介護施設の入居にまつわる不安・リアルな声をもとに施設選びのポイントを専門家が解説「求人情報も参考になる」
不安をすべて解消することは難しいですが、事前に少しでも不安材料を減らしておくために、施設選びの際に役に立つポイントを解説していきます。
【1】重要事項説明書をチェック
重要事項説明書とは、契約内容のうち、特に重視すべき事項をまとめた書類です。ここには、施設について知っておくべき情報がのっています。自治体や各施設のホームページで公開されている場合もあります。記載内容のうち、上記の不安に対するチェックポイントを確認してみましょう。
□ 施設職員の対応に関して不安がある場合は、「職員体制」を確認してみましょう。
5年から10年以上勤務している職員が多いようなら、安定した環境ということです。ベテランの職員が多いと家族も安心です。
□ 入居後の生活や環境の変化に不安がある場合は、「入居者の状況」の項目を確認してみましょう。
年齢・要介護度別の人数から、自身と年齢や介護度と比較してかけ離れていないかも確認できます。前年度退去者数からは死亡以外の退去の理由も確認してみましょう。トラブルでの退去か否かも参考になります。
□ 費用に関しての不安は、「利用料金」の項目を確認しましょう。食費や管理費といった月額費用や食費、水道光熱費なども記載されているので、必ず目を通しておきましょう。
□ 介護施設の経営に関する不安は、「事業主体概要」の項目を確認しましょう。
ここには、施設を運営する法人の概要がのっています。会社設立の年月日からはどのくらい継続して運営できているかの確認ができます。
【2】介護サービス情報公表システムをチェック
介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が公開しているもので、全国約21万か所の「介護サービス事業所」の情報が検索・閲覧できます。
■介護サービス情報公表システム
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/readme/
公表されている介護施設や事業所は、直近の事業所情報を都道府県に報告し、都道府県が内容を審査、そしてホームページに事業所情報を掲載する流れとなっています。
また、事業所の報告内容を確認するため、都道府県知事が調査を行う必要があると認める場合には、都道府県又は都道府県が指定した調査機関による訪問調査を行うこととなっています。ここに掲載されているところは、第三者の目が入るので多少は安心ではないでしょうか。
【3】求人情報をチェック
筆者が疑問に感じた例をひとつ挙げると、ある新規オープン施設の求人をオープン前から継続して1年ほど、ずっと求人誌で目にしたことがあります。
「未経験でも可」「新しい施設で働いてみませんか」などの言葉が大きく目につくように載っています。
運営するには人員の配置基準があるのでこれは守っているとは思いますが、人が集まらなくて運営は大丈夫なのだろうか、と勝手ながら心配をしていました。職員不足だとフロア全体を閉じているところもあるので民間の介護施設だと要注意です。
ニュースになった足立区の住宅型有料老人ホームに限らない話ですが、入居者が大幅に定員割れしてる施設、職員の退職が多い施設は不安要素が高いとも言えます。
一概には言えませんが、要介護1、2の現状であれば、今後の施設生活が長期に渡る可能性が高くなります。安いから、近いから、新しいからなどと安易に決めずに、慎重に選んでほしいと思います。