介護記録を残そう! オススメする3つの理由
介護記録を残すことの3つのメリット
【1】介護者としての成長が分かる
認知症介護を始めて1年が経過したときに、わたしが書き記したものがこちらです。
「ご飯が炊きあがる前に、炊飯器のふたを開けてしまって困る」
「玉ねぎを十分に炒めず、辛い。食事に対して、警戒心を持っている」
初めて見る母の行動に、わたしは戸惑っていたようです。あれから2年経過した今も、母の行動は変わりませんが、わたしの対応は大きく違います。以前は、都度注意していましたが、今では少し硬めのごはんを食べればいい、玉ねぎも辛くて大丈夫と、気持ちを切り替え、特に注意することもありません。母も否定されないので、落ち着いています。
2年経って、介護者として成長を感じることができたのも、昔の介護記録を残し、比較ができたからです。
【2】介護者自身が冷静になれる
認知症の方に、同じことを何回も質問されたり、ありもしない話を言われたりして、介護者がイライラすることがあります。その感情を、何も考えずに文字にしてみると、
「あぁ、もう!イライラする!」
こんな、小学生のような文章になってしまいます。しかし、なぜイライラしたのか、冷静に振り返って、自分自身の感情と向き合うのです。
「財布を盗ってないのに盗ったと言われ、ついイライラしてしまった」
こう記録を残すことで、もの盗られ妄想に対してイライラしていたことが分かります。感情と向き合うことで冷静になれるし、対処法をあとで調べることができます。
【3】誰かに伝えたいという思いを実現できる
介護者の集いや認知症カフェが増えていると聞きます。
それは、介護する人は、自分のつらい苦しい想いを誰かに聞いてほしいと思っているからではないでしょうか?
自分だけでは抱えきれず、共有してラクになりたいというニーズが多いため、介護者の集まりが増えているのです。
このような集まりの場でも、介護記録を残しておくと、より分かりやすく介護仲間に伝えることができます。場合によっては、ご自身の介護体験を発表して欲しいという依頼もあるかもしれません。わたしも講演がある場合は、過去の介護記録を読み直して発表しています。
介護記録は、できれば誰かに伝えることを目標に書いてみてください。きっと、あなたのそのコトバであなた自身が救われますし、未来の介護者をラクにし、救うことにもつながると思います。
今日もしれっと、しれっと。
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工藤広伸 (くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間20往復、ブログを生業に介護を続ける息子介護作家・ブロガー。認知症サポーターで、成年後見人経験者、認知症介助士。
ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(http://40kaigo.net/)