60代はシニア?調査で判明した年齢自己認識の実態「4割以上が自分は実年齢マイナス5才」と認識
高齢化が進み、今や超高齢化社会へと突入した日本。昔と比べて高齢者の在り方は大きく変化してきている。いったい何才から高齢者・シニアと呼ぶのだろうか?65才以上を対象にした「高齢者世代の自己年齢認識」調査結果から、実際に自身をどう認識しているのか?年齢の自己認識の実態に迫る。
時代と共に大きく変化する「高齢者」に対するイメージと自己認識
超高齢社会とは、65才以上の人口が全人口の21%に及ぶ社会のことを指す。増える高齢者への対応のひとつとして定年の引き上げや定年後の再雇用が進む現代日本では、60代はまだ現役世代と考える人も多いだろう。
シニア市場の商品・事業開発、マーケティング支援を行うチェンジウェーブグループは、65才以上の男性71名、女性31名、計102名を対象に、「高齢者世代の自己年齢認識調査」を行った。
その結果、高齢者の多くが自己認識と実際の健康状態にギャップを抱えていることが判明した。
過半数が「実年齢-5才以上」と回答!高齢者の年齢認識
まず、60代・70代・80代の各年代にわけ、「実年齢と比べて、自分の健康状態はどれくらい若い/老けているか」を尋ねた。すると60代では61%、70代では55%、80代では78%と、各年代とも過半数の人が「実年齢と比べて自分の健康状態(から感じる年齢)は若い」と答える結果となった。
また、特に目を引くのは80代で「自分は実年齢より15才以上若い」と答える人が38%いることだ。
65~74才が前期高齢者、75才以上が後期高齢者と定義されていることを考えると、後期高齢者であってもまだ高齢者になったばかりの健康状態であると自己認識している人が多いことがわかる。
実態はどう?フレイルチェックによる身体的・精神的な状況の確認
続いて、実際の身体的・精神的な状況はどのようなものかを確認するため、フレイルチェックを行った。
「フレイル(Frailty)」とは、加齢により身体的・精神的・社会的に衰え、日常生活の自立が困難になる状態を指し、J-CHS基準をベースとした簡易チェックで確認ができる。
簡易質問形式で確認したところ、60代では50%、70代では40%、80代では48%の人がフレイルの前段階であるプレフレイル、或いは既にフレイルの状態であることが判明した。
4割以上が自己認識と実態のギャップを抱えているという結果に
では、このフレイル・プレフレイルの状態にある人は自身の年齢や健康状態をどのように自己認識しているのだろうか。
改めて最初に行った「実年齢と比べて、自分の健康状態はどれくらい若い/老けているか」という質問に対する回答を確認すると、フレイル・プレフレイルの状態にある人のうち、60代と70代では47%、80代では62%の人が、「自分の健康状態は若い」と回答しているようだ。
高齢者を「シニア」と呼んでいいのか?広がる自己認識と実態の乖離
加齢による身体的・精神的な衰えを感じていても、「自身の健康状態は実年齢より若い」と考えている人は多い。60代と70代では5割近く、80代では実に6割以上の人が実年齢マイナス5才以上の自己認識を持っていると判明した。
このギャップをどう捉えていくか、世間の「シニア」に対するイメージとの乖離をどう埋めていくのか。それらが超高齢化社会を進む現代日本において、高齢者へアプローチする際の重要な視点と言えるだろう。
【データ】
チェンジウェーブグループ
https://www.changewave-g.com
シニア市場分析資料一覧
https://www.lyxis.com/service/download.html
【調査概要】
手法:インターネット調査
期間:2024年6月24日-25日
対象:65才以上の男女102人(男性71人、女性31人)
※株式会社チェンジウェーブグループの発表したプレスリリース(2024年7月11日)を元に記事を作成。
図表/株式会社チェンジウェーブグループ提供 構成・文/秋山莉菜
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