その肩の痛みは【肩こり】【五十肩】【腱板断裂】?見極めチェックリストと悩み別エクササイズ「うちわあおぎが効果的」|専門医が指南
うちわをあおぐことで風の抵抗を利用した基本の動き。肩のインナーマッスルと肩甲骨周囲筋に適度な刺激を与えることができる。
●うちわの持ち方
うちわの柄を持たず、親指とそれ以外の4本の指でうちわ本体の部分をはさむように持ちましょう。
【1】肩が痛い方の手でうちわを持ち、脇をしめて肘を約90度に曲げる。手首を固定して肘から先を床と平行にあおぐイメージで行う。
【2】一定のリズムで、少し風が起こる程度の強さで約1分間あおぎ続ける。肩に痛みのでない範囲で行いましょう。
「肩こり」に効く“うちわあおぎ”
肩こりの原因となる僧帽筋(背中・首から肩にかけて伸びている大きな筋肉)に刺激を与え、硬くなった筋肉をほぐす肩トレ。
<ここにアプローチ>「僧帽筋」
【1】肩が痛い方の手でうちわを持ち、横向きに寝て反対側の手で頭を支える。枕や畳んだバスタオルなどを脇にはさむ。
【2】手首を固定したまま、肘を支点に腕をふるようにゆっくりあおぐ。戻すときも同じリズムで行う。
<Point>
肘の位置は、背中より少し後ろに置く。肩が開くことで巻き肩や猫背が防げる。
五十肩に効く“うちわあおぎ”
肩の前側に炎症が起きて痛みを感じる「五十肩」。これは60、70代でも起こる症状。腕を小刻みに動かすことで、肩まわりの改善につながる。
【1】肩が痛い方の手でうちわを持って脇をしめる。反対の手で肩(鎖骨の先端の下の突起あたり)を押さえる。
【2】ひじを曲げたまま内側にゆっくりと小刻みに、約1分間うちわをあおぎ続ける。
<Point>
動かす範囲は約30度が目安。肩が痛い方の手は、痛みを感じる手前で止めること。
「腱板断裂」(けんばんだんれつ)に効く“うちわあおぎ”<1>
肩のインナーマッスルの先端にあり、肩関節とつながっている「腱板」の断裂(損傷)が進行しないようにする、セルフケアリハビリ。腱板への負担が少なく、予防効果も期待できる。
●腱板断裂とは?
肩関節を安定させる筋肉群が断裂した状態で、60才以降に発症することが多い。自然治癒はせず、放置すると症状は悪化するので注意。
【1】テーブルに置いたクッションやタオルに肩が痛い方の肘をのせる。肩の力を抜いてリラックスし、脇はあける。
【2】肘を支点に、肘から先の腕を動かす。しっかり風が起こるくらいの強さで1分間ゆっくりうちわを大きくあおぐ。
<Point>
背中が丸まった猫背では、肩のインナーマッスルに刺激がうまく与えられない。上体を起こした姿勢を意識しよう。
【OK】
【NG】
「腱板断裂」に効く“うちわあおぎ”<2>
肩のインナーマッスルの1つ「肩甲下筋(けんこうかきん)」を刺激し、強化することができる肩トレ。手首が返らないように注意して!
<ここにアプローチ>「肩甲下筋」
【1】肩が痛い方の手でうちわを持ち、顔の横から前あたりでうちわを構える。肩が痛い方向に顔を向けて、反対の手は力を抜いて下におろす。
【2】脇をしめたまま、肘を支点に腕を動かし、反対側の肩周辺に風を当てるように、1分間ゆっくりあおぎ続ける。
<Side>
肘の位置を固定し、肘から先を動かしてあおぐ。
結論!肩の痛みは日常生活で予防&改善できる
正しい姿勢・睡眠を整えることが鍵
病院で適切な治療を受けたとしても、日常生活で気をつけなければ症状は改善できず、悪化してしまうもの。痛みを引き起こさないための注意点を紹介します。
●スマホを持つ位置を変える
「スマホ首」といわれる、画面を覗きこむような悪い姿勢の状態が続くと肩こりになりやすくなる。スマホを顔の高さまで上げて、正しい姿勢を心がけましょう。
【OK】
【NG】
●肩に過度な負荷をかけたり痛みを我慢して動かすのはNG
片手で重い物を持ち上げたり、腕を肩より高い位置に上げて作業したりと、痛みを我慢して動かすのは、かえって症状を悪化させるので注意。うちわあおぎも痛みを感じる場合はすぐにやめること。
●夜間痛対策をして、充分な睡眠をとる
眠れないほどの夜間痛が起きた場合は、痛む方の肩が寝返りで下にならないように、肩から肘にかけてクッションを置くと楽になる場合もあります。
うちわあおぎのおさらい
【1】手首を固定し、肘の角度を注意してうちわをあおぎましょう
【2】痛みを感じない範囲でゆっくり行い毎日継続することが大切
【3】肩のインナーマッスルにアプローチしている意識で行うこと
撮影/浅野剛 写真/アフロ イラスト/いしやま暁子 取材・文/山下和恵
※女性セブン2024年8月22日・29日号
https://josei7.com/
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