外国人技能実習制度に代わり「育成就労制度」新設 介護現場にもたらす影響は?
2024年6月、現行で運用されている外国人の技能実習制度に代わり、新たな育成就労制度を創設することを目的とした改正出入国管理法が可決、成立した。この制度は、労働力不足を補うために外国人労働者を育成し、最大5年間の在留期間で働けるようにするものだ。
新たな育成就労制度のポイント
1993年に始まった技能実習制度は国際貢献を目的としていたが、実際には労働力不足を補うために利用されており、劣悪な労働条件などが問題視されていた。そのため、技能実習制度は廃止され、新たに育成就労制度が導入された。この新制度により、外国人労働者はより良い労働条件の下で働くことができ、介護現場での人材確保が期待される。
育成就労制度の主なポイントは以下の4点だ。
【1】在留期間は原則3年間、最大5年間の在留が可能になる。【2】職場の選択が可能になる。一定の要件を満たせば1~2年働いた後に転職が可能。【3】技能実習の監理団体が「監理支援機関」となり、外部監査人の設置が義務付けられる。【4】悪質なブローカー対策として、不法就労させた場合の罪を厳罰化する。
新しい制度による介護の現場への影響は?
全国社会福祉法人経営者協議会の濵田和則委員長は、この改正法について「外国人材のキャリアアップや地域共生を目指す趣旨から評価している」とコメントしている。新制度により、介護現場では外国人労働者の定着が促進され、地域社会との共生が進むことが期待される。一方で、地方からの外国人材の流動化も懸念されており、各福祉現場での必要な定着が課題となるだろう。
今回の育成就労制度の創設は、日本の介護・医療分野における大きな一歩だ。外国人労働者がより良い環境で働けるようになり、介護現場の人手不足が解消されることが期待されている。今後も、この制度の運用状況を注視し、さらなる改善を図ることが求められる。
構成・文/介護ポストセブン編集部