高齢期に住み替えたい人気の住まい「シニア向け分譲マンション」特徴や選ぶときの注意ポイントを社会福祉士が解説
メリットは先に説明した、娯楽施設や設備が充実していること、コンシェルジュサービスは勿論なのですが、一番はやはり一般的な分譲マンションと同様、「所有権」があることだと思います。
自由な室内リフォーム、売却、子への相続、賃貸物件として貸し出すことなども可能です。ただ売却は入居条件や購入者層が限られるため、簡単に進まないことも多く、投資目的や売却したいかたは注意が必要です。
一番のデメリットは、そして購入後の月額出費が高額になることが挙げられます。
一般のマンションと同様、管理費や修繕費のほかに、各種サービス利用料(総額で約10~30万円)がかかります。温泉、プール、カラオケ、レストラン、図書室の維持もあるので仕方がないことかもしれません。これらの利用率が高い生活を希望する場合は検討の価値ありともいえます。
加えて、前述のとおり介護サービスは提供されないので、介護が必要になった場合の介護サービスを外注する必要があり、介護費がかかるわけです。
一般的なデメリットとしては、購入費用が高い(数千万~数億円)、認知症や介護度が高くなると住み続けるのが難しいといったこともありますが、購入価格は他の一般的なマンションも同じように値上がりしていますし、介護度や医療依存が高くなると自宅に住み続けるのは難しくなる場合もあるため、特にシニア向け分譲マンションだけの問題ではないといえるでしょう。
シニア向け分譲マンションを選ぶときの注意ポイント
先の令和6年版高齢社会白書によると、「住み替え先に期待すること」として、以下が上位となっています。まずはこの項目をチェックしてみましょう。
□買い物が便利なこと(スーパーが徒歩圏内か、ネットスーパーの配達範囲かなど)
□医療・福祉施設が充実していること (医療機関が徒歩圏内か)
□交通の便が良いこと(駅やバス停などが徒歩圏内か)
□地域や住宅が災害に強いこと (周辺の道路状況も確認)
□静かで落ち着いて暮らせること
□手すりなどのバリアフリー対策が施され、高齢者に配慮された住宅であること
そして、家族・親族と頻繁に会える距離か、サービス内容やレストランの食事内容が希望にあっているか、今後の介護サービスの可能性なども含めて出費に対応できるかなども考慮してみましょう。
購入を視野に入れて賃貸で住んでみる
いきなりの購入はリスクが高いので、賃貸から始めてみるのもよいかもしれません。また、シニア向け分譲マンションはまだまだ数少ないので新築にこだわらず中古も視野いれてみることをおすすめします。
空き物件の情報はホームページに掲載されています。たとえば、東京・白金に立つ築16年のシニア向け分譲マンションの場合、賃貸住戸1LDKが月額賃料35万円、中古販売価格1LDKが6090万円などの情報が確認できます。
また、老人ホーム検索サイトや住宅・不動産購入をサポートする情報サイトなどでも、現在売り出し中(貸し出し中)の中古物件を調べることができます。
シニア向け分譲マンションは、お子さんがいる場合は資産にもなりますし、夫婦ふたりやおひとりさま、50代のお子さんと80代の親との同居など、さまざまなパターンで安心して暮らしたいというニーズにマッチします。興味のあるかたは、老後の暮らし方に合う物件を探してみてくださいね。