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日本で働く外国人介護士のリアルな声 「気候の違い」「家探し」「日本語でのコミュニケーション」に戸惑いも 【アンケート調査】

 厚生労働省の発表によると2023年の介護職員の人数は、2022年と比べて初めてマイナスに転じたという。高齢化に伴い介護需要の増加が見込まれる中、必要不可欠となるのが外国人の介護人材だ。日本で働く外国人介護士はどういった思いで働いているのか、アンケート調査を行った。

貴重な働き手として注目される外国人材。介護現場でも増加傾向に

 介護業界の人手不足を解消するために、特定技能として働く外国人の受け入れが進んでいる。特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野で一定の専門性や技能を有する外国人材を即戦力の働き手として受け入れる在留資格制度の1つだ。

 介護分野の特定技能は2019年4月に創設されて以来、仕事に就く外国人は年々増加傾向にある。

 外国人介護士は、仕事内容や日本で働くことについてどのように思っているのか。介護に特化した外国人就業支援を行うニッソーネットが外国人材の“ホンネ”をさぐるアンケート調査を実施。

 アンケート調査から判明した外国人介護士の本音を紹介する。

外国人介護士が日本で一番困っていることは「気候の違い」

 特定技能として働く外国人介護士(136人)を対象に、日本の魅力や働きたい期間、日本で困っていること、都市部と地方それぞれの良い点などを聞いた。

 まず「どの資格を持っていますか?」という質問には、2024年4月から受講が義務化された「認知症介護基礎研修」が最も高く38.2%、続いて「介護福祉士実務者研修」が33.1%、「介護職員初任者研修」は22.8%となった。

「認知症介護基礎研修」は1日程度で修了できるが、「介護福祉士初任者研修」は130時間、「介護福祉士実務者研修」は450時間(初任者研修を修了している場合でも320時間)の受講が必要だ。

 特定技能の介護人材の3割以上が、長時間の研修を受け専門的な知識を身につけて介護の仕事に従事していることが分かった。

「今後取得したい資格」を聞いてみると、85.3%が「介護福祉士」と回答。より難易度の高い資格に挑戦しようとする姿勢がうかがえる。

 また、「これからどのぐらい日本で働きたいですか?」という問いには、できるだけ長くと回答した人が圧倒的に多く、61.8%となった。

 特定技能の在留期間は介護職種の場合最長5年だが、介護福祉士に合格すると介護の在留資格が取得でき、永続的に日本で働くことが可能になる。

 困ったことの回答で一番多かったのが「気候の違い」(32.4%)。異なる気候の国から来日した外国人にとって大きな戸惑いとなっているようだ。また、「家探し」(30.9%)や「公的手続き」(25.7%)と、日常生活の基盤を築く部分での苦労も多いことが分かる。

日本で働くメリットは給料面やスキルアップが大きい

 日本で働く理由として、1位は「高い給料をもらえる」で52.9%、2位は「介護技術を身につけられる」と「日本語力を身につけられる」が50.7%で並び、次いで「自分自身の成長」と「生活環境」が48.5%に。「日本の文化・エンタメに触れられる」ことが魅力と感じる人も33.1%いた。

 勤務地(都市部と地方)については、「都市部がよい」という回答が58%。「どちらでもよい」という回答も34.6%あり、「地方がよい」(7.4%)と合計すると42%になった。

 都市部の人気が上回っているものの、条件が合えば地方勤務を選択する人もいるようだ。

「都市部がよい」と「どちらでもよい」と回答した人に都市部のよい点を聞いたところ、「生活が便利」が76.2%。2位は「給料がよい」で54%だった。

「地方がよい」と「どちらでもよい」と回答した人を対象に地方のよさを聞いたところ、「自然が多く環境がよい」(47.4%)、「気持ちが落ち着く」(45.6%)、「治安がよい」(29.8%)と、環境の良さを示す回答が上位を占めた。

 また、「住居の費用が安い」(47.4%)、「物価が安い」(42.1%)と、生活費が抑えられる点も地方の魅力として多くの回答を得た。

「介護の仕事をしていて困ったこと」の質問には、「日本語でのコミュニケーション」(45.6%)や「日本語での記録」(41.2%)など、日本語力が要因となるものが上位に。一方で、職業柄「腰痛」をあげる人も36.8%となった。

 日本語能力を測定する日本語能力試験(N1からN5までの5段階の試験レベルでN1が難しい)と困った内容を比較すると、N3とN4では、「日本語でのコミュニケーション」「日本語での記録」を多くあげており、N1とN2の約2倍に。一方で「腰痛」については、N1とN2の50%が困っており、N3とN4の33.6%を上回る結果となった。

 今回のアンケートでは特定技能で働く外国人介護士の多くが、長く日本で働くことを希望していることが分かった。少子高齢化の影響で日本人の労働力が減少する中、外国人材のニーズはこれからも高まっていくことが予想される。だからこそ、相手を知り、多様な人が暮らしやすく、働きやすい環境作りが急務とも言えるだろう。

【データ】

ニッソーネット
https://www.nissonet.co.jp/company

<アンケート調査概要> 

調査名:特定技能として働く外国人介護士へのアンケート調査 
調査方法:ウェブアンケートフォームによる社内調査 
※ニッソーネットにて職業紹介をした特定技能人材を対象に実施 
調査期間:2024年11月28日~12月13日 
有効回答数:136人

※ニッソーネットの発表したプレスリリース(2025年1月21日)を元に記事を作成。

図表/ニッソーネット提供 構成・文/松藤浩一

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