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「高齢の親が入院!退院後の生活が不安」そんな人におすすめの介護施設と活用法を専門家が解説

 入院生活を終えてやっと自宅に帰れると思ったものの、入院前のように生活できるんだろうか…。そんな不安があるかたにおすすめの施設があると教えてくれたのは、ケアマネジャーの経験もある中谷ミホさん。施設の特徴や入所条件など、詳しい話を伺ったのでご紹介します。退院後の不安を解消し、安心して自宅生活を送りたいかたは必見です!

この記事を執筆した専門家

中谷ミホさん

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級。X(旧Twitter)https://twitter.com/web19606703

在宅復帰を目指す「介護老人保健施設」

 退院後の不安を解消したいかたにおすすめしたいのは「介護老人保健施設」通称 老健(ろうけん)です。

 老健は、介護保険の施設サービスが受けられる介護保険施設のひとつ。病院と自宅の中間的な位置づけにあり、入所者の在宅復帰や在宅療養支援のための地域拠点としての役割を担っています。

 老健では、病状が安定期にある高齢者に対し、看護や医学的管理の下で介護やリハビリテーション、日常生活のサポートを提供します。病後の療養とともに、在宅復帰を目的としている施設のため、介護よりも医療系サービスの提供が多いのが特徴です。

 医療法人が運営しているケースが多く、医師や看護師、リハビリ専門職などの医療職が手厚く配置されています。介護・看護職員は、特別養護老人ホームと同様に「入所者3人に対し、1名以上」の配置が義務付けられています。

老健の5つの区分

 介護老人保健施設は、介護保険制度に基づき、「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他」の5つの類型に分類されています。

 その中でも、「超強化型」と「在宅強化型」は、在宅復帰のためのリハビリの内容が充実しており、高い在宅復帰率の実績があります。できるだけ早く在宅復帰をしたいかたにおすすめです。

老健の入所期間は“原則3か月”

 老健は在宅復帰を目指す施設のため、入所期間は原則3か月です。

 入所後、3か月毎に「入所継続検討会議」が行われ、会議での検討の結果「退所して在宅での生活ができる」と判断された場合は、退所しなくてはなりません。

 一方で 「在宅復帰が難しい」と判断された場合は、次回の検討会議まで入所期間が延長されます(最長6か月)。

 しかし、例外も多く、特養より入りやすいため、特養の待機場所として長期入所するケースも少なくありません。また、老健から有料老人ホームへ転居するケースも多くみられます。

老健の対象者

・65才以上

・要介護1〜5

※40から64才のかたも特定疾病による要介護認定を受けていれば、対象となります。

入所条件

・病状が安定し、入院や治療の必要がない高齢者

・日常的に医療管理の必要な高齢者

老健に入所した3つの事例

 実際に老健に入所したかたの事例を紹介します。

「脳梗塞の後遺症で右半身に麻痺が残り、自宅での生活が不安」

 病院でのリハビリを終え、日常生活動作(ADL)は改善したが、自宅での生活に不安を感じている。在宅復帰に向けて、老健で集中的なリハビリを受けたい。

「認知症が進行し、自宅での介護が難しくなった」

 徘徊や妄想が見られるようになり、家族の介護負担が大きい。老健で認知症に対応した介護やリハビリを受けたい。

「転倒による大腿骨頸部骨折で手術を受けた後、歩行や生活に不安を感じている」

 術後のリハビリを経て病状は安定したが、歩行に不安が残る。一人暮らしのため自宅での生活にも不安を感じている。退院後は、老健で歩行や日常生活動作のリハビリを受けたい。

自宅のトイレやお風呂が使えるように動作練習をする

 老健では、以下のような在宅復帰支援とアフターフォローが充実しているため、退院後の生活に不安のあるかたにおすすめです。

 老健で実施されるリハビリテーションは、利用者の状態に合わせた短期集中リハビリテーションです。立つ・座る・歩くといった能力が向上する訓練や日常生活で必要な動作の練習が行われます。

 また、退所前には老健の職員(リハビリ職や支援相談員、看護師など)に、自宅を訪問してもらい「訪問指導」を受けることも可能です。

 入所後のリハビリで機能が回復しても、実際自宅で実行できなければ、本人だけでなく一緒に暮らす家族も困ってしまうでしょう。

 そこで、老健では退所する前に自宅を訪問して、自宅のトイレや浴室など実際の生活環境で日常生活動作の確認を行います。そこで課題が見つかれば、退所までに必要な動作練習を実施します。

 また、家族に対しても介護方法や福祉用具の使用方法などの指導が行われるため、在宅介護への不安を軽減できるでしょう。

 加えて、老健では、退所後の担当医師やケアマネジャー、各サービス提供事業所へ入所中の情報提供を行い、入所者がスムーズに在宅生活へ移行できるよう関係者間の連携を図っています。

退所後はアフターフォローが用意されている

 老健では、退所した後も、高齢者や家族の生活を支えるためのさまざまなアフターフォロー(在宅支援)が用意されています。

 老健のショートステイや併設の訪問リハビリテーションやデイケア(通所リハビリ)を利用すると、継続してリハビリに取り組むことが可能です。老健入所中に回復・改善した身体機能を維持しつつ、さらなる向上を目指すことができるでしょう。

 また、老健は退所後の心身状態の変化や家族の状況などに応じて、再入所も可能です。

 夏や冬など気候の厳しい時期のみの入所や、家族の休息のために一定期間入所して体調管理やリハビリを受けることもできます。

入所中も退所後もきめ細かなサポートが受けられる

 老健は、医療と介護の両面からサポートを受けられる環境が整っており、在宅復帰を目指す高齢者におすすめです。

 集中的なリハビリや日常生活動作の練習、退所前の訪問指導、退所後のアフターフォローなど、きめ細やかなサポートが受けられます。

 退院後、直接自宅へ戻ることに不安のあるかたは、介護老人保健施設の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

●介護老人保健施設(老健)とは?費用や入所基準、メリット・デメリットを解説【社会福祉士監修】

●「階段での転倒がきっかけで施設介護に…」エレベーターがない2階以上の暮らに潜む危険と高齢者が備えるべき対策

●老健、ケアハウス、サ高住どれが入りやすい?利点、欠点は?専門家が解説

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