《フレイルは放置厳禁》理解・認知度は低い「予防していない人が4割超」<調査レポート>
「フレイル」を放っておくと病気や要介護状態に悪化するといわれる。早めの対策が重要だが、調査によると「フレイルという言葉の意味をきちんと理解した上で予防を行っている」と回答した人は約15%に留まった。そこから浮かび上がる課題とは? 調査結果をレポートしていく。
健康リスクの入口に注意「食事・体力・社会参加に関する実態調査」
「フレイル」とは、加齢により体力や気力が弱まっている状態のこと。要介護状態の前段階とも考えられており、適切な対策を取れば健康な状態へ戻ることもできるという。そのため早めの発見と対策が重要だ。
フレイルの主な原因は大きく分けて「栄養不足」「運動不足」「社会参加不足」の3つと言われている。
ウェルネスダイニングは、全国の65才以上の男女を対象に「食事・体力・社会参加に関する実態調査」を実施。その結果、フレイルという言葉の認知状況について、「言葉の意味をきちんと理解している」と回答した人は僅か15.3%に留まった。この調査結果から浮かび上がるフレイル進行の背景にある可能性とは?
Q1:「フレイル」という言葉を知っていますか?
まず始めに、「フレイル」という言葉を知っているかを尋ねたところ、「フレイルという言葉を内容まで理解している」と回答した人は15.3%に留まった。一方で、「聞いたことはあるが意味がわからない」または「なんとなく知っているが詳しくはわからない」といった曖昧な理解の層が半数以上を占めており、フレイルという言葉自体の認知度はまだ充分とは言えないことが判明した。
Q2:フレイル予防のために、意識して行っていることはありますか?
次に、フレイル予防のために行っていることについての質問を行った。その結果、「特にない」と回答した人が全体の42.7%と最も多く、フレイル予防への具体的な取り組みをしていない層が多いことが明らかとなった。一方で、「運動」や「食事」などに意識的に取り組んでいる人も一定数見られ、予防行動の重要性が一部には浸透しつつある様子も窺える。
Q3:フレイル予防のために運動を意識していますか?
続いて、フレイル予防のために運動を意識しているかを尋ねたところ、「運動をしている」人は僅か23%に留まり、約半数がフレイル予防のための運動をしていないという実態が判明した。一方で、「少しは意識している」人も多く、運動の必要性は感じていても行動に移せていない層が多いことが窺える。
Q4:1年前と比べて食事の量に変化はありますか?
また、1年前と比べて食事の量はどうかという質問には、合わせて約28%の人が「少し減った」「かなり減った」と回答し、食事量の減少を感じている人が一定数いることが明らかとなった。加齢や体調の変化により食事量が減っている可能性も考えられ、継続的な栄養管理の必要性が窺える。
Q5:最近「外出や人と会う機会」が減っていると感じますか?
最後に、「外出や人と会う機会」の減少について尋ねたところ、「とても感じる」「やや感じる」と回答した人を合わせると59.3%に上り、多くの人が外出や人との接触の機会が減っていると感じていることが判明した。社会的繋がりの減少が、フレイルや心身の不調にも影響を与える可能性もあるため、対策の必要性が窺える。
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今回の調査では、「フレイル」という言葉に認知度が未だに低いことが浮き彫りとなった。全体の8割近くがフレイルという言葉の意味を正しく理解しておらず、「内容まで理解し、意識して予防している」と回答した人は僅か15%に留まった。
また、「フレイル予防として特に何もしていない」と回答した人は4割を超えており、知らないから行動できないという現状が明らかとなった。体力や食事量、外出機会の変化を実感しているにもかかわらず、予防のための実践につながっていないことから、知識と行動の乖離が大きな課題である。
高齢化が進む今、単に情報提供をするだけでは不充分であり、重要なのは「知らなかったことを知る」から「知ったうえで行動する」への移行をどう支援していくかだ。今後は“生活の中で自然に実行できる”対策を、本人の理解と納得のもとに取り入れていく仕組みが求められる。行政や医療、企業、地域が一体となり、「気づき」と「取り組み」が連動する支援体制を構築することが、社会全体でのフレイル予防推進に不可欠だろう。
これで初めてフレイルを知ったという人も、そこから一歩進み、できることからフレイル予防を始めてみてはいかがだろうか。
【データ】
ウェルネスダイニング
https://www.wellness-dining.com/
【調査概要】
調査名:高齢者のフレイルに関する意識調査
調査実施主体:ウェルネスダイニング(ウェルネスダイニングからだ想い研究所)
調査対象:全国の65才以上の男女 計300名(男性150名/女性150名)
調査方法:インターネットを活用したクローズド形式によるアンケート
調査期間:2025年4月
※ウェルネスダイニングの発表したプレスリリース(2025年7月22日)を元に記事を作成。
図表/ウェルネスダイニング提供 構成・文/秋山莉菜