『AirPods』は補聴器として使える?補聴器業界の注目トピックス<2024年振り返り>【専門家が教える難聴対策Vol.16】
2025年に向けて新たな補聴器との関わり方についても考えてみたいと思います。
「あなたは、メガネをいくつ持っていますか?」
私は普段はコンタクトレンズをつけていますが、家に帰るとメガネをかけています。度数がやや低めのメガネ、しっかり見える旅行用のメガネ、なくしたときの予備のもの、そして災害時用に防災バッグにも1本入れているので、全部で4本持っています。
私ほどでもないにしても、普段かけるメガネのほかに、予備を1本ぐらい持っている人もいると思います。それほどメガネは生活にはなくてはならない備えといえるわけです。これと同じことが、補聴器にも当てはまるのではないか…。そこで、補聴器もメガネ同様に「予備」を持つことをおすすめしたいのです。
これまでも補聴器の予備を持つかたはいらっしゃいましたがまだ少数派でした。しかし実はここ数年で予備として補聴器を購入されるお客様が徐々に増え始めているのです。
実例/予備の補聴器の必要性を感じたお客様
先日、高齢の男性のお客様の補聴器が故障したので、娘さんから修理を承りました。その際、代替機をお貸しました。すると、娘さんからこんなことを言われました。
「補聴器が急に故障して本当に困りました。10年前に使っていた古いものを引っ張り出してきたら、左は使えたけど右は音が出なかったんですよ。補聴器がない生活は本当に困りますね。
急に入院するかもしれないし、万が一災害が発生したらどうなるのか。何があるかわからないので、これを機に予備の1台を購入したいと思って…」
補聴器がなければお父さまは、ご家族との会話だけでなく、医師や周りの人との会話に困るので、日常生活もままならない。万が一、また壊れたときに備えてもう1つ補聴器を用意しておいたほうがいいと感じたとのこと。
補聴器はそうそう壊れるものではありませんが、電気が通る製品なのでどうしても湿気に弱い一面も。水に濡れたり汗をかいたりすると湿気によって故障してしまうことも。
また、補聴器を落としてうっかり踏んでしまって割れたというかたも1か月に1人くらいはいらっしゃいますので、預かって修理に出しています。こうしたことから、メガネと同様に予備を持つことがもっと浸透してもいいのではないかと。
常用する補聴器ではないので高機能なものではなくても大丈夫。安価で、でもちゃんと聴力に合った補聴器を“備え”として持っておいていただくと、万が一の際にも安心できると思います。
★うぐいす智子先生のワインポイントアドバイス!
補聴器を活用しているかたには、2025年はぜひ「予備の補聴器元年」に。まだ検討中のかたや聞こえに困っていらっしゃるかたは、ヒアリング補助機能を備えた『AirPods』や、AI搭載のなどの最新機器のほか、手軽に試せる価格帯の補聴器の種類も増えていますので、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてほしいと思います。
2025年も補聴器の進化は進むでしょう。最新技術で快適に聞こえる新たな1年にしたいものです
聞こえについての関心は2025年もさらに高まるってくると思います。周りの人と楽しくお話を楽しめる一年にしましょうね。
取材・文/立花加久 イラスト/奥川りな