【質問4】、Noの人は問診結果<4>
【質問3】矯正視力が1.0以上である:Yesの人は【質問5】、Noの人は【質問6】
【質問4】40歳以上である:Yesの人は問診結果<4>、Noの人は40歳ごろになったら問診結果<4>に該当
【質問5】矯正なしでも近くは見える:Yesの人は問診結果<2>、Noの人は問診結果<4>
【質問6】子どものころは裸眼、または矯正視力で1.0以上見えた:Yesの人は【質問7】、Noの人は問診結果<1>
【質問7】仕事や生活などで強いストレスを感じる:Yesの人は問診結果【3】、Noの人は問診結果<1>
「どういったものが見えて、何が見えていないのかなど、単純な視力の数値だけではわからない状態まで把握することで、どんな対応策が一番いいのかが見えてきます。それによって、効果がなかったり、効果が限定的なものに手を出すことも防ぐことができ、あなたの大切な時間を無駄にせず済むはずです」
<1>は太陽光不足
「セルフ問診チャート」の問診結果<1>にたどり着いた場合は、「太陽光不足」で視力が低下している可能性があり、網膜機能を向上させる取り組みが必要だ。
<2>は長く視力矯正をしている人が該当
<2>にたどり着いた人は、長らく視力矯正をしている「近視」タイプ。近視にもさまざまな種類があるが、眼球の奥行方向が物理的に伸びてしまっている「軸性近視」が一番多い症状だという。
「小学生のころは視力がよかったけれど、中学生や高校生の成長期に視力矯正をするようになって、その後ずっと矯正している、という人の多くはこのタイプです」
<3>は生活習慣などの見直しを
<3>にたどり着いた人は急に視力が落ちたタイプである可能性が高い。視力が悪くなる原因は、多くの場合「光の屈折」「網膜」「視神経」「脳」のいずれかの機能が悪くなることだが、生活習慣や食生活の乱れが目に栄養を届ける血液にも影響し、網膜や視神経の機能に問題が生じていることもある。
まずは、生活習慣や食生活が乱れていないか、運動不足になっていないかなどを振り返ってみることが大切だ。
<4>は老眼対策が優先
一方、<4>にたどり着いた人は老眼が原因である可能性が高いため、老眼対策を行うのが先決となる。
「タイプを見ると重複して該当するものもあるかもしれませんが、このチャートで出た結果はあくまでも優先的に対策をすべきもの、とお考えください」
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