《明日は我が身》自分や家族、身近な人が認知症になったら? 認知症専門医が解説する「いざという時のための備え」
家族や、暮らしのなかで身近な人が認知症だと診断を受けたとき、ご家族や近親者の反応は多様、多彩です。ご本人以上にショックを受け、落胆する人もいますし、治療法を探そうと活動的になる人もいます。
どのような受け止め方が正しいか否かなど、「正解」はありません。ただ、ショックを受けてしまう場合、おそらく古い認知症観があるのかもしれませんし、治療法を探そうと躍起になるのも、認知症について正しい理解ができていないからかもしれません。
医療や介護の支援者は、多様なことを承知のうえで、どのような受け止め方をされているご家族などに対しても、適切な支援を提案します。認知症と診断されても、急に人が変わってしまうわけではないし、何もできなくなってしまうわけではないこともご説明するでしょう。まず医療や介護の支援者から認知症ではどのような暮らしの障害が生じるのかなど、よく説明してもらい、正しい知識のうえで、これからの生活について冷静に考えていきましょう。
認知症は暮らしの障害なので、ご家族など身近な人の生活にも影響が大きいこともあります。しかしご家族の問題は、家庭のなかに埋もれてしまいやすい。ぜひ、ためらわず、ありのまま、困りごとや不安を話しやすい人に伝えてください。
認知症の人への支援は家庭内など限られた範囲で抱えこまずに、地域社会で共有していく時代です。
2024年に認知症基本法という新法が施行され、全国のすべての自治体が認知症の人も安心して暮らし続けられるまちづくりに動き出しています。ご本人と支援者みなで、いまの「ほどよい支援」を考え続け、良く変わり続けていきましょう。